女装と復讐は街の華

女装と復讐 -躍動編-

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僕は詩織に声を荒げながら言い返した。そして僕らは…激しく言い争った。


『はぁ？僕が何も分かってない？なにも分かってないのは詩織の方だろ！！』

『お願い！ちょっと落ち着いて私の話を聞い…』

『じゃあ詩織！僕の気持ちの何を解ってるってんだよ！言ってみろよ！』

『私だって！信吾の気持ち解ってるよ！だから今凄く《ありがとう》って思っ…』

『だったらなんで邪魔したんだよ！どうせ僕が詩織を出し置いて《出過ぎた口を利かせようとしてたのが気に食わなかった》とか思ったんだろ！』

『思ってない！違うってば！！』

『違わないだろ！何が違うってんだよ！』

『私は！金魚を守りたかったの！！聞いてよ！』

『僕を守りたかった？って何がだよ！詩織がさっき守ったのは…』

『お願い！聞いて！私の話…』

『…あの生意気なハイカラ通りの女の子らが、僕に正論を言われ責められないように、守ってやっただけじゃん！！』

『違う！なんで私が金魚より、他の女の子たちなんかを守ってあげなきゃならないの！？』

『んなこと知るかよ！！』

『…うぅ』


詩織は僕を睨み付けながら一瞬言葉を詰まらせた。
僕は一旦落ち着いて、最後に畳みかけるように詩織に言った。


『僕は、詩織のために…このサイトに書き込まれた誹謗中傷のことを言ってやろうとした。詩織のためにだよ？それを邪魔するとか…ほんと何を考えてるのか、理解できないんだけど…』

『…ねぇ、なんで…』

『僕と詩織はパートナーじゃん？仲間じゃん。なのに普通さぁ…邪魔する？』


…僕はそれ以上、詩織を責めるようなことは、絶対に言えなくなった…！


『…なんで信吾ってさ…ぅう…そんなに…頑固なの…ごうじ…っはぁ…強情なの…ぅ…ぅ』


ぅ…うわあーぁ！…どど、ど…どうしよう！！
詩織がぁ！ぼろぼろ涙を落としながら…泣き出したぁ！！


『いや…あの、本当にごめん…ちょっと言い過ぎた。だから…』

『お願ぃ…信吾アわるくラいの…ラからぁ…あやワらラいレ…うぅ…ぅ…』


泣き止まない…言葉の呂律もまわってない…うわぁぁ！！
僕はそこでやっと気付いて、ふと周りを見た。


「…なに！？あの子たち、こんな時間からケンカ！？」

「…ちょっと！ほら見て！…あの女の子泣いてない？？」


『！！』


野次馬の女の子たちに囲まれてる！！
僕は詩織の泣き顔を隠すように胸に抱き、今度は僕が詩織を引き摺るように狭い路地裏へと逃げ込んだ。


『あの…詩織、ごめん。本当ごめん』

『…っひ…お願いだから…ぁ…聞いてよ…信吾…』

『うん。聞くから。ごめん…。詩織、落ち着いて…詩織』


うわぁぁ…。僕は本当に後悔した。今日が…こんなことになるとは思ってもなかった…。

僕はキョロキョロと見回す…。適当に積まれ、古い雑誌が詰め込まれた段ボール箱を発見。
そこに詩織を座らせ、建物の壁にもたれ掛けさせた…。