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女装と復讐 -街華編-

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バイトの高校生かな?と思われるウェイトレスの女の子が、笑顔ながらも恥ずかしそうに僕ら3人の目の前にやってきた。


『あの…私、鈴ちゃんの大ファンです!』

『そうなの?嬉しいな…ありがとう』


そしてウェイトレスの女の子が強引に、鈴ちゃんと両手握手したあと、改めて接客をはじめた。


『では、えぇと…申し訳ありません。ただ今、満席でして…』

『空いてるよ。ほら、あそこ』


詩織が明るい口調で指差した。あの彼女が独りぽつんと座っている4人テーブル席。


『しかも、ちょうど3人座れるね。良かった』


鈴ちゃんも笑顔を見せながら一言添える。


『そうなんですけど、相席になりますが…』

『じゃあ行こっ♪』


詩織と鈴ちゃんと僕は、さっさと彼女の座るテーブル席へと向かった。

その様子を黙ってじーっと観ている周りの女の子たち。


「相席…いいよね?」


周りの女の子たちには聞こえないように、詩織は彼女に小声で訊いた。

ゆっくりと顔を上げ、にこにこ笑顔の詩織を見た彼女。


『は…はい…』


はっと驚いて詩織の顔を見上げ、ちらっと僕を見ると…小さく頷いて、またすぐに俯いた。


『じゃあ座ろ座ろっ♪』

『金魚ちゃんはこっちに座って』


彼女の目の前に詩織。僕は詩織の隣に。鈴ちゃんは彼女の隣に座った。


「こんにちは。私は岡本詩織です。宜しくね。あと、池川金魚と…鈴ちゃん」


詩織が、相変わらず周りの女の子たちに聞かれないように小声で、僕らを紹介してくれた。


『…鈴ちゃんは…見たことあります。最近だと…旅番組で…』

『あー。あの番組は後輩の木橋みかなちゃんと私、ちょっと前にレギュラー交代したんだけどね』

『うんうん。だよねー。きゃははは』

『えっ?…ご、ごめんなさい』

『ううん。謝らないで。気にしてないから』


彼女は未だに俯いたまま…少しだけ顔を上げて、鈴ちゃんと詩織をちらりと見て…また下を向いた。


「…ねぇ、もうちょっと顔…よく見せてほしいなぁ…♪」


彼女はゆっくりと少しだけ顔を上げて、正面に座る詩織を…恐る恐る見た。

そんな彼女の顔と僕の顔を、何度も何度もきょろきょろと見比べる詩織。


「私の目の前に金魚。横にも金魚…不思議~。いひひひっ♪」

「ほんと。そっくりね」


声を潜めて笑う詩織。鈴ちゃんも笑ってる。
そんな雰囲気から察したのか、彼女も恥ずかしそうに、少し笑顔を見せてくれた。



大きな襟の黒っぽいシャツのボタンを上から2つまで外し、小粋に着ている彼女。細い首元にはシルバーの細めのチェーンがキラキラと輝いている。
穿いているのはブーツカットのスリムな淡紺色のジーパン。そして銀紐のヒールサンダル。

彼女の栗色の長い綺麗な後ろ髪は左頭部に掻き集められ、紫色のシュシュで纏められて、サイドアップポニーテールになっている。

彼女のスタイルは、全体的に見てセンスが良い《カッコ可愛い!》って感じ。


「…ねぇ聞いて」


詩織に、弱気っぽく頷いて応えた彼女。それからまた少し目線を落とした。


「…私たちね、あなたを問い詰めようってここ、スタバに潜入したんじゃないの。安心して」

『えっ!?』

「しっ!!…できるだけ小声で話して!!」

「あっ…ごめんなさい」


彼女はまた謝って、少し堅い表情に戻った。

周りの女の子たちの注目が僕らに集まっているのを…ひしひしと肌身で感じる…。


「もう3時間以上も、ここに座ってるんでしょ?」


彼女は小さく頷いた。


「ちゃんとここから、無事に出してあげるからね」
























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