女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -街華編-

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早速ナオさんのお店に入ると、近寄ってきてくれた従業員の綺麗なお姉さん。『ちょっと待っててね』と、急いでナオさんを呼びに行ってくれた。

僕らは何の許可も得てはいないけれど、よいしょよいしょと、歩美さんをお店の端っこに設置されている接客席へと運ぶ。

詩織と僕はテーブル席をではなく、その向こうの真白いソファーに歩美さんを一旦座らせ、足はソファーから下ろしたまま、ゆっくりと歩美さんの体を横にさせ寝かせた。


『ちょっと!…どういうことなの!?』


目を円くして、慌てて来てくれたナオさん。

僕らはテーブル席に着き、詩織が今までの出来事と歩美さんのことをナオさんに説明。


『…それにしても、なんてそっくりなの…本当に驚きだわ。まるで本物の姉妹みたい…』


そのあとすぐ、ナオさんは別の従業員のお姉さんに呼ばれ…。


『あら、ちょっと…ごめんなさい。呼ばれたから。ゆっくりしていってね』

『はーい♪』
『ありがとうございます』


…来店した大切なお客さまの接客のために、ナオさんは離れていった…。

残った僕らは席に座ったまま、振り返って歩美さんを見た。


『鮎美ちゃん…もうしばらく眠ってそうね』


そう言った詩織に、僕は『うん』と答えた。


『じゃあ…私、ちょっとおトイレ借りてこよっかなー』


お尻を浮かせて一瞬、席から立ち上がる素振りを見せた詩織…けどまたすぐに座った…?


『金魚。もう人前では《鮎美さん》なんて、他人行儀な呼び方しちゃダメだから!…ね』

『…あ、うん』

『《お姉ちゃん》か《鮎美お姉ちゃん》って呼びなさい。鮎美ちゃんは金魚のお姉ちゃんなんだから!』


今度こそ完全に立ち上がった詩織。


『じゃあ私はおトイレに行ってくるから。金魚はお店ん中をウロウロするんじゃなくて、歩美ちゃんの横にちゃんと座ってなさいね』

『は、はい…』


さっさとトイレへと向かう詩織。

…あ、歩美お…お姉ちゃん…。


言われたとおり、僕は椅子からソファーへと移動。僕の隣で歩美さんは『すー…すー…』と、可愛らしい小さな寝息を立てながら本当に安心し切って寝てる…。

…うーん。

何もすることのない僕は、とりあえずお店の壁に掛けてある、大きな時計を見た。現在の時刻…午後3時35分くらい。

そして、ふと気になった鈴ちゃんのことも考えてみる…。

鈴ちゃん、彩乃に《問いただしてみる》って言ってたけど…どうなるんだろう。口喧嘩とかになってしまうのかな…。






…あれ?詩織…戻ってこないし、誰も近寄ってこない。接客席はぽかんと、完全に僕と歩美さん、2人だけの空間になってる…。

僕はちらりと、また歩美さんを…歩美さんの綺麗すぎる唇を、そっと見…ゴクリ。

ヤバい…《魅惑テロ》に屈しそう…。

周りをキョロキョロ…誰もこっちを《見てない》…。
























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