女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -躍動編-

page.171

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ナオさんは両手を腰に当て、細めた疑いの目で、アンナさんを見た。


『ねぇ…何かおかしくない?私と丹波彩乃ちゃんが繋がることで、何かアンナたちに不都合なことでもあるの?…それで、それは私には正直に言えないことなの…?』


アンナさんはふふっと笑った。


『そうね…ナオの言うとおり、それは私たちに不都合なのかもね』


…とは言ったけど、アンナさんはその詳細を語ることはなかった。


『んま、いいわ。別に言いたくないなら。私は今はもう、彩乃ちゃんよりも金魚ちゃんのほうに期待してるから』


ナオさんはそのあと…『ひゃあ!もうこんな時間!?…お得意様んとこに急がなきゃ!!』って…。

…慌てて帰って行かれました…。






『じゃあ…あの日の話の続きをするわね』


詩織も僕も、じっとナオさんに見入った。


『…まず、これは基本的なことだけど《G.F.》デビューを果たすためには《鵜鷹目》って称され呼ばれているスカウト視察特別スタッフに、誘われなきゃダメ…ってのは、もう解ってるわよね』


僕も詩織も、うんうんと頷く。


そういえば…誰かから聞いたんだったかなぁ…視察特別スタッフ《鵜鷹目》に遭遇するには、相当な《運》が必要だとか。

だけど、いかにも《取材スタッフ》らしく、こう…男性が一眼レフのカメラを手に持ってて、怪しいぐらいにキョロキョロしてて、女の子に声を掛けては名刺を差出してる…。

そんな《鵜鷹目》の想像イメージ。
だから実は一目で判る…というか、探し易いのかも?なんて思う…。


『ちなみにね…《鵜鷹目》ってのは、お洒落な女の子2人組だから』


…そんなのに《運》なんてさ、言うほど必要ないん…えっ?お…女の子2人組!?


『しかも毎週毎週、担当するスタッフは違うから。そこが難しいところなのよね
…』


いやいやいやいやいや…。
やっぱり《運》はめちゃくちゃ必要だ!!
だって瀬ヶ池は、右を向いても左を向いても、どっちを向いても女の子だらけだ!その中の誰が《鵜鷹目》なのか…とか、うん!探しにくい!!


『ナオさん、それで《鵜鷹目》って、結局はどういう子たちなの?』


率直な詩織の質問に、ナオさんは静かに頷いて応えた。


『《鵜鷹目》はね、街のどこかで《鵜鷹目》にスカウトされて、《G.F.》デビューして…専属モデルを務めて…専属モデルを卒業した女の子たちの《最後のお務め》なの』


…なるほど。そういうことなんだ…。


『…詩織ちゃんも金魚ちゃんも、アンナが私に「金魚を《G.F.》デビューさせてくれたら、専属モデル獲得を許してあげる」って言ったの、覚えてる?』


…うん。もちろん。
そして、それが一番知りたかったこと。


『だけど誤解しないでね。なにも私が《G.F.》デビューの女の子の、採用決定権を持ってる…なんてわけないから』


…じゃあ《デビューさせてくれたら》の意味の真実は…?


『モデル撮影のスタッフのなかに1人、若い女性がいたのは覚えてる?』

『あー。叶美さんですか?』

『うん、そう。松島叶美』


僕も女性カメラマンがいたのは見て覚えてたけど、名前まで言えるとか…さすが詩織。


『彼女ね…私より2こ歳下の、私の実妹なの』


……妹さん?


























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