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女装と復讐 -街華編-
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私は、このままじゃいけない。早急に何が手を打たなきゃって考…--
『雄二さん、アンナさーん』
控え室の扉が開き、男性職員さんが雄二さんとアンナさんを呼ぶ。
どうやら、詩織の撮影の順番が回ってきたらしい。
『杏菜と金魚はここに座ってろ。俺一人で行ってくる』
『あ…うん。お願いね』
雄二さんが立ち上がり、詩織に撮影の順番が回ってきたことを伝えるために、ナオさんと詩織の元へと近づいてゆく。
「お前らしょんぼりして、何の話をしてたんだ?」
「あ、えっとね…ナオさんの飼ってた猫ちゃんが、3年前に死んじゃったんだって話。それ聞いてたら、私も中学2年まで飼ってた、すっごく可愛かったヨーキーの《ちゃおちゃん》のこと、思い出して…」
『…話が途切れてしまったけど、話が長くなってしまってごめんなさいね』
『あ、いえ…そんな』
『まぁ…そんなこんなでね、長く悩んでたときに菊江さんに連れられて、うちの美容院に突然現れたのが、あなた…ってわけだったの』
ここからは、また僕視点での語りに戻ります。
…そして僕の女装メイク顔を見て、アンナさんは僕…金魚を《詩織のパートナーに充てて、瀬ヶ池の街を歩かせよう》と…言い方は悪いかもしれないけど、そうアンナさんは《案じた》わけだ。
『その後のことは、あなた達が瀬ヶ池の街や嘉久見大通りとかで、経験してきた今までのとおりよ』
アンナさんの、少し長かった話は終わったらしい。
『あの…ひとつふたつ質問いいですか?』
『うん。なに?』
僕はアンナさんをじっと見た。
『あの…なんで詩織をそこまでして、こだわって芸能界に入れさせたいって頑張ってるんですか?』
『えっ、なんでって…』
僕のそれを聞いて、本当に驚いているアンナさん。
『あなただって、もう十分解ってるでしょ?詩織の愛嬌ある明るい性格も、綺麗な詩織のスタイルや歩き方も、詩織の顔はメイク前もメイク後もずっと可愛いんだってことも…』
解ってるでしょ?と訊かれれば、確かに解ってはいるけど…詩織の性格は確かに明るいけど…愛嬌ってか時々イタズラ好きな小悪魔ですけど。
だけど普通に《瀬ヶ池の凄く可愛い女の子》じゃダメだったんだろうか…?
『あははははは。だから私がさっき言ったじゃない』
ナオさんがそう言いながら僕らのほうへ来て、さっきまで雄二さんが座っていた椅子にそっと座った。
『ぜーんぶ《アンナの我儘》が成してきたこと。良いことも悪いこともね』
『悪いことってなによ…』
アンナさんがナオさんの横顔を、ちょっと不機嫌そうに軽く睨む。
『だけど本当なの。それぐらい《本物の自分の妹》ってくらいにアンナは詩織ちゃんのことが大好きで可愛いし、そんな詩織があの世界で活躍する未来を夢見てる…今も。これからも』
『…でしょ?アンナ』とナオさんから訊かれたら、アンナさんは『知らない!』と一言言って、少し恥ずかしそうにそっぽを向いた。
珍しいな…いつも沈着冷静なアンナさんが恥ずかしがってるなんて。
『あの…アンナさん。次の質問…いいですか?』
『うん。訊いて』
僕はアンナさんを。アンナさんは僕を見た。
『雄二さん、アンナさーん』
控え室の扉が開き、男性職員さんが雄二さんとアンナさんを呼ぶ。
どうやら、詩織の撮影の順番が回ってきたらしい。
『杏菜と金魚はここに座ってろ。俺一人で行ってくる』
『あ…うん。お願いね』
雄二さんが立ち上がり、詩織に撮影の順番が回ってきたことを伝えるために、ナオさんと詩織の元へと近づいてゆく。
「お前らしょんぼりして、何の話をしてたんだ?」
「あ、えっとね…ナオさんの飼ってた猫ちゃんが、3年前に死んじゃったんだって話。それ聞いてたら、私も中学2年まで飼ってた、すっごく可愛かったヨーキーの《ちゃおちゃん》のこと、思い出して…」
『…話が途切れてしまったけど、話が長くなってしまってごめんなさいね』
『あ、いえ…そんな』
『まぁ…そんなこんなでね、長く悩んでたときに菊江さんに連れられて、うちの美容院に突然現れたのが、あなた…ってわけだったの』
ここからは、また僕視点での語りに戻ります。
…そして僕の女装メイク顔を見て、アンナさんは僕…金魚を《詩織のパートナーに充てて、瀬ヶ池の街を歩かせよう》と…言い方は悪いかもしれないけど、そうアンナさんは《案じた》わけだ。
『その後のことは、あなた達が瀬ヶ池の街や嘉久見大通りとかで、経験してきた今までのとおりよ』
アンナさんの、少し長かった話は終わったらしい。
『あの…ひとつふたつ質問いいですか?』
『うん。なに?』
僕はアンナさんをじっと見た。
『あの…なんで詩織をそこまでして、こだわって芸能界に入れさせたいって頑張ってるんですか?』
『えっ、なんでって…』
僕のそれを聞いて、本当に驚いているアンナさん。
『あなただって、もう十分解ってるでしょ?詩織の愛嬌ある明るい性格も、綺麗な詩織のスタイルや歩き方も、詩織の顔はメイク前もメイク後もずっと可愛いんだってことも…』
解ってるでしょ?と訊かれれば、確かに解ってはいるけど…詩織の性格は確かに明るいけど…愛嬌ってか時々イタズラ好きな小悪魔ですけど。
だけど普通に《瀬ヶ池の凄く可愛い女の子》じゃダメだったんだろうか…?
『あははははは。だから私がさっき言ったじゃない』
ナオさんがそう言いながら僕らのほうへ来て、さっきまで雄二さんが座っていた椅子にそっと座った。
『ぜーんぶ《アンナの我儘》が成してきたこと。良いことも悪いこともね』
『悪いことってなによ…』
アンナさんがナオさんの横顔を、ちょっと不機嫌そうに軽く睨む。
『だけど本当なの。それぐらい《本物の自分の妹》ってくらいにアンナは詩織ちゃんのことが大好きで可愛いし、そんな詩織があの世界で活躍する未来を夢見てる…今も。これからも』
『…でしょ?アンナ』とナオさんから訊かれたら、アンナさんは『知らない!』と一言言って、少し恥ずかしそうにそっぽを向いた。
珍しいな…いつも沈着冷静なアンナさんが恥ずかしがってるなんて。
『あの…アンナさん。次の質問…いいですか?』
『うん。訊いて』
僕はアンナさんを。アンナさんは僕を見た。
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