女装と復讐は街の華

女装と復讐 -躍動編-

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鈴ちゃんはテーブルの上に両肘を置き、腕を軽くて組んだ。


『…私が初めに気になったのは…金魚ちゃん。周りの他の女の子たちとは全然違って、凄く際立って可愛い…って思ったの。あぁいうの、何って言うんだろう…特別なオーラ？雰囲気？みたいなのを感じた…って言うのかな』


僕も一言さえ聞き逃さまいと、語る鈴ちゃんを真正面からじっと…真剣に見…んっ！？

…そのキラキラした大きく綺麗な目…艶があって柔らかそうな、形の整った唇…そしてツンとした可愛い小鼻…はぁ…ドキドキドキドキ。

うわーぁ！！…こらこら！岩塚信吾！！
今は僕は金魚なんだ！今は女の子！！
ここは鈴ちゃんの語りに一点集中しろーっ！！

あぁ…でも本当に天使。これって奇跡だ…綺麗だし可愛いし…こらっ。


『…あんなに可愛い子、前から瀬ヶ池にいたの？知らなかった…って。私、本当にそう思った…』


鈴ちゃんの瞳はどこかに留とどまらず、左に右にと…まばたきをしながら何度か彷徨さまよった。


『…本当は分かってたの。ちゃんと会場全体に視線を配らなきゃって。だけど、私の胸の中は…もう金魚ちゃんをじっと見たくて、もっと見たくて…けど我慢しなきゃって頑張ってた…』


時々、鈴ちゃんの語りに詩織が頷いてるのが、見なくてもなんとなく感じ取れる。


『…あの子って、どんなふうに笑うの？…笑顔やっぱり可愛いよね…って私、あのとき完全に、金魚ちゃんに心惹かれてた…』


はっ！と我に帰ると…鈴ちゃんは僕の顔を見てた。


『今、こうやって間近で見てても…やっぱり金魚ちゃんって可愛い…』


いやいや。鈴ちゃんに比べたら…。


『…でも、金魚ちゃんの笑顔を見る機会があった…隣には詩織ちゃんがいた。あ、あの２人はお友達なんだ…って解ったとき、詩織ちゃんが羨ましいなぁって思ったの…』


鈴ちゃんが気を使ったかのように言う。


『…私はすぐに思った。隣の詩織ちゃんも凄く可愛いって』

『ううん。私なんて、金魚の可愛さに比べたら』

『そんなことない。詩織ちゃんだって凄く可愛いもの』


詩織と鈴ちゃんは急に小さく笑った。


『へへっ。どうもありがとう。鈴ちゃん』

『私は詩織ちゃんも金魚ちゃんも、２人とも可愛くて大好きよ』


…優しいな。鈴ちゃん。

この姉にしてあの妹？…妹の彩乃とは、顔こそ似てるけど性格は全然違う。同じ姉妹でも、こんなに違うもの！？…ってぐらいに。




『失礼します…』


襖の向こうから、さっきの女性スタッフの声。


『お料理をお持ちしました…』