上 下
177 / 490
女装と復讐 -躍動編-

page.166

しおりを挟む
岡ちゃんは鈴ちゃんと一言二言お礼を交わし、電話を終えた。


『岡ちゃん、お電話ありがとーう♪』
『ありがとう』


岡ちゃんはニコッと笑った。


『詩織ちゃん、金魚ちゃん。最後に鈴ちゃんが言ってたわよ』

『言ってた…って!?』
『えっ、なんて?』


岡ちゃんは僕らに、更に優し気な笑顔を見せてくれながら言った。


『鈴ちゃんね、《2人ともなの。だから私からも…2人のことを岡ちゃん、宜しくね!》って』


私の…大切なお友達…。

僕は詩織と視線を交わした。
詩織はこぼれ落ちそうなくらい嬉しそうな笑顔だったけど、僕の絵がだって詩織に決して負けてなかったはず。


『じゃあ…もうたくさんの女の子たちが、金魚ちゃんと詩織ちゃんの2人が《おばタク》から出てくるのをずーっと待ってるみたいだから…そろそろドアを開けるわね。ちょっと待ってて』


すでに《おばタク》の左側は、瀬ヶ池の女の子たちであふれていた。
いつものように後部座席のドアを開けてくれる岡ちゃん。


『岡ちゃん、ありがとう』


先に詩織が出る。外のざわつく声が車内に勢いよく飛び込んでくる。


『ありがとう。岡ちゃん…よいしょ』


そして次に金魚ぼく。岡ちゃんに左掌を預け、ゆっくりと立ち上がるように外に出た。


「きゃあ!…ちょ…見て!!」
「あ…髪切ってる!!」
「わぁ!髪短く切ったんだぁ!可愛いー!」
「でもいい…この髪型凄くお洒落だしかわいい…」
「あー。金魚の今日の髪型、なんかいいねー」


…金魚…かよ。
本人に丸聞こえなんだからさぁ…《ちゃん》ぐらい付け…まぁいいや。


僕は僕らを取り囲む女の子たちの前に立ち、冷めたぐらい落ち着いて周りを見回した。


『きゃははは。やっぱり女の子たちの視線や注目を集めるって…ほんと気持ちいいねー』


僕は黙って、凄く上機嫌そうな詩織をまた見た。


『金魚…あなたがこの瀬ヶ池の《女の子たちの嬢傑 ヒロイン》となれる条件は…もう全て揃ってたりするのかもね』

『…揃ってる?』

『だって《並外れた可愛さ》《ファッションスタイル》《十分な知名度》《話題性》そして…《現役有名アイドルとお友達ー♪》』


『まぁ…鈴ちゃんの件に関しては、ただのラッキーだっただけ…だけどねー』なんて詩織。


『やっぱり…まだ揃ってない』

『えっ?…まだ何か足りなかった?』


僕は詩織に、冷静に頷いて見せる。


『…《G.F.》デビュー…』

『あっ!』


僕はもう一度、周りの女の子たちを見渡した…そして一言吠える。


『ねぇ…そんなにこの髪型って…いい?』


「えっ?」
「えっ!?」
























しおりを挟む
感想 224

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

バーチャル女子高生

廣瀬純一
大衆娯楽
バーチャルの世界で女子高生になるサラリーマンの話

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

処理中です...