161 / 490
女装と復讐 -躍動編-
page.150
しおりを挟む
僕らは瀬ヶ池の店舗を廻り、『なんかお洒落なチョコないかなー?』なんて探したけど…適当な好みのチョコは見つからなかった。
『なんか良さそうなチョコ、見付からなかったね。どうしよう…金魚』
『…そういえば今週って…たしか、アンプリエでバレンタインチョコのスペシャルプライスセール、やってたんじゃなかった?』
『えっ?そうなの!?知らなかった…じゃ行こう!』
…前にもこんな感じで、瀬ヶ池からアンプリエまで歩いたことあったっけ。
徒歩でだいたい30分くらい。歩くのが大好きな詩織と僕は、これぐらいの距離だったら、なんの苦にも思わない。
『ねぇ!あれ…金魚ちゃんと詩織ちゃんじゃない!?』
『本当だぁ!…えっ、見てあれ!なにあの羽根いっぱいの帽子…それもペアルック!?凄い!可愛いー!!…』
僕はそれに気付いて、ニコリと笑って彼女たちに手を振ってあげた。きゃーっと大はしゃぎで、手を振りかえしてくれた女の子たち。
『あらぁ…?金魚もやれるようになったじゃない。きゃははは♪』
『…あ、あはは…』
詩織はいつでも、歩くことと人に見られることが、本当に楽しそう。
僕らのことを知ってて、すれ違いざまに僕らを振り返る女の子たちは、いつも結構見るけど…後を追ってまで付いてくるような子は今まで…いや、これからも多分いない。
今からバレンタインのチョコを買いに向かうのは《la satif emplie》。広い広い嘉久見大通りの中央に大通りを仕切るように建つ、この藤浦市では有名な超高層タワービル。
僕らは嘉久見大通りの、あのもの凄く長い長い横断歩道の見えるところまで来た。
『あっ、急がなきゃ!走って!金魚!!』
そして詩織と僕は、歩行者用信号の青シグナルが点滅し、カウントダウンが10秒を切ったのを見て、慌てて駆け出した……!!
『はぁはぁ。あー…んもぅ。間に合わなかったぁ…』
息を切らせながら、そう小声で言う詩織。
ここの横断歩道の信号機は、一旦変わると見た目と同じく《待たせられ時間》もまた長い。
『はぁ…でも…《私のスマホで良ければ来週、鈴ちゃんと直接お話できるかもしれないわよ》って、岡ちゃん言ってたよね!』
『うん』
『来週かぁ…凄く楽しみ♪…はぁ。なんか、テンション上がっちゃうね!…はぁ…はぁ』
息を切らしながらも…詩織は凄くご機嫌そう。
『あ、そうそう。私からの信吾へのチョコ、好きなの選んでいいからね』
『ほんと!?あ…ありがとう』
詩織は本当に機嫌良さそうに、そう言ってくれた。
「…うん。だよねー…」
「はぁ?真依、あんたマジで何人の男の子と同時進行…ってゆうか付き合ってんのよ!?…みたいな。ねー」
「うんうん」
…信号待ちをする僕らのすぐ後ろに、ペアらしき女の子2人が来て立ったのを、僕はふと感じた。
詩織だって、それが気になった様子。
「ねぇ泉美、見てこの帽子!超可愛くない!?」
「あー可愛い。白い羽根でいっぱい覆われてるシルクハット?凄ーい。私初めて見たー」
「しかもお揃いだよ!隣の子と」
「あー。ほんとだね。お洒落だね」
……ん?
今、僕の帽子をツンツンと指で…触られた!?
僕は振り返っ…の前に、僕の真後ろの女の子を、じっと睨み付けるように見てる、詩織の顔が目に止まった。
えぇと…改めて僕は振り返る。
『あなた…今この子の帽子を触っ…』
『あっ!…あの…ごめんなさ……えっ!?』
僕より少し背の高いその女の子は、詩織に指摘され謝ろうとして、僕の顔を見るなり…目を円くして固まった。
『ちょ…泉美!ヤバいよ!この子、最近話題の金魚って子だよ!』
『あ…ああぁ…』
『なんか良さそうなチョコ、見付からなかったね。どうしよう…金魚』
『…そういえば今週って…たしか、アンプリエでバレンタインチョコのスペシャルプライスセール、やってたんじゃなかった?』
『えっ?そうなの!?知らなかった…じゃ行こう!』
…前にもこんな感じで、瀬ヶ池からアンプリエまで歩いたことあったっけ。
徒歩でだいたい30分くらい。歩くのが大好きな詩織と僕は、これぐらいの距離だったら、なんの苦にも思わない。
『ねぇ!あれ…金魚ちゃんと詩織ちゃんじゃない!?』
『本当だぁ!…えっ、見てあれ!なにあの羽根いっぱいの帽子…それもペアルック!?凄い!可愛いー!!…』
僕はそれに気付いて、ニコリと笑って彼女たちに手を振ってあげた。きゃーっと大はしゃぎで、手を振りかえしてくれた女の子たち。
『あらぁ…?金魚もやれるようになったじゃない。きゃははは♪』
『…あ、あはは…』
詩織はいつでも、歩くことと人に見られることが、本当に楽しそう。
僕らのことを知ってて、すれ違いざまに僕らを振り返る女の子たちは、いつも結構見るけど…後を追ってまで付いてくるような子は今まで…いや、これからも多分いない。
今からバレンタインのチョコを買いに向かうのは《la satif emplie》。広い広い嘉久見大通りの中央に大通りを仕切るように建つ、この藤浦市では有名な超高層タワービル。
僕らは嘉久見大通りの、あのもの凄く長い長い横断歩道の見えるところまで来た。
『あっ、急がなきゃ!走って!金魚!!』
そして詩織と僕は、歩行者用信号の青シグナルが点滅し、カウントダウンが10秒を切ったのを見て、慌てて駆け出した……!!
『はぁはぁ。あー…んもぅ。間に合わなかったぁ…』
息を切らせながら、そう小声で言う詩織。
ここの横断歩道の信号機は、一旦変わると見た目と同じく《待たせられ時間》もまた長い。
『はぁ…でも…《私のスマホで良ければ来週、鈴ちゃんと直接お話できるかもしれないわよ》って、岡ちゃん言ってたよね!』
『うん』
『来週かぁ…凄く楽しみ♪…はぁ。なんか、テンション上がっちゃうね!…はぁ…はぁ』
息を切らしながらも…詩織は凄くご機嫌そう。
『あ、そうそう。私からの信吾へのチョコ、好きなの選んでいいからね』
『ほんと!?あ…ありがとう』
詩織は本当に機嫌良さそうに、そう言ってくれた。
「…うん。だよねー…」
「はぁ?真依、あんたマジで何人の男の子と同時進行…ってゆうか付き合ってんのよ!?…みたいな。ねー」
「うんうん」
…信号待ちをする僕らのすぐ後ろに、ペアらしき女の子2人が来て立ったのを、僕はふと感じた。
詩織だって、それが気になった様子。
「ねぇ泉美、見てこの帽子!超可愛くない!?」
「あー可愛い。白い羽根でいっぱい覆われてるシルクハット?凄ーい。私初めて見たー」
「しかもお揃いだよ!隣の子と」
「あー。ほんとだね。お洒落だね」
……ん?
今、僕の帽子をツンツンと指で…触られた!?
僕は振り返っ…の前に、僕の真後ろの女の子を、じっと睨み付けるように見てる、詩織の顔が目に止まった。
えぇと…改めて僕は振り返る。
『あなた…今この子の帽子を触っ…』
『あっ!…あの…ごめんなさ……えっ!?』
僕より少し背の高いその女の子は、詩織に指摘され謝ろうとして、僕の顔を見るなり…目を円くして固まった。
『ちょ…泉美!ヤバいよ!この子、最近話題の金魚って子だよ!』
『あ…ああぁ…』
1
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる