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女装と復讐 -街華編-

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急に大変!…って、アンナさん…?
その理由をアンナさんから聞いて、僕と詩織は見合った。

…えっ?もう来てる!?
じゃあ急がないと!


『アンナさん!行ってくるね!』
『行ってきます』

『気をつけて!いってらっしゃい!』


バッグを勢いよく掴み、慌てて美容院クローシュ・ドレを飛び出てゆく詩織。僕も詩織のあとを追うように表へと出る。

階段をドタバタと駆け下り、ちらりと駐車場を覗く僕ら。


『あら、こんにちは。詩織ちゃん、金魚ちゃん』

『えぇ…ちょっと岡ちゃん!いつ来てたの!?』

『ううん。来たばかりよ』


《おばタク》の白いレクサスの前に、きちんと姿勢よく立っている岡ちゃん。

来たばかり…そんな様子には見えない。10分はここで待ってたように見て思える。






…アンナさんが先ほど岡ちゃんに電話したところ、普段だったら運転業務中のため留守電なのに、今日は電話に出たから少しびっくり。

しかも『もう、美容院の下の駐車場にいます』って聞いたもんだから、アンナさんは更にびっくり…!





岡ちゃんが後部座席のドアを開けてくれた。


『さぁ、お嬢ちゃん達。行きましょう』


僕も詩織も一旦呼吸を整え、少し落ち着いて後部座席に乗り込む。ドアを優しく閉め、運転席へと戻る岡ちゃん。


『岡ちゃん、ほんとにごめんなさい。私たち全然気付かなくて…』

『ううん。詩織ちゃん謝らないで。黙ってここに来た私が悪いんだから』

『岡ちゃんは何も悪くないもん』

『うん…ありがとね。詩織ちゃん』





…僕は走行中の《おばタク》の中で、ひとり考えてた…。

このおかしな違和感しかない胸騒ぎ…それは《おばタク》と岡ちゃんが美容院の駐…違う。これが原因じゃなさそう。今日の金魚のメイクが僕のメイクだから…ってのもまた違う…。

何なんだろう…未だにおさまらない、この胸騒ぎ…。






《おばタク》は新井早瀬駅の駅前に到着。僕らはいつものように、岡ちゃんにドアを開けてもらい降りる。


『ありがとう。岡ちゃん』
『ありがとう』

『はい。じゃあ…お気を付けてね。お嬢ちゃん達』


そして、いつものように《おばタク》は走り去った。


「金魚ちゃーん、詩織ちゃーん」


僕らに小さく手を振ってくれてる女の子。


「先週の《春フェス》のステージライブ、凄く良かったー」
「可愛いー」
「今日も可愛いー」

『ありがとう♪』


…いつもと変わらず、瀬ヶ池の女の子たちに迎えられながら、僕らは適当に歩き出す。


『ねぇ金魚、どうする?どこに行ってみる?』

『うーん…そうだね…』

『とりあえず、瀬ヶ池の街の中をちょっと散歩してみて…』


…してみたけど、鵜鷹目がいそうな雰囲気はない…。
それを囲む女の子たちの人集ひとだかりも無さそうだし…。


『じゃあ…次は《ハイカラ通り》見てこよう』

『う…うん』


以来…僕にとってちょっと苦手となった、瀬ヶ池のなかでも一番人気のお洒落な街通り…《ハイカラ通り》。






『結局…見付からなかったね。鵜鷹目…』

『うん…』


…ただただ、あのお高くとまったお洒落なお姉さま方や、自慢気な可愛い女の子たちに…僕らがまたジロジロと見られただけだった…。


『…どうしよぅ…金魚』


次の提案に迷…いかけた詩織だったけど…。


『…あ!』

『うん。アンプリエ?もしかして…』

『そう!アンプリエ!《ダメもと》かも?だけど、行ってみようよ!』


初めて僕らの閃きはシンクロした。






『…けど金魚、なんで今分かったの?私の考えた思いつき…?』


























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