312 / 490
女装と復讐 -街華編-
page.301
しおりを挟む
詩織の写真撮影は1回目を難無く終え、2回目の撮影のためにアンナさんが櫛やドライヤー、ヘアスプレーを使って、詩織の髪を再度セットし直している。
僕もまだまだ下手なりにも無事に撮影が済み…って、僕の撮影はこの1回で終了。今は詩織の隣に座って雑談していた。
『ねぇ詩織』
『うん?何』
いつものように、あまり首を動かせない状態の詩織。
『彩乃がもう鈴ちゃんと仲良くするなって…瀬ヶ池の街を堂々と歩くなって言ってたけど…』
『気にしてるの?あんなの勝手に言わせとけばいいのよ。冗談じゃないわ』
ナオさんは少し離れた位置で、雄二さんと何やら話をしている。
『これからだって堂々と瀬ヶ池の街を歩くし、鈴ちゃんとも仲良くランチとかもする。何も変わらない。金魚だってそうでしょ?』
『うん。だよね』
『ほらぁ、笑って金魚。表情が硬いよ。リラックスリラックス』
僕と詩織は、互いを見合って微笑んだ。
『詩織、さっきはお疲れさま』
『ありがとう。金魚もね』
詩織の髪のセットが済んだところで、雄二さんがこっちへと歩き寄ってきた。
『なぁ金魚。俺と杏菜との3人で少し話しようぜ』
『?』
僕は目をぱちくりしながら、雄二さんの顔を見上げた。
「詩織ちゃーん、こっち来て私と、ちょっとお話しない?」
逆に詩織はナオさんに呼ばれた。
『はーいナオさん。ちょっと待ってねー。今行くからー』
詩織とナオさんは何の雑談をしてるんだろう?…ケラケラと大袈裟に笑い合いながら話をしてる様子。
そして僕の目の前には、並んで座ったアンナさんと雄二さんの2人。
『金魚…お前はもう杏菜から聞いてるかもしれないけどな…俺達が詩織と初めて知り合った頃のこと、そして詩織を規約違反させてまで《G.F.》専属モデルデビューさせた経緯、お前と詩織がなぜ引き合わせられ、パートナーとなったのか…お前にその真実の全てを話して教えておく…』
いつになく、凄く真面目に語った雄二さん…。
『杏菜、あとは任せた』
アンナさんは黙って頷いた。
…これより、以下の語りは僕じゃなくて、アンナさんですから。お間違いなく…。
--私と詩織が初めて出会ったのは…かれこれ9年前。美容院がオープンしてから1ヶ月が経った頃よ。
ダンスの先生をしてるっていう新しいお客さま《園原智恵さん》の紹介で、詩織は紹介されたママに付いて、2人でこの美容院に来てくれたの。
当時は詩織は小学生5年生の11歳。私は美容専門学校を卒業して、まだ1年しか経っていなかった21歳。その当時の店長は…現役のベテラン美容師だった雄二のお母様だったのよ。--
僕もまだまだ下手なりにも無事に撮影が済み…って、僕の撮影はこの1回で終了。今は詩織の隣に座って雑談していた。
『ねぇ詩織』
『うん?何』
いつものように、あまり首を動かせない状態の詩織。
『彩乃がもう鈴ちゃんと仲良くするなって…瀬ヶ池の街を堂々と歩くなって言ってたけど…』
『気にしてるの?あんなの勝手に言わせとけばいいのよ。冗談じゃないわ』
ナオさんは少し離れた位置で、雄二さんと何やら話をしている。
『これからだって堂々と瀬ヶ池の街を歩くし、鈴ちゃんとも仲良くランチとかもする。何も変わらない。金魚だってそうでしょ?』
『うん。だよね』
『ほらぁ、笑って金魚。表情が硬いよ。リラックスリラックス』
僕と詩織は、互いを見合って微笑んだ。
『詩織、さっきはお疲れさま』
『ありがとう。金魚もね』
詩織の髪のセットが済んだところで、雄二さんがこっちへと歩き寄ってきた。
『なぁ金魚。俺と杏菜との3人で少し話しようぜ』
『?』
僕は目をぱちくりしながら、雄二さんの顔を見上げた。
「詩織ちゃーん、こっち来て私と、ちょっとお話しない?」
逆に詩織はナオさんに呼ばれた。
『はーいナオさん。ちょっと待ってねー。今行くからー』
詩織とナオさんは何の雑談をしてるんだろう?…ケラケラと大袈裟に笑い合いながら話をしてる様子。
そして僕の目の前には、並んで座ったアンナさんと雄二さんの2人。
『金魚…お前はもう杏菜から聞いてるかもしれないけどな…俺達が詩織と初めて知り合った頃のこと、そして詩織を規約違反させてまで《G.F.》専属モデルデビューさせた経緯、お前と詩織がなぜ引き合わせられ、パートナーとなったのか…お前にその真実の全てを話して教えておく…』
いつになく、凄く真面目に語った雄二さん…。
『杏菜、あとは任せた』
アンナさんは黙って頷いた。
…これより、以下の語りは僕じゃなくて、アンナさんですから。お間違いなく…。
--私と詩織が初めて出会ったのは…かれこれ9年前。美容院がオープンしてから1ヶ月が経った頃よ。
ダンスの先生をしてるっていう新しいお客さま《園原智恵さん》の紹介で、詩織は紹介されたママに付いて、2人でこの美容院に来てくれたの。
当時は詩織は小学生5年生の11歳。私は美容専門学校を卒業して、まだ1年しか経っていなかった21歳。その当時の店長は…現役のベテラン美容師だった雄二のお母様だったのよ。--
1
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる