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女装と復讐 -躍動編-

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菊江さんは、最後に大きく観客の人たちに手を振り、ステージを下りていった。
ステージの真ん中には、スタッフさんたちが用意してくれたパイプ椅子が4脚。


『金魚ちゃんと詩織ちゃん、真ん中のほう座る?』

『えぇ…いいよぉ。鈴ちゃんとみかなちゃんが真ん中』

『遠慮しないで。いいから』

『ううん。遠慮じゃないの。だって芸能人のふたりを…』


…なんて、しばらく互いに《座る椅子の譲り合い》をしたあと、結局…僕と詩織が真ん中に。鈴ちゃんとみかなちゃんが僕らを挟むように両端に。お互いが斜めに見合えるよう、緩い《ハの字》の形に座った。



『改めまして…お疲れさまでしたー。岡本詩織ちゃんと池川金魚ちゃんでーす』


鈴ちゃんからの突然の紹介に、僕も詩織も立ち上がって観客へ手を振り、また座った。


『さっそくなんだけど…鈴ちゃ先輩もお二人も、ここ美波県藤浦市出身?』


まずは木橋みかなちゃんから、僕らへの質問。


『うん。そう…だよね』

『私は藤浦市の隣の徳豊市です』


詩織がそう即答した。


『じゃあ、金魚ちゃんは?』


鈴ちゃんからそう訊かれると、僕は…とにかく焦りまくり。
まさか正直に『田舎の真山市押木町』なんて言えな…。


『金魚も徳豊市よね。私と学校は違ったけど』


…!

あぁ、助かった…。
僕は『うん。そう。徳豊市』って…言って頷いた。


『へぇ…じゃあ、藤浦市出身なのは私だけかぁ』

『でも徳豊市は藤浦市の隣って言っても、ほんとに近いから…』


詩織は鈴ちゃんと話しながらそんな僕を見て、にっこりと微笑んでくれた…ありがとう詩織。


『じゃあ私から、もう1こ質問いっちゃうよ~』


みかなちゃんは、そう言いながら…立ち上がって観客のほうを見た…?


『…って言っても、観客の皆さんになんだけど。あの…詩織ちゃんと金魚ちゃんって、この藤浦市でそんな有名な子なの?』


観客側からは、わあっと湧いた声援のような肯定の声が、たくさん返ってきた。


『へぇ…有名なんだ』


僕も詩織も『そう!私たちは有名人なの!』…なんて自分達たちのことを堂々と断言して言えるわけもなく…ただ笑って話題を濁して、なんとか誤魔化した。


『でもわかるー。可愛いもんね~。詩織ちゃんも金魚ちゃんも』






…しばらくそんな雑談をしてたんだけど…今もその雑談の最中だけど。


『…っていうか、聞いてほしいの。今日は観客の皆さんに私、凄く自慢したいことが1つあるの』

『へぇー。鈴ちゃ先輩、その自慢って何ですか?』


観客側からも、わあっと反応が返ってきてる。
鈴ちゃんの自慢?って、なんだろう…。




























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