女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -躍動編-

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受付の女性スタッフが受話器を置いた。すると店内の奥からもう1人、女性スタッフがやってきた。


『では、個室席のほうへご案内させていただきます』


テーブル席の並ぶ、やや広めの落ち着いた雰囲気の店内…その奥へと誘導される。


『ここからは畳の廊下になります。お履物を脱いでお上がり下さい。お履物は係りの者が靴箱へお入れさせて頂きますので、そのままで結構です』


詩織と鈴ちゃんはミュールを、僕はヒールサンダルをそれぞれ脱いだ。

そして更に奥へ。畳の廊下はやや狭く、その左右に襖の個室席が並んでいる。
…どこまで奥に案内されるんだろうか…。


『こちらの個室になります』


女性スタッフが畳の廊下に両膝を落として襖を開ける…やっと到着。室内は六畳間のお座敷席。






『さてさて。金魚ちゃんも詩織ちゃんも、何食べる?』


有名現役芸能アイドルに、高級和食を奢ってもらう僕ら…金魚と詩織。

……って、凄くない?



そうこうしていると、屈んで注文を承っている女性スタッフの背後に、和装姿の若い女性が現れた。


『リンリン。いらっしゃーい♪』

『あー。ゆずぽん』


…リンリン?ゆずぽん?

ゆずぽんと呼ばれた和装姿の綺麗な女性は、2歳くらいの男の子を抱いている。


『先日はお客様のご紹介、ありがとうね。リンリン』

『ううん。こちらこそ。わぁ…大きくなったね!かけるくん』







…そして注文を終えた僕ら3人。
メニューには注目品の値段が書いてなかった。これ本当に高級なんだ…絶対そうだって理解して…詩織も僕もドキドキした…。


『…彼女は私より1こ歳上の《坂井小柚子》っていうの。このお店のオーナーの御令息と結婚して、今や高級日本人料亭の若女将』


へぇ…凄い。


『私と《G.F.》デビューの同期で、ここの《専属素人モデル》を経て、イケメンの彼と結ばれたってわけ』

『す、凄ぉーい!』


ほら。詩織だって驚いてる。






…そして3人は、また他愛もないお喋りを始めた。


『私がこんな格好で目の前に現れて、驚いた?』

『うん。ちょっと』
『でも驚いた?って、どうして?』


詩織のそんな疑問に、鈴ちゃんは答えた。


『私って《大人しい格好》だとか《いつも上品な服装》って言われてたから』


あー。確かに。
鈴ちゃんの出演している番組とかCMとか見てても、確かに鈴ちゃんは《いつもお嬢さまみたいに上品で可愛らしい服装》だった。


『だけど、とってもこの服装がお洒落だし、可愛いし、意外性は凄いけどほんとに素敵って、私は思ったよ』
『うんうん』

『あはは。詩織ちゃんも金魚ちゃんもありがとう』




そして続いて、話題はがらりと変わって去年末の《G.F.アワード》授賞式での話に…。


『…ねぇ鈴ちゃん、初めて観客席で発見した金魚と私って…どんな感じだったの?』























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