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女装と復讐 -街華編-
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ファミレス前の歩道に残った僕ら3人。僕は鈴ちゃんにも頭を下げる。
『…ごめんなさい』
『そんなの気にしなくたっていいのいいの。私が喋ったら、金魚ちゃんのインタビューの邪魔になるだけだったし。だから』
そして一瞬、会話は途切れそうになった。
『ねぇ。金魚ちゃん、詩織ちゃん。今からアンプリエ行かない?』
…アンプリエ?
『アンプリエの44階にね、凄くお洒落で、とーっても美味しい高級スィーツレストランがあるの。改めて3人だけで、金魚ちゃんの《G.F.》デビューのお祝いしようよ!』
『…だけど、まだランチ終わったばかりで、行ってもお腹に入らないし…今日のお財布の中身だって…』
僕が少しお断り気味な言い方をしてしまったせいか…やや困った表現の鈴ちゃん。
でも詩織が、そんな雰囲気を払拭してくれた。
『金魚。お勘定なら大丈夫だってば。私に任せて。あなたのデビューのお祝いなんだもん。とりあえずアンプリエに行こうよ!』
僕と鈴ちゃんを安心させようと努めてるかのような、ぱっと明るい笑顔の詩織。
詩織…ごめん。ありがとう。
てゆうか…。
嘉久見大通りで鵜鷹目の団体に声を掛けられて…鈴ちゃんと合流し…アンプリエへと向かう今までの一部始終を、鈴ちゃんの妹…丹羽彩乃に見られてたか…僕ら、そんなの全く誰も気付かなかった……怖っ!
日付は変わって、今日は5月3日の水曜日。5日間の連休の始まり…つまりGWの初日。そして今は午前7時40分。
僕はいつものようにアンナさんの美容院でひとり、金魚の服に着替え…そしてメイク開始。
今日は金魚になって初めての《一人で瀬ヶ池の街ぶらぶら歩き》。詩織は大学の女の子友だち数人と、2泊3日の京都旅行らしい。
じゃあ春華さんは?…昨夜から4連日の病院内缶詰め泊勤。
もちろんアンナさんは仕事で無理だし、秋良さんは『お前と俺だけで歩いてたら、変な噂立っちまうだろ?』ってことらしくて却下。
啓介さん?…うーん…今はちょっと微妙…やめとこう。
今日は土曜日じゃないから、東京都内にいる鈴ちゃんとのランチも、どう考えたって無理だし…。
『…金魚』
『はい』
アンナさんの声に、僕は振り向いた。
『色々と、みんなに連絡したのに…結局、今日は一人で瀬ヶ池…って、ごめんなさいね』
『えっ…あ、いえいえ。僕のことなら、だ…大丈夫です』
…ほんとはちょっと不安だけど。
『今日は少しくらいなら、早く帰ってきてもいいから』
『あ…はい。お心遣いありがとうございます』
…ってことで…そして今、僕は瀬ヶ池へと僕を送る《おばタク》の車内。
『…金魚ちゃん、今日は一人だなんて珍しいわね』
『あはは…だよね』
あぁ…何も起きなければいいけど…不安。
『…ごめんなさい』
『そんなの気にしなくたっていいのいいの。私が喋ったら、金魚ちゃんのインタビューの邪魔になるだけだったし。だから』
そして一瞬、会話は途切れそうになった。
『ねぇ。金魚ちゃん、詩織ちゃん。今からアンプリエ行かない?』
…アンプリエ?
『アンプリエの44階にね、凄くお洒落で、とーっても美味しい高級スィーツレストランがあるの。改めて3人だけで、金魚ちゃんの《G.F.》デビューのお祝いしようよ!』
『…だけど、まだランチ終わったばかりで、行ってもお腹に入らないし…今日のお財布の中身だって…』
僕が少しお断り気味な言い方をしてしまったせいか…やや困った表現の鈴ちゃん。
でも詩織が、そんな雰囲気を払拭してくれた。
『金魚。お勘定なら大丈夫だってば。私に任せて。あなたのデビューのお祝いなんだもん。とりあえずアンプリエに行こうよ!』
僕と鈴ちゃんを安心させようと努めてるかのような、ぱっと明るい笑顔の詩織。
詩織…ごめん。ありがとう。
てゆうか…。
嘉久見大通りで鵜鷹目の団体に声を掛けられて…鈴ちゃんと合流し…アンプリエへと向かう今までの一部始終を、鈴ちゃんの妹…丹羽彩乃に見られてたか…僕ら、そんなの全く誰も気付かなかった……怖っ!
日付は変わって、今日は5月3日の水曜日。5日間の連休の始まり…つまりGWの初日。そして今は午前7時40分。
僕はいつものようにアンナさんの美容院でひとり、金魚の服に着替え…そしてメイク開始。
今日は金魚になって初めての《一人で瀬ヶ池の街ぶらぶら歩き》。詩織は大学の女の子友だち数人と、2泊3日の京都旅行らしい。
じゃあ春華さんは?…昨夜から4連日の病院内缶詰め泊勤。
もちろんアンナさんは仕事で無理だし、秋良さんは『お前と俺だけで歩いてたら、変な噂立っちまうだろ?』ってことらしくて却下。
啓介さん?…うーん…今はちょっと微妙…やめとこう。
今日は土曜日じゃないから、東京都内にいる鈴ちゃんとのランチも、どう考えたって無理だし…。
『…金魚』
『はい』
アンナさんの声に、僕は振り向いた。
『色々と、みんなに連絡したのに…結局、今日は一人で瀬ヶ池…って、ごめんなさいね』
『えっ…あ、いえいえ。僕のことなら、だ…大丈夫です』
…ほんとはちょっと不安だけど。
『今日は少しくらいなら、早く帰ってきてもいいから』
『あ…はい。お心遣いありがとうございます』
…ってことで…そして今、僕は瀬ヶ池へと僕を送る《おばタク》の車内。
『…金魚ちゃん、今日は一人だなんて珍しいわね』
『あはは…だよね』
あぁ…何も起きなければいいけど…不安。
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