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女装と復讐 -躍動編-
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すっかり意気消沈した樋口…。がっくりと肩を落とし、僕の首に絡めた両腕を解放して…僕からゆっくりと2歩離れた。
聞き捨てならない発言に、詩織が冷静沈着に反論する。
『ねぇ、彩乃ちゃん…今の私たちへの憎まれ口は何なの…?』
『憎まれ口?…って、言葉のとおりよ』
今度は詩織と彩乃が睨み合う。
『…私は寛大な人間だから…今の言葉、すぐに撤回するって言うのなら、聞かなかったことにしてあげても…』
『ううん。撤回はしないわ…覚えておいて。私は詩織ちゃんと金魚ちゃん…あなた達2人が嫌いなの!』
『!!!』
冷静を装う詩織の表情…でも内心は、グツグツと怒りに煮え繰り返ってるに違いない。
うわっ!
彩乃が樋口をゆっくりと力強く突き放し、僕のすぐ目の前に来た…!!
『…本当ね。背は私より少し小っちゃくて…顔なんて噂で聞いてたよりも凄く可愛い。こんな可愛い子をこんなに間近で見るの…私初めてかも』
鈴ちゃんの実妹の丹波彩乃。顔は姉に似て天使みたいに凄く可愛いのに…言うことはそれとは反して女悪魔のよう…。
…こんな状況で《噂よりも凄く可愛い》とか、そんなことを言われても『ありがとう』なんて言う気になれない。
『…なるほどね。その《計算して作ってるんじゃない、演技できないくらい不器用な、素顔のままの表情》が、あなたの可愛いらしさを倍増させてるのね…へぇ』
更にぐっと僕に接近し、僕の顔の全て…その細部まで見確かめるかのように、まじまじと覗き込む彩乃。
くそっ…こんなに嫌な感じの彩乃なのに、こんな至近距離で顔を見ても、やっぱり…目が大きくて、鼻もツンとしてて…肌も綺麗でめちゃくちゃ可愛い…ちくしょ。
『…だけど、凄く可愛いって認めるけど…金魚ちゃん。やっぱり私よりは劣っちゃうかな。ふふっ。じゃあ…次。詩織ちゃんはどうかな…』
突然、斎藤が僕の目の前から、丹波彩乃を突き放した。
『お前…いい加減にしとけよ!』
『今すぐここから消えろ!』と言い加える斎藤。
対して『…なにを急に感情的になってるの?ヨシヒト様ったら。ふふっ』と、斎藤に言い返す彩乃。
『じゃ…いいわ。最後に、これだけを伝えたら私たち、別の場所に行くから』
斎藤を見ていた彩乃の目線が、詩織と僕へと変わり向く。
『…あなた達も去年の《G.F.アワード》見に来てたんでしょ?だったら、そこで私が宣言したの…覚えてる?』
…宣言?
『《私はこの街で、1番の女の子になりたい》って…そう宣言したの。思い出した?』
思い出したどころか、今もはっきりと記憶してる。
『…詩織ちゃんも金魚ちゃんも、中途半端に有名になってくれたもんだから…それの妨げになってるの』
『妨げ?…って私たちを侮辱する言い方、絶対に許せないんだけど!!』
彩乃のその一言に抗って、詩織が彩乃に噛み付くようにそう言い返した。
『あら?そう?…ごめんなさいね。でもはっきりと言っておくわ…』
『…邪魔しないでよね』
聞き捨てならない発言に、詩織が冷静沈着に反論する。
『ねぇ、彩乃ちゃん…今の私たちへの憎まれ口は何なの…?』
『憎まれ口?…って、言葉のとおりよ』
今度は詩織と彩乃が睨み合う。
『…私は寛大な人間だから…今の言葉、すぐに撤回するって言うのなら、聞かなかったことにしてあげても…』
『ううん。撤回はしないわ…覚えておいて。私は詩織ちゃんと金魚ちゃん…あなた達2人が嫌いなの!』
『!!!』
冷静を装う詩織の表情…でも内心は、グツグツと怒りに煮え繰り返ってるに違いない。
うわっ!
彩乃が樋口をゆっくりと力強く突き放し、僕のすぐ目の前に来た…!!
『…本当ね。背は私より少し小っちゃくて…顔なんて噂で聞いてたよりも凄く可愛い。こんな可愛い子をこんなに間近で見るの…私初めてかも』
鈴ちゃんの実妹の丹波彩乃。顔は姉に似て天使みたいに凄く可愛いのに…言うことはそれとは反して女悪魔のよう…。
…こんな状況で《噂よりも凄く可愛い》とか、そんなことを言われても『ありがとう』なんて言う気になれない。
『…なるほどね。その《計算して作ってるんじゃない、演技できないくらい不器用な、素顔のままの表情》が、あなたの可愛いらしさを倍増させてるのね…へぇ』
更にぐっと僕に接近し、僕の顔の全て…その細部まで見確かめるかのように、まじまじと覗き込む彩乃。
くそっ…こんなに嫌な感じの彩乃なのに、こんな至近距離で顔を見ても、やっぱり…目が大きくて、鼻もツンとしてて…肌も綺麗でめちゃくちゃ可愛い…ちくしょ。
『…だけど、凄く可愛いって認めるけど…金魚ちゃん。やっぱり私よりは劣っちゃうかな。ふふっ。じゃあ…次。詩織ちゃんはどうかな…』
突然、斎藤が僕の目の前から、丹波彩乃を突き放した。
『お前…いい加減にしとけよ!』
『今すぐここから消えろ!』と言い加える斎藤。
対して『…なにを急に感情的になってるの?ヨシヒト様ったら。ふふっ』と、斎藤に言い返す彩乃。
『じゃ…いいわ。最後に、これだけを伝えたら私たち、別の場所に行くから』
斎藤を見ていた彩乃の目線が、詩織と僕へと変わり向く。
『…あなた達も去年の《G.F.アワード》見に来てたんでしょ?だったら、そこで私が宣言したの…覚えてる?』
…宣言?
『《私はこの街で、1番の女の子になりたい》って…そう宣言したの。思い出した?』
思い出したどころか、今もはっきりと記憶してる。
『…詩織ちゃんも金魚ちゃんも、中途半端に有名になってくれたもんだから…それの妨げになってるの』
『妨げ?…って私たちを侮辱する言い方、絶対に許せないんだけど!!』
彩乃のその一言に抗って、詩織が彩乃に噛み付くようにそう言い返した。
『あら?そう?…ごめんなさいね。でもはっきりと言っておくわ…』
『…邪魔しないでよね』
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