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女装と復讐 -街華編-
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『金魚…悪い。俺も啓介も先に行くから…』
秋良さんと啓介さんは、先に《春フェス》の会場から出て帰るらしい。
今、春香さんはというと…わっちさんとヤマさんを、秋良さんの車に代わりに乗って家まで送っている頃らしい。
それで秋良さん達は、啓介さんの車で。
『お前らは、伊藤鈴と木橋みかなとお喋りしてからだろ?帰んの』
『あ…うん。ちょっと挨拶だけして…』
秋良さんは『うん、そうか』と納得したように大きく頷き、『あとで打ち上げ会やるから。来てくれよ』と啓介さんも僕らに手を振って、秋良さん達は先に会場をあとにした。
『鈴ちゃん…』
『あー。詩織ちゃん、金魚ちゃん。改めて…お二人とも、ステージ出演お疲れさま!』
僕らが《特設ステージ用テント》へと入ると、パイプ椅子に座ってステージ運営スタッフさん達と、楽しそうに雑談していた鈴ちゃんが立ち上がって、僕らに軽い労いの言葉で挨拶してくれた。
そして運営スタッフの皆さんも『詩織ちゃん、金魚ちゃん、1時間ものステージ出演ありがとう!』と喜んでくれた。
『あの…ごめんなさい。鈴ちゃん…』
『?』
詩織が少し小さく鈴ちゃんに謝った。
『私たち、先に帰らなきゃならなくなったの…』
『えっ…そうなんだ。ううん、別にそんなこと気にしなくても…』
《春フェス》は午後8時までだし、ステージの運営は午後7時まで。鈴ちゃんはもうしばらく、この会場からは帰れないんだった。
詩織は《私たちのグループで、打ち上げ会をやる予定》ってのも、鈴ちゃんに伝えた。
『良かったよ~。お二人さん。またこの街に来たら、今度は私も一緒にランチ誘ってよね』
みかなちゃんも笑顔で『お疲れさま~』って言ってくれた。
『じゃあ…私たち、行くね』
『うん。打ち上げするお店とか場所が分かったら、私にLINEしてほしいんだけど…いい?』
『きゃははは。もちろん!』
打ち上げする場所をLINEで教えてほしい…それはたぶん《あとで打ち上げに行く》ってことだ。
僕と詩織は、鈴ちゃんとみかなちゃん、そして運営スタッフの皆さんに手を振って特設テントから出た。
打ち上げの会場は…藤浦市南区狭山の中華街、とある高級中華料理店だった。
それで…これはさっきの会場でのこと…。
僕がアンナさんに電話して『どうやって帰ればいいんですか…?』と訊いたら…。
「あははは。私だって、ちゃんと見てたわよ。ナオと一緒に。金魚や詩織の、ステージ上での活躍ぶりをね」
『…えっ?アンナさん…もしかして、この会場に…?』
『あっ!…ねぇ、金魚…』
『うん?…!!』
会場の、人のあまりいない少し離れたところへ行って、アンナさんに電話してたんだけど…その僕らの目の前に、そのアンナさんとナオさんが…。
『お待ちなさいよ!私もいるわよ!』
…とか言いながら、ちょっと僕らに微笑んで…僕らの肩を掌でリズムよくパンッ!パンッ!と叩く、なんだかご機嫌そうな菊江さんも。
『金魚ちゃん、詩織ちゃん。お疲れさまだったね!』
『ナオさん…ありがとう。でも…疲れたぁ…』
急に疲れた様子を見せる詩織を見て、嬉しそうに笑うアンナさんとナオさん。
ふと気になったのか、ナオさんがちらっと周りを見ると…。
『あらら…見てアンナ。そろそろ女の子たちに囲まれはじめたみたいね』
『金魚も詩織も…有名っ子さんは大変ね』
『うん…ね』
アンナさんが足早に、自分の車を停めた有料駐車場へと僕らを誘導しながら、これからのことを説明してくれた。
『まずは私のマンションに戻るわ。それから少し仮眠をとりなさい。そしてシャワーを浴びて着替えて…それで打ち上げの会場は、狭山の中華街だから。ね』
『えっ…狭山!やったーぁ♪』
秋良さんと啓介さんは、先に《春フェス》の会場から出て帰るらしい。
今、春香さんはというと…わっちさんとヤマさんを、秋良さんの車に代わりに乗って家まで送っている頃らしい。
それで秋良さん達は、啓介さんの車で。
『お前らは、伊藤鈴と木橋みかなとお喋りしてからだろ?帰んの』
『あ…うん。ちょっと挨拶だけして…』
秋良さんは『うん、そうか』と納得したように大きく頷き、『あとで打ち上げ会やるから。来てくれよ』と啓介さんも僕らに手を振って、秋良さん達は先に会場をあとにした。
『鈴ちゃん…』
『あー。詩織ちゃん、金魚ちゃん。改めて…お二人とも、ステージ出演お疲れさま!』
僕らが《特設ステージ用テント》へと入ると、パイプ椅子に座ってステージ運営スタッフさん達と、楽しそうに雑談していた鈴ちゃんが立ち上がって、僕らに軽い労いの言葉で挨拶してくれた。
そして運営スタッフの皆さんも『詩織ちゃん、金魚ちゃん、1時間ものステージ出演ありがとう!』と喜んでくれた。
『あの…ごめんなさい。鈴ちゃん…』
『?』
詩織が少し小さく鈴ちゃんに謝った。
『私たち、先に帰らなきゃならなくなったの…』
『えっ…そうなんだ。ううん、別にそんなこと気にしなくても…』
《春フェス》は午後8時までだし、ステージの運営は午後7時まで。鈴ちゃんはもうしばらく、この会場からは帰れないんだった。
詩織は《私たちのグループで、打ち上げ会をやる予定》ってのも、鈴ちゃんに伝えた。
『良かったよ~。お二人さん。またこの街に来たら、今度は私も一緒にランチ誘ってよね』
みかなちゃんも笑顔で『お疲れさま~』って言ってくれた。
『じゃあ…私たち、行くね』
『うん。打ち上げするお店とか場所が分かったら、私にLINEしてほしいんだけど…いい?』
『きゃははは。もちろん!』
打ち上げする場所をLINEで教えてほしい…それはたぶん《あとで打ち上げに行く》ってことだ。
僕と詩織は、鈴ちゃんとみかなちゃん、そして運営スタッフの皆さんに手を振って特設テントから出た。
打ち上げの会場は…藤浦市南区狭山の中華街、とある高級中華料理店だった。
それで…これはさっきの会場でのこと…。
僕がアンナさんに電話して『どうやって帰ればいいんですか…?』と訊いたら…。
「あははは。私だって、ちゃんと見てたわよ。ナオと一緒に。金魚や詩織の、ステージ上での活躍ぶりをね」
『…えっ?アンナさん…もしかして、この会場に…?』
『あっ!…ねぇ、金魚…』
『うん?…!!』
会場の、人のあまりいない少し離れたところへ行って、アンナさんに電話してたんだけど…その僕らの目の前に、そのアンナさんとナオさんが…。
『お待ちなさいよ!私もいるわよ!』
…とか言いながら、ちょっと僕らに微笑んで…僕らの肩を掌でリズムよくパンッ!パンッ!と叩く、なんだかご機嫌そうな菊江さんも。
『金魚ちゃん、詩織ちゃん。お疲れさまだったね!』
『ナオさん…ありがとう。でも…疲れたぁ…』
急に疲れた様子を見せる詩織を見て、嬉しそうに笑うアンナさんとナオさん。
ふと気になったのか、ナオさんがちらっと周りを見ると…。
『あらら…見てアンナ。そろそろ女の子たちに囲まれはじめたみたいね』
『金魚も詩織も…有名っ子さんは大変ね』
『うん…ね』
アンナさんが足早に、自分の車を停めた有料駐車場へと僕らを誘導しながら、これからのことを説明してくれた。
『まずは私のマンションに戻るわ。それから少し仮眠をとりなさい。そしてシャワーを浴びて着替えて…それで打ち上げの会場は、狭山の中華街だから。ね』
『えっ…狭山!やったーぁ♪』
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