女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -躍動編-

page.137

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岡ちゃんは何の躊躇もなく、僕のそれに答えてくれた。


『そうね。あなた達かも』

『!!』
『岡ちゃん!本当ぉ!?』


あの…詩織。今は僕が話してる番なんだけど…。


『だって、2人とも本当に可愛らしいし…そうね。鈴ちゃんに直接訊いてみてあげましょうか?』

『直接って…そんなこと出来るの!?』


…もういい。ねるわけじゃないけど…僕は黙って、もう詩織に任せとく…。


『だって私、鈴ちゃんとLINE友だちだもの。電話だって直接できるわよ』


…凄い!現役芸能アイドルとLINE友の!レクサスタクシーおばさんドライバー!67歳!AB型!!


『もし…それを確かめたとして…その後どうなるんだろう…』


僕は小さくボソッと呟いたつもりだったけど…それは岡ちゃんに聞こえていたらしい。


『そうね。鈴ちゃんはね…あぁ見えて、実は地元…ここ藤浦市に友達って、殆どいないのよ…』

『…なんで!?』


なんか…話のトーンが急に変わった…?
詩織のキラキラしてた瞳も、今は落ち着いてる…。


『でも、あの子だって芸能界デビューしたあとも何度か、あの子なりに友達を作ろうと頑張ったのよ』


…だけど、女の子らの殆どが、有名アイドルである伊藤鈴を遠慮がちに特別視。その結果…とてもじゃないけど《友達》という関係は遂に築けなかったらしい…。


『…それに、心からお友達だと信じてた子にも裏切られたことがあるの。《伊藤鈴と私、お友達よ》って話題を、男の子を誘って異性交遊するためだけの《ただの自慢の種》にされた…って…』

『…。』


…なんか…詩織も僕も黙ってしまった…。


『…こんな話までしちゃってごめんなさいね。だから…もし、鈴ちゃんがそう求めるなら…』


…そう求めるなら?…って?


『…鈴ちゃんのお友達になってあげてほしいの』

『えっ…ぉ、お友達!?』


詩織の瞳が、再び輝きを取り戻しはじめた。


『私、なりたい!鈴ちゃんとお友達になりたい!!』

『うふふふ』


岡ちゃんも、嬉しそうに笑ってる。

…この話題の最後に、鈴ちゃんに確認してもらうために《あとで停車したら、3人で記念写真を撮りましょう》って決まった。


『ねぇ岡ちゃん。今までに、他にどんな芸能人や有名人を乗せたことがあるの?』

『明石家さんちゃんも乗せたこともあるわ。あと聖子ちゃんとか…猪木さんとか…あと大御所の有名女優、宮代千恵子ちゃんとか…』


『凄ーい♪』


…うん。本当に本当に凄い。


『私はね、本来はそういった《要人》や《政治家さん》《業界人》とかの特別な方を専門に、お客様にお迎えする《特命個人ハイヤー》で…実は一般的な個人タクシーとかとはちょっと違うの』




















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