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女装と復讐 -躍動編-
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不安そうに僕を見ている詩織。
『ねぇ、金魚ったらぁ!ほら…もう行こうってば…!』
詩織の少し固い、精一杯の笑顔…だけど僕は、僕らを囲む女の子たちをただじっと睨み付けて、詩織のその固い笑顔に笑顔で返してあげることはなかった。
『…今この中に、《カラフル》ってサイトのなかの私の…金魚のトピックに、なんか色々と有る事無い事を書き込んでる子…書き込みの常連の子とかいるの?ねぇ…』
…なんて訊いたところで、もし本当にいたとしても…正直に名乗り出るほど、ハイカラ通りの小娘たちは容易くない…なんてもう解ってたけど。
『…どうせ本当は、1人ぐらいはいるんだろうけど…まぁいいわ。私が本当に訊きたいのは、そこじゃないし…』
とうとう詩織は不安気に、黙り込んで静かに僕の横顔を見守ってる。
周りの女の子たちも、事の成り行きを黙って見てるだけ。
『…あのさぁ…《私への文句を書き込むトピック》のなかで見た《詩織への険悪批判》…あれ書き込んだのって誰?…てゆうか、詩織が卑怯?ってなにが?』
『!!』
僕は周りの女の子たちを厳しく警戒し威を払うのが限界で、驚く詩織の表情に振り返って優しく応えてあげるとか…そんな余裕なんてなかった…。
『…私のことをどう書き込まれても、今更だからどうでもいい。けど…私の大切な友だち…詩織のことを悪く言う…卑怯者だなんて言った奴は…私は絶っっ対に許さない!!』
『もういいよ金魚!!行こうってば!!』
詩織が僕の左腕を、上着の上から両手で強くぎゅっと握った。
「可愛いー」
…!!?
微かに聞こえた声…僕は慌てて、周囲に視線を巡らせた。
『誰!?今…可愛いって言ったの』
「あの…本当に不謹慎かなと一瞬思ったけど…本当にぷくうって怒った顔が、ほんとにほんとに…可愛いーって思ったから…」
僕はやっと、今『可愛い』って言った女の子を特定した。
『ちょっと!あなたね…私、今本っ気で怒ってるん…』
『だから!もう行くってば!!』
『あっ!ちょ…ま、詩織ぃ!』
…結局…僕は詩織に左腕をぐいぐいと引っ張られ、僕らを囲むその女の子たちの集団の中から、無理矢理外へと脱出させられた…!
『なんで最後まで言わせてくれなかったの!詩織!』
僕は詩織に引き摺られ、歩きながらそう詩織に叫ぶように言った。
『だから!最後まで言っちゃダメなの!!』
詩織もまた叫ぶように、僕に言って返した。
『なんで!?僕は詩織のために…!』
『あなたは何も分かってない!』
『えっ?』
詩織は急に立ち止まり、僕も慌ててつんのめりながら止まった。
『ねぇ、金魚ったらぁ!ほら…もう行こうってば…!』
詩織の少し固い、精一杯の笑顔…だけど僕は、僕らを囲む女の子たちをただじっと睨み付けて、詩織のその固い笑顔に笑顔で返してあげることはなかった。
『…今この中に、《カラフル》ってサイトのなかの私の…金魚のトピックに、なんか色々と有る事無い事を書き込んでる子…書き込みの常連の子とかいるの?ねぇ…』
…なんて訊いたところで、もし本当にいたとしても…正直に名乗り出るほど、ハイカラ通りの小娘たちは容易くない…なんてもう解ってたけど。
『…どうせ本当は、1人ぐらいはいるんだろうけど…まぁいいわ。私が本当に訊きたいのは、そこじゃないし…』
とうとう詩織は不安気に、黙り込んで静かに僕の横顔を見守ってる。
周りの女の子たちも、事の成り行きを黙って見てるだけ。
『…あのさぁ…《私への文句を書き込むトピック》のなかで見た《詩織への険悪批判》…あれ書き込んだのって誰?…てゆうか、詩織が卑怯?ってなにが?』
『!!』
僕は周りの女の子たちを厳しく警戒し威を払うのが限界で、驚く詩織の表情に振り返って優しく応えてあげるとか…そんな余裕なんてなかった…。
『…私のことをどう書き込まれても、今更だからどうでもいい。けど…私の大切な友だち…詩織のことを悪く言う…卑怯者だなんて言った奴は…私は絶っっ対に許さない!!』
『もういいよ金魚!!行こうってば!!』
詩織が僕の左腕を、上着の上から両手で強くぎゅっと握った。
「可愛いー」
…!!?
微かに聞こえた声…僕は慌てて、周囲に視線を巡らせた。
『誰!?今…可愛いって言ったの』
「あの…本当に不謹慎かなと一瞬思ったけど…本当にぷくうって怒った顔が、ほんとにほんとに…可愛いーって思ったから…」
僕はやっと、今『可愛い』って言った女の子を特定した。
『ちょっと!あなたね…私、今本っ気で怒ってるん…』
『だから!もう行くってば!!』
『あっ!ちょ…ま、詩織ぃ!』
…結局…僕は詩織に左腕をぐいぐいと引っ張られ、僕らを囲むその女の子たちの集団の中から、無理矢理外へと脱出させられた…!
『なんで最後まで言わせてくれなかったの!詩織!』
僕は詩織に引き摺られ、歩きながらそう詩織に叫ぶように言った。
『だから!最後まで言っちゃダメなの!!』
詩織もまた叫ぶように、僕に言って返した。
『なんで!?僕は詩織のために…!』
『あなたは何も分かってない!』
『えっ?』
詩織は急に立ち止まり、僕も慌ててつんのめりながら止まった。
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