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女装と復讐 -街華編-
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『おはよう。詩織』
『うん。おはよー信吾』
…って挨拶したのは、2時間ほど前の午前10時頃。
昨夜は遅かったし、もちろん終電もない。だからもう一晩、詩織とアンナさんのマンションに泊めてもらった…ってわけ。
いつものようにリビングに寝ていて…起きたあと、アンナさんが作ってくれた《モーニングアイスココア》と、美味しい《ホットケーキ》を詩織と食べながら、僕らはまた昨日の《春フェス》のことを思い出してすぐ話してた。
昨日のステージ出演の思い出話をする詩織は、語りながら時折笑ってて…凄くハイテンションだったし、本当に嬉しそうだった。
それで思い出したように鈴ちゃんにLINEしたら、詩織のiPhoneに鈴ちゃんから電話が掛かってきて、そこでも詩織はにこにこ笑顔で鈴ちゃんと会話してた…。
そんな僕らを見てるアンナさんも、なんだか嬉しそうだった。
そして今、時刻は午後0時13分。僕はアパートへの帰路の電車の中…ドアのすぐに脇に立っていつものように、その窓から見える流れ行く街の風景を、黙ってじーっと眺めている。
…鈴ちゃんが明日…月曜日に、鈴ちゃんのブログに秋良さん達の洋服ネット通販サイトのURL、大基さんの小物アクセサリーショップの住所と連絡先、アンナさんの美容院の情報を載せてくれる。とても有り難い。
それらの情報を秋良さんやアンナさんに教えてもらう為に昨夜、鈴ちゃんは打ち上げに駆けつけてくれたようなもの。
鈴ちゃんは秋良さんに言ってた…『こんなにお綺麗な可愛い女性たちにいつも囲まれていて、秋良さんは幸せですね』って。
けど秋良さんは笑って『もう慣れたよ』『けど詩織みたいな奴もいるしなぁ』って言って…詩織に頭をポカポカと叩かれながら、どやされて言い合ってたっけ。
あの二人のいつものとおりのやり取り…昨夜も見てて本当に面白かった。
…僕はその他にも、昨夜の打ち上げ中に聞いたり話し合った《気になること》を、幾つか思い出してた…。
詩織と春華さんを交えて話していた《偽物の金魚》出没の件…。
誰なんだろう…どんな女の子?
今のところ、僕…てゆうか《本物の金魚》に悪影響は出てないけど…どうにか早めに解決ささたい。
それと、もう一つ…鵜鷹目との遭遇と《G.F.》デビュー。
あのステージ上で鈴ちゃん達とお喋りしてたときも、観客の女の子から『《G.F.》デビューしないのー?』って言われてた…けど、ほんとは僕だってしたいんだよ。デビュー。早く…というか。
それと、秋良さんと話していたのは《啓介さん》の恋心事情…。
あの特設ステージに集まった女の子たちに、啓介さんが何度も何度も『なんか、あの人カッコ良くない!?』『うん!カッコいい!』って言われてた…そして『そろそろ、啓介さんにも可愛い彼女さんが現れそうですね!』って、僕が秋良さんに話した。
…んだけど、秋良さんから『ああ…だがそれは難しいな…』って言い返された。
なぜ秋良さんがそう思うのかを訊くと…《啓介は俺も認めるイケメンだが、超奥手で真面目すぎる》《あいつは恋愛に関しては硬派で、自分の好きなオンナのタイプを誰にも話さない》《すぐには好きに慣れない奴》…って。
そして…啓介さんの彼女の作れない、最大かつ決定的な理由…。
《…お前も気付いてんだろ?》
《えっ?あの…何がですか?》
《だから…啓介の片思いの相手だよ。あいつ…今度こそ本気で好きになれるタイプのオンナ、やっと見付かったみたいなんだけどよ…》
《えっ!?そうなんですか!…それは良かったですね!》
《…それが良くねーんだよ》
《えっ?》
《はぁ!?お前…マジで気付いてねーの…?》
《…??》
《あのなぁ、よーく聞いとけよ。啓介が片思いしてんのはなぁ…》
《…はい?はい…はい…あー…ん?…んんっ!?………えぇぇっ!!?》
『うん。おはよー信吾』
…って挨拶したのは、2時間ほど前の午前10時頃。
昨夜は遅かったし、もちろん終電もない。だからもう一晩、詩織とアンナさんのマンションに泊めてもらった…ってわけ。
いつものようにリビングに寝ていて…起きたあと、アンナさんが作ってくれた《モーニングアイスココア》と、美味しい《ホットケーキ》を詩織と食べながら、僕らはまた昨日の《春フェス》のことを思い出してすぐ話してた。
昨日のステージ出演の思い出話をする詩織は、語りながら時折笑ってて…凄くハイテンションだったし、本当に嬉しそうだった。
それで思い出したように鈴ちゃんにLINEしたら、詩織のiPhoneに鈴ちゃんから電話が掛かってきて、そこでも詩織はにこにこ笑顔で鈴ちゃんと会話してた…。
そんな僕らを見てるアンナさんも、なんだか嬉しそうだった。
そして今、時刻は午後0時13分。僕はアパートへの帰路の電車の中…ドアのすぐに脇に立っていつものように、その窓から見える流れ行く街の風景を、黙ってじーっと眺めている。
…鈴ちゃんが明日…月曜日に、鈴ちゃんのブログに秋良さん達の洋服ネット通販サイトのURL、大基さんの小物アクセサリーショップの住所と連絡先、アンナさんの美容院の情報を載せてくれる。とても有り難い。
それらの情報を秋良さんやアンナさんに教えてもらう為に昨夜、鈴ちゃんは打ち上げに駆けつけてくれたようなもの。
鈴ちゃんは秋良さんに言ってた…『こんなにお綺麗な可愛い女性たちにいつも囲まれていて、秋良さんは幸せですね』って。
けど秋良さんは笑って『もう慣れたよ』『けど詩織みたいな奴もいるしなぁ』って言って…詩織に頭をポカポカと叩かれながら、どやされて言い合ってたっけ。
あの二人のいつものとおりのやり取り…昨夜も見てて本当に面白かった。
…僕はその他にも、昨夜の打ち上げ中に聞いたり話し合った《気になること》を、幾つか思い出してた…。
詩織と春華さんを交えて話していた《偽物の金魚》出没の件…。
誰なんだろう…どんな女の子?
今のところ、僕…てゆうか《本物の金魚》に悪影響は出てないけど…どうにか早めに解決ささたい。
それと、もう一つ…鵜鷹目との遭遇と《G.F.》デビュー。
あのステージ上で鈴ちゃん達とお喋りしてたときも、観客の女の子から『《G.F.》デビューしないのー?』って言われてた…けど、ほんとは僕だってしたいんだよ。デビュー。早く…というか。
それと、秋良さんと話していたのは《啓介さん》の恋心事情…。
あの特設ステージに集まった女の子たちに、啓介さんが何度も何度も『なんか、あの人カッコ良くない!?』『うん!カッコいい!』って言われてた…そして『そろそろ、啓介さんにも可愛い彼女さんが現れそうですね!』って、僕が秋良さんに話した。
…んだけど、秋良さんから『ああ…だがそれは難しいな…』って言い返された。
なぜ秋良さんがそう思うのかを訊くと…《啓介は俺も認めるイケメンだが、超奥手で真面目すぎる》《あいつは恋愛に関しては硬派で、自分の好きなオンナのタイプを誰にも話さない》《すぐには好きに慣れない奴》…って。
そして…啓介さんの彼女の作れない、最大かつ決定的な理由…。
《…お前も気付いてんだろ?》
《えっ?あの…何がですか?》
《だから…啓介の片思いの相手だよ。あいつ…今度こそ本気で好きになれるタイプのオンナ、やっと見付かったみたいなんだけどよ…》
《えっ!?そうなんですか!…それは良かったですね!》
《…それが良くねーんだよ》
《えっ?》
《はぁ!?お前…マジで気付いてねーの…?》
《…??》
《あのなぁ、よーく聞いとけよ。啓介が片思いしてんのはなぁ…》
《…はい?はい…はい…あー…ん?…んんっ!?………えぇぇっ!!?》
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