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女装と復讐 -躍動編-
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上着の左ポケットに隠した男子は、僕の顔をじっと見ている。
『僕たち…何も撮ってないですから…』
『じゃあ取り敢えず、今隠したスマホ、出して見せて』
その男子は黙ってしまった。他の中学生らも黙ったまま。
『撮ってないんでしょ。じゃあ見せて』
僕は男子に右掌を差し出した。
『黙って誰かを撮るのをね、《盗撮》って言うの。立派な犯罪だよ。犯罪。中学生ならもう判るでしょ?ほら…出して。スマホ』
黙っただけじゃなく、遂に目まで逸らす有り様の男子。
『金魚!!…中学生相手に、そんな強引なやり方…ダメだってば!!』
僕は詩織のその言葉に、振り返って応えようとはしなかった…けど。
『じゃあ…いいや』
僕は男子に差し出した手を下ろした。
『なにもね…本当に撮ってたからって、無理矢理削除!…ってわけじゃないんだ…』
『…えっ?』
男子は再び僕を見た。
『ただ…どうせなら、可愛く撮ってくれたかなぁ?…なんて、そう思っただけ。ごめんね』
なにを急に言ってんだろ…僕。なんか笑える。
僕は振り向いて、二歩三歩と詩織のもとへと戻り掛けた…。
『あっ!』
えっ?なんの声?…僕はまた振り向いた。
女子の1人が男子の左ポケットに突然手を突っ込み、青色のスマホを取り出した。そして何やら操作してる様子?
『あ、あの…黙って4回撮りました…ごめんなさい』
女子は僕の隣に来て、撮った写真を見せてくれた。僕もそれを覗き込む。
『あ…へぇ。ありがと。良かった…可愛く撮ってくれてたんだね。ただ…』
僕は写真のデータのひとつを指差した。
『…この写真だけは…削除してほしいなぁ…』
…それは駐車場で僕と啓介さんが、抱きしめ合ってる…ように見える写真…ちょっとこれは…。
『あの!』
『…?』
また、別の男子が…?
『とっ…と、撮ったら可愛く写ってたんじゃなくて…金魚さん自身が、かっ…か、可愛いんだと思います…!!』
えっ?なにを突然…顔を真っ赤にして、お増せなことを言い出してるんだろう…この男子は。
『金魚さんって…みんな、私のこと知ってるの?』
『はい!知ってます!』
『凄く可愛いって有名人です!』
『《カラフル》ってサイトで!』
『《パレット》ってサイトでも!』
超びっくり。こんな田舎街の中学生たちでさえ、僕…ってゆうか金魚のことを知ってるとか…。
『あの!私たちと一緒に写真!撮ってもらってもいいですか?』
『あははは。えー…どうっしよっかなーぁ…?』
全然断る理由はないんだけど、僕は悪戯っぽくそう言ってみた。
『お、お願いします!!』
『本当に本当のお願い!!』
『金魚さん!どうかお願いします!!』
『一生のお願いです!!』
『あはははは』
…あまりに必死になって、中学生たちが一生懸命言うもんだから、僕は今度は本気で笑ってしまった。
『今のは冗談。ごめんね。じゃあみんなで撮ろっか。…あのお姉ちゃんも一緒にいいよね?』
『僕ら知ってます!岡本詩織さんですよね!』
『詩織さんも一緒にお願いします!』
『詩織さーん、こっち来てくださーい!』
『詩織さーん早く来てー!』
「えぇぇっ!?」
…詩織も有名人だった。
そこへ通りがかった、ご年配ご夫婦の旦那さんが…。
『あ、私が撮ってあげましょうか?』
『ありがとうございます!お願いします!』
男子が旦那さんにスマホを渡し、詩織も僕らに混ざって…。
中学生グループと拝殿の前で記念撮影。
通りがかりの優しかったご夫婦さま、ありがとうございました。
『僕たち…何も撮ってないですから…』
『じゃあ取り敢えず、今隠したスマホ、出して見せて』
その男子は黙ってしまった。他の中学生らも黙ったまま。
『撮ってないんでしょ。じゃあ見せて』
僕は男子に右掌を差し出した。
『黙って誰かを撮るのをね、《盗撮》って言うの。立派な犯罪だよ。犯罪。中学生ならもう判るでしょ?ほら…出して。スマホ』
黙っただけじゃなく、遂に目まで逸らす有り様の男子。
『金魚!!…中学生相手に、そんな強引なやり方…ダメだってば!!』
僕は詩織のその言葉に、振り返って応えようとはしなかった…けど。
『じゃあ…いいや』
僕は男子に差し出した手を下ろした。
『なにもね…本当に撮ってたからって、無理矢理削除!…ってわけじゃないんだ…』
『…えっ?』
男子は再び僕を見た。
『ただ…どうせなら、可愛く撮ってくれたかなぁ?…なんて、そう思っただけ。ごめんね』
なにを急に言ってんだろ…僕。なんか笑える。
僕は振り向いて、二歩三歩と詩織のもとへと戻り掛けた…。
『あっ!』
えっ?なんの声?…僕はまた振り向いた。
女子の1人が男子の左ポケットに突然手を突っ込み、青色のスマホを取り出した。そして何やら操作してる様子?
『あ、あの…黙って4回撮りました…ごめんなさい』
女子は僕の隣に来て、撮った写真を見せてくれた。僕もそれを覗き込む。
『あ…へぇ。ありがと。良かった…可愛く撮ってくれてたんだね。ただ…』
僕は写真のデータのひとつを指差した。
『…この写真だけは…削除してほしいなぁ…』
…それは駐車場で僕と啓介さんが、抱きしめ合ってる…ように見える写真…ちょっとこれは…。
『あの!』
『…?』
また、別の男子が…?
『とっ…と、撮ったら可愛く写ってたんじゃなくて…金魚さん自身が、かっ…か、可愛いんだと思います…!!』
えっ?なにを突然…顔を真っ赤にして、お増せなことを言い出してるんだろう…この男子は。
『金魚さんって…みんな、私のこと知ってるの?』
『はい!知ってます!』
『凄く可愛いって有名人です!』
『《カラフル》ってサイトで!』
『《パレット》ってサイトでも!』
超びっくり。こんな田舎街の中学生たちでさえ、僕…ってゆうか金魚のことを知ってるとか…。
『あの!私たちと一緒に写真!撮ってもらってもいいですか?』
『あははは。えー…どうっしよっかなーぁ…?』
全然断る理由はないんだけど、僕は悪戯っぽくそう言ってみた。
『お、お願いします!!』
『本当に本当のお願い!!』
『金魚さん!どうかお願いします!!』
『一生のお願いです!!』
『あはははは』
…あまりに必死になって、中学生たちが一生懸命言うもんだから、僕は今度は本気で笑ってしまった。
『今のは冗談。ごめんね。じゃあみんなで撮ろっか。…あのお姉ちゃんも一緒にいいよね?』
『僕ら知ってます!岡本詩織さんですよね!』
『詩織さんも一緒にお願いします!』
『詩織さーん、こっち来てくださーい!』
『詩織さーん早く来てー!』
「えぇぇっ!?」
…詩織も有名人だった。
そこへ通りがかった、ご年配ご夫婦の旦那さんが…。
『あ、私が撮ってあげましょうか?』
『ありがとうございます!お願いします!』
男子が旦那さんにスマホを渡し、詩織も僕らに混ざって…。
中学生グループと拝殿の前で記念撮影。
通りがかりの優しかったご夫婦さま、ありがとうございました。
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