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女装と復讐 -躍動編-

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…んー?…あ。やっぱり鈴ちゃんだった。
鈴ちゃんは改札口を、手を振りながら通り出てきた。


『金魚ちゃん、詩織ちゃん。ほんとごめーん。結構長く待たせちゃって』


鈴ちゃんが僕らの目の前に現れた瞬間から…「きぃゃぁぁあー!!」「本物の鈴ちゃんだぁぁー!!」…って、野次馬女の子たちの起爆したような声援と拍手がもう凄い凄い。やっぱり、これこそ本物の芸能人…って感じ。


『ううん。気にしないで。えぇと…ラジオの生放送、お疲れさまぁ♪』

『あはは。ありがとう』


鈴ちゃんは少し照れくさそうに、大きなまん丸サングラスを一瞬だけ外して、僕らにその顔立ちを拝見させてくれた。

こ…これはヤバい。鈴ちゃんの照れた笑顔とか、その大きくて印象的なぱっちり目とか…なんて可愛らし過ぎることか…。

そして鈴ちゃんはサッとすぐに、またサングラスを掛けた。

一旦冷静になって、改めて鈴ちゃんをこんな間近で見ても…スタイルも細くて綺麗だし顔は天使みたいに可愛いしで…いくら金魚でも鈴ちゃんのこの可愛さには…やっぱり敵わないな。


『ずっと会いたかったんだ…私。金魚ちゃんと詩織ちゃんに早く会って、早くお話ししてみたい…って、ずっと思ってた』

『うん。私も…』
『僕も…』


あーっ!!
つい鈴ちゃんに夢中で、無意識に《僕》って言っちゃったぁぁー!!

…けど、それは誰にも聞こえてなかった…ふぅ。危なかった。






ぁ…えぇっ!!?

ふと我に返って気付いた…僕らの周りはもの凄い、ちょっとしたパニック状態になっていた。

いつの間にか野次馬の群れは大きく膨れ上がり、地下鉄改札口を出てきた人…更に駅構内を行き交ってた人たちまでが足を止め、遂には駅員さんたち数名が出動する騒ぎに…。


『あらら?集まった人の数ったら、もうお祭り騒ぎみたいね。きゃはははは♪』


冷静に…いかにも気持ち好さそうに、そう言って笑ってる詩織。


『これ以上ここに居たらご迷惑だから、とりあえず移動しましょ』


鈴ちゃんのこの意見に僕も詩織も同意した。


『ねぇ私たち、今からどこ行く?』

『金魚ちゃんも詩織ちゃんも、ランチまだでしょ?』

『うん。まだー』
『まだです』


『実はね…そう思って先に、日本料亭のお店を予約しておいたの』

『えっ…日本料亭?』


日本料亭…って、いかにも高そう。
僕らがそれへの返答に困っていると…。


『大丈夫。今日は私にランチ、奢らせて』


…えっ!?
僕も詩織も、その一言にびっくり!!


『鈴ちゃん!そんなのダメだよぉ!』

『じゃあ決定ね。地下鉄でまた浅堀町へ戻ることになるけど…いい?』


浅堀町…ってことは…アンプリエ?
アンプリエに、そんな高級そうな料亭のお店…あったっけ??


『ちょっと待って!』

『?』
『?』


鈴ちゃんは急に立ち止まり、振り返って周りの野次馬の群れを見た。


『今は私たち…プライベートな時間なの。ごめんなさい…付いて来ないで。お願い…』


そう言って、鈴ちゃんは目を輝かせていた女の子たちに頭を下げた。


『…ごめんなさい』

























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