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女装と復讐 -街華編-
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「…ねぇ」
今度は鈴ちゃんが彼女に話し掛けた。
「もしかして…その3時間ものあいだで口にしたのって…飲み物一杯だけじゃないの?」
「はい…あの、メロンフラペチーノ…一杯だけです」
「えぇーっ。じゃあ、お腹ペコちゃんなんじゃない!?」
鈴ちゃんに続いてそう訊いた詩織に、ウンと答えた彼女。
「はい…お腹、空きました…」
「おトイレは?」
鈴ちゃんが…詩織が…また鈴ちゃんが…。次々と立て続けに、彼女に小さな声で質問する2人。
それに答える彼女も大変そう。
「トイレも…1回も行ってないです…ずっと座ってて、お尻もちょっと痛い…」
鈴ちゃんは立ち上がり、彼女の手をぐいっと引いた。
『一緒に行こう。おトイレ。3時間ものあいだ、1回も行ってないのは絶対体に悪いよ』
『えっ、でも…』
『大丈夫よ。鈴ちゃんが一緒に行ってくれるって、言ってくれてるんだから』
二人のやり取りを見てた詩織も一言添える。
『はい。じゃあ…』
『じゃあ詩織ちゃん、金魚ちゃん。ちょっとおトイレ行ってくるね』
『はーい。いってらっしゃぁい♪』
可愛らしく、2人に小さく手を振る詩織。
そして鈴ちゃんに半ば強引に手を引かれ、トイレへと向かう彼女。
僕らを囲む周りの女の子たちも、徐々にざわつき始めながら、じっとその様子を観ていた。
…席に残った僕らは…。
「よし。それじゃあ金魚、彼女をこのお店から無事に連れ出すための作戦会議…始めましょ」
「うん」
僕と詩織…いつものように視線を交わして見合う。
「ねぇ金魚、金魚と彼女…どっちが歳上だって見て思った?」
「うん。彼女のほうが少しだけ歳上かなって思っ…」
「でしょ!?私もそう思ったの!じゃあ、彼女は金魚の実のお姉ちゃんだって《設定》でいいよね?…」
…トイレから戻ってきた彼女と鈴ちゃんが席に座ってすぐ、僕は彼女に訊いた。
「えぇと…名前、訊いてもいい?」
「あ、はい。《筒井歩美》です」
「えーっ!?鮎美!?」
小声で叫ぶ詩織。
「はい。歩美…あの、変…でしょうか…歩美って…」
「ううん。全然変じゃない!」
…どうやらこの時、詩織は《金魚のお姉ちゃんの名前が"鮎"美なんて…凄い!!まるで小説とか漫画みたいな偶然!!》って思ったらしい…勘違いな漢字違いなんだけど…。
今度は鈴ちゃんが彼女に話し掛けた。
「もしかして…その3時間ものあいだで口にしたのって…飲み物一杯だけじゃないの?」
「はい…あの、メロンフラペチーノ…一杯だけです」
「えぇーっ。じゃあ、お腹ペコちゃんなんじゃない!?」
鈴ちゃんに続いてそう訊いた詩織に、ウンと答えた彼女。
「はい…お腹、空きました…」
「おトイレは?」
鈴ちゃんが…詩織が…また鈴ちゃんが…。次々と立て続けに、彼女に小さな声で質問する2人。
それに答える彼女も大変そう。
「トイレも…1回も行ってないです…ずっと座ってて、お尻もちょっと痛い…」
鈴ちゃんは立ち上がり、彼女の手をぐいっと引いた。
『一緒に行こう。おトイレ。3時間ものあいだ、1回も行ってないのは絶対体に悪いよ』
『えっ、でも…』
『大丈夫よ。鈴ちゃんが一緒に行ってくれるって、言ってくれてるんだから』
二人のやり取りを見てた詩織も一言添える。
『はい。じゃあ…』
『じゃあ詩織ちゃん、金魚ちゃん。ちょっとおトイレ行ってくるね』
『はーい。いってらっしゃぁい♪』
可愛らしく、2人に小さく手を振る詩織。
そして鈴ちゃんに半ば強引に手を引かれ、トイレへと向かう彼女。
僕らを囲む周りの女の子たちも、徐々にざわつき始めながら、じっとその様子を観ていた。
…席に残った僕らは…。
「よし。それじゃあ金魚、彼女をこのお店から無事に連れ出すための作戦会議…始めましょ」
「うん」
僕と詩織…いつものように視線を交わして見合う。
「ねぇ金魚、金魚と彼女…どっちが歳上だって見て思った?」
「うん。彼女のほうが少しだけ歳上かなって思っ…」
「でしょ!?私もそう思ったの!じゃあ、彼女は金魚の実のお姉ちゃんだって《設定》でいいよね?…」
…トイレから戻ってきた彼女と鈴ちゃんが席に座ってすぐ、僕は彼女に訊いた。
「えぇと…名前、訊いてもいい?」
「あ、はい。《筒井歩美》です」
「えーっ!?鮎美!?」
小声で叫ぶ詩織。
「はい。歩美…あの、変…でしょうか…歩美って…」
「ううん。全然変じゃない!」
…どうやらこの時、詩織は《金魚のお姉ちゃんの名前が"鮎"美なんて…凄い!!まるで小説とか漫画みたいな偶然!!》って思ったらしい…勘違いな漢字違いなんだけど…。
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