女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -街華編-

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『タダでは教えられませんって…あの…どういうことかなぁ…』


樋口が金魚に提示する条件…何も聞かなくても、なんとなく想像できる…。

僕は無意識に、樋口の唇をじっと見てた…。


『私の唇…どうですか?可愛いですか?』


えっ?…うわわゎ!!
僕は慌てて樋口の唇から視線を外した。


『えっと…姫さまへのお願い事なんですが、今日は詩織ちゃんがいないので…代わりに私と一日デートしてください…』


はぁ?…デ…デート!?


『…それで私が満足できて、教えてもいいかなぁーって気分になれたら《カラフル》の色んなこと…教えようかなぁと思います』


金魚のことを『姫さま』とか呼ぶくせに…《満足できたら》とか《気分で》とか《教えようかなぁ》とか…もう、お前のほうが何様だよ!!


『…絵里佳ちゃんと、ほんとにデートしたら…あのサイトの色んなこと、教えてくれる?』

『それは私の気分次第で…ってゆうか、ほんとに私と一日デートしてくれるんですか?』

『えぇと…だからね、教えてくれるって約束してくれるなら…』

『約束もなにも、気分次第です』

『…。』


…そんな問答の繰り返しが、しばらく続いた。
ほんとに樋口…僕こいつ嫌だー!






僕は試着室のカーテンをシャッ!と開けた。


『じゃあ…わかった。とりあえずデート始めよう。絵里佳ちゃん』

『ひ、姫さま!?…ほんとに!?…嬉しーぃ♪』


…なにが『嬉しーぃ♪』だっての。僕のほうが樋口に根負けしたし…あぁ。


『絵里佳ちゃん…これ買ってくるから、ちょっとここで待ってて』


僕は黒のノースリーブTシャツと、ピンクのふわふわフリルたっぷりミニスカートを抱きかかえて、レジへと急いだ。

そして僕とさっきの店員のお姉さんが、レジカウンターで支払いのやり取りをしてた最中のこと…。


『あの…今買ったTシャツとフリルのミニスカート…今着ていくので…』


うん。そうそう…えぇっ!?
着てくわけないじゃん!!
つか、今言ったの誰だよ!?


『…なので、タグを外してもらえませんか…』

『えっ?あ…はい』


金魚の代わりにそう言った《謎の声》に、不思議そうにそう応えた店員のお姉さん。
そのお姉さんの目線を追っていくと…あぁ。また…こいつの仕業だよ…。

僕の背中に隠れて、を店員のお姉さんに言ってた樋口…。
もう勘弁してよ…。これ、詩織への誕生日プレゼントなんだって…。


『ほんとに着てくの?…金魚ちゃん』

『はぁぁ……はい。今着ていきます…』


…溜め息しか出ない。

そして僕の代わりに、今買った商品を受け取る樋口…。
樋口はTシャツとミニスカートの入った白い紙袋を、なんだか思いあり気にそっと優しく抱きしめた。


『じゃあ…もう一回、試着室でお着替えしましょ♪姫さまぁ』

『…。』

『ほらぁ姫さま、早くぅ』


店員のお姉さんが、変な顔で僕らを見てる…。

ち、違う…誤解です!


























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