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女装と復讐 -躍動編-

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地下鉄高須線、浅堀町駅の改札口を通り、僕らはアンプリエに一番近い《9番出入口》を目指して…たんだけど、お喋りに集中し過ぎて…。


『…だったら凄いねーって。きゃははは』

『あれれ??』

『?』


地下鉄構内から地上へ出る階段を、コツコツと上がった僕ら3人。地上に出て見えた景色は…陽の光を反射して眩しい高層ビル群と、あの嘉久見大通りの長い横断歩道の近くの風景…?


『なんで?ここ、9番出口だよ…ね…』


僕らは見上げて出入口の番号表示板を確認…7番出口。
あちゃ…。


『わ、私たち…出入口間違えちゃったみたい…きゃははは』

『詩織ちゃん、金魚ちゃん。また戻って歩く?』

『んー…』


《また地下鉄構内に戻って、9番出口を目指して歩く時間を考えたら、横断歩道で待ってたほうが早いかもって思う》そう提案した僕の意見に、鈴ちゃんも賛同して…。


『じゃあ、信号待ちしよう…ね。詩織ちゃん』






信号待ちしているあいだも、すぐに鈴ちゃんだと気付いて集まってきて騒ぐ、新たな野次馬の女の子たち…。


『鈴ちゃん、アンプリエでランチするんだよね?』

『うん。45階にある《美膳庵》っていう日本料亭のお店なんだけど』


…アンプリエの45階…。間違いなく《超高級レストランフロア》だ…。


『そういえば金魚ちゃん…来週の《藤浦市スプリングフェスタ》ね、ここ…嘉久見大通りを通行封鎖して開催されるの』

『えっ?ここ?』


…そうなんだ。へぇ…。


『だよねー。鈴ちゃん。私は知ってたー。来たことあるし』


知らなかったのは僕だけらしい。それにしても春フェス開催、もう来週?早いな。
声のトーンを落として、鈴ちゃんは続きを話しだした。


『…その《スプリングフェスタ》の開会式の司会…私と彩との2人で務めることになってるの…』

『えっ?そうなの?』
『彩…妹の彩乃ちゃん?』

『うん』


ふと…鈴ちゃんがデジタル表示の、横断歩道の信号待ち時間を確認した。


『あ…ほら、信号が変わるよ』


待ちに待ってやっと、横断歩道の歩行者用信号が赤から青に。僕らは自然と横断歩道を渡りだした。






僕らがアンプリエのビル内に入ると、エントランスフロアに居合わせていた、たくさんの女の子たちが、また『鈴ちゃんだぁ!』って、わーわーキャーキャー…もういいって。
鈴ちゃんはもう、そういうのに慣れてるのか、全然気にしてないみたいだけど。

じゃ、まずはエレベーターに乗って、45階に行かないと。
僕と詩織はエレベーターの、それを待つ人の列の最後尾に並ぼうとした。


『金魚ちゃん、詩織ちゃん』

『?』
『?』

『こっちこっち』


えっ?だってエレベーター…??
僕と詩織は顔を見合わせた。

いつも僕らは幾つが並ぶ、この銀色の扉のエレベーターに乗ってた。鈴ちゃんが手招きしてる目の前には…3つの黒い扉のエレベーター!?

僕らはそのエレベーターのそれぞれの黒い扉の前に立つ、3人の黒いビジネススーツ姿の女性スタッフの1人に呼び止められた。


『《An特別登録会員》丹羽鈴です』

『いつもご利用ありがとうございます』


鈴ちゃんは黄色いバーキンの中から赤い長財布を取り出し、更にその財布の中から金色のカードを取り出して、目の前の女性スタッフに差し出した。
それを特別なカードリーダーに通し、確認する女性。

ちょっとドキドキするくらい、凄い管理セキュリティだ…。


『確認できました。間もなくエレベーターが参ります』






『…びっくりしたでしょ』

『んもぅ、びっくりしたぁ…』
『びっくりした…』


このエレベーターは《アンプリエ・特別登録会員》または《契約入居者企業》の社員しか利用できない特別なエレベーターらしい。


『あとね…こっちのエレベーターじゃなきゃ、24階より上の階には行けないの』


へぇ…そうなんだ。

























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