女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -街華編-

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僕は続けて『歩美お姉ちゃんは時々、私のフリして瀬ヶ池の街に出掛けてたみたいなの』と説明。


『…金魚ちゃん』


僕は、まだそこに居た泉美ちゃんに呼ばれて振り向いた。


『泉美ちゃん、ごめんね。実はそういうことだったんだ…』

『うん。なるほど…そういうことだったんだね』


泉美ちゃんは優しく微笑んでくれた。






「金魚ちゃん!なんでそうなら、それをもっと早く言ってくれなかったの!?」

「金魚ちゃんのお姉ちゃんさぁ、わざわざ妹のフリなんかしなくても《金魚の姉です》って、堂々と普通にしてれば良かったんじゃないの!?」


もし金魚と歩美さんが本当に、本物の姉妹だったとしたらこの女の子たちの言うとおり。ごもっともな話だ。


『私が….私の不手際で皆さんを、怒らせてしまうようなことになってしまって…本当にごめんなさい』


歩美さんも僕の隣で頭を下げた。


「べ、別に私たち…怒ってるわけじゃないですけど…」

「ただほんとに、もっと早く言って欲しかったなあ…って」


そう女の子たちに言ってもらえても、まだ表情の固い歩美さん。


「だけど…金魚ちゃんのお姉ちゃんも、すっごい可愛いよねー」

「うん。ほんとに可愛いー」


なんだか…歩美さんのことを許してくれたような優しい言葉も、少しずつ聞こえはじめた。


『うちも金魚ちゃん達みたいな、あんなすっごく可愛い姉妹だったらなぁ…ほんと羨ましーい』


歩美さんもようやく緊張から解かれ、少し笑顔を女の子たちに見せる。


『じゃあ…鮎美ちゃんもお腹ペコペコだっていうし、金魚がラーメン奢るんだっていうから。私たちそろそろ行くねー』


女の子の野次馬集団に、明るく元気に手を振る詩織。


『それで金魚、ラーメン屋さんってどっち?』

『うん。あ、こっち。けっこう近いよ』






『…って、ここ…大丈夫?』

『なんだか壁を手で押したら、今にも倒れちゃいそうなラーメン屋さんだよね…』


ぼろぼろで古くは見えるけど、そんな手で押したぐらいでは絶対倒れないから大丈夫…ってゆうか、お店ん中でそういう失礼なことを言わない!

ラーメン屋の旦那さんに聞かれたらどうするのって。



店内は相変わらず満席。周りのお客さんは、見た目が地味な男子学生やおじさん達ばかり。全く場違いな雰囲気の僕ら4人をじーっと…《見て見ぬフリ》してる。

お店の中に女の子なんて僕ら以外は1人しか居ない。彼氏と一緒みたいだし、連れて来られたって感じ。

瀬ヶ池の女の子たちって、この《古めかしいけど超美味しいラーメン屋》には、ほとんど入ってこないから安心。























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