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女装と復讐 -躍動編-
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『私は美容師になって、今でも良かったって思う』…そうナオさんに言うアンナさん。
『…もし美容院で私が働いてなかったら…詩織にも、春華ちゃんにも、金魚にも、他のみんなにも…あ、あと菊江さんとも。出会うことなんてなかった…だから、私は今の美容師の自分にとても満足してるし、こんなに大切な仲間たちとの出会えたことを、本当に幸せに感じてる』
なんか…年明け早々からトーンダウンしそうな会話に初めは思ったけど…アンナさんの人柄や仲間を大切に思う優しさが凄く解る、とても良い話だと僕は思う。
そしてナオさんは詩織と僕に『私はアンナの《柔らかな可愛いメイク》とか、そのセンスやテクニックが大好きで、専学生だったあの頃から、今もずっとそれを目指して追い掛け続けてるの』と話してくれた。
《ピンポーン♪》
『あ!たぶん今度こそ秋良くんたちだよね!私が代わりに見てくる!』
詩織が立ち上がり、玄関先へと向かう。
『アンナ、お友達?』
『うん。私の後輩…って言えばいいかな?…が来たみたい』
玄関の方から会話が聞こえてくる。
「おはよー。秋良くん」
「あけおめ…おぉスゲー!振袖じゃんか!」
「詩織ちゃん、おはよう」
「あ、春華さんおはよー」
『…じゃあアンナ、私まだ新年の挨拶廻りしなきゃだから…行くね』
『あ…うん。ありがとうナオ』
秋良さんと春華さんがリビングに入ってきた。
『おーっ!金魚も振袖…ぁ、お客さん?』
秋良さんはナオさんとお互いを見合う。
そしてナオさんは、秋良さんと春華さんに礼儀良く軽く頭を下げた。
秋良さんたちに続いて、今度はリビングに戻ってきた詩織ともナオさんは挨拶を交わす。
『ごめんなさい。長くお邪魔しちゃったわね』
『えぇ!ナオさん、もう帰っちゃうの!?』
ナオさんは詩織に、笑顔で『またね』と小さく手を振って応えて…玄関を出て帰っていった…。
『お昼は外食できないから、おせちいっぱい食べてね。ご飯のお代わりも遠慮なくね』
リビングの真ん中のテーブルを囲むように、みんなカーペットにペタンと座っておせちを箸でつついて食べている。
『んじゃ、ごめん…アンナさん、ご飯お代わり』
そう言って秋良さんは、茶碗を朱塗りの四角いお盆に乗せた。
詩織も椅子に座っておせちを食べてるのに…僕だけは部屋の中をぐるぐると歩き回っている…。
振袖での歩きの練習って…。
『金魚ちゃん、次はなに食べたいー?』
『あの…じゃあ、レンコンを…』
『レンコン?はーい。あーんして♪』
『あー…ん』
部屋を一周する度に、春華さんがおせち料理を僕の口へと運んでくれる。そしてまた一周…。
『詩織は歩きの練習、しなくていいの?』
…って僕が訊くと…。
『だって私は着物とか振袖で歩くの、慣れてるもん』
あぁ…そうですか…。
《ピンポーン♪》
『おっ?やっと来たかよ、啓介』
詩織が僕を見た。
『ねぇ金魚、さっき秋良くんたちのとき、私がお迎えしたじゃない…?』
…言われる前にさっさと動く。それ絶対言われると思った。
僕は廊下を通って玄関へと向かう。
『ごめん。遅れ…おっ!いいね。金魚の振袖姿…よく似合ってる』
『…もし美容院で私が働いてなかったら…詩織にも、春華ちゃんにも、金魚にも、他のみんなにも…あ、あと菊江さんとも。出会うことなんてなかった…だから、私は今の美容師の自分にとても満足してるし、こんなに大切な仲間たちとの出会えたことを、本当に幸せに感じてる』
なんか…年明け早々からトーンダウンしそうな会話に初めは思ったけど…アンナさんの人柄や仲間を大切に思う優しさが凄く解る、とても良い話だと僕は思う。
そしてナオさんは詩織と僕に『私はアンナの《柔らかな可愛いメイク》とか、そのセンスやテクニックが大好きで、専学生だったあの頃から、今もずっとそれを目指して追い掛け続けてるの』と話してくれた。
《ピンポーン♪》
『あ!たぶん今度こそ秋良くんたちだよね!私が代わりに見てくる!』
詩織が立ち上がり、玄関先へと向かう。
『アンナ、お友達?』
『うん。私の後輩…って言えばいいかな?…が来たみたい』
玄関の方から会話が聞こえてくる。
「おはよー。秋良くん」
「あけおめ…おぉスゲー!振袖じゃんか!」
「詩織ちゃん、おはよう」
「あ、春華さんおはよー」
『…じゃあアンナ、私まだ新年の挨拶廻りしなきゃだから…行くね』
『あ…うん。ありがとうナオ』
秋良さんと春華さんがリビングに入ってきた。
『おーっ!金魚も振袖…ぁ、お客さん?』
秋良さんはナオさんとお互いを見合う。
そしてナオさんは、秋良さんと春華さんに礼儀良く軽く頭を下げた。
秋良さんたちに続いて、今度はリビングに戻ってきた詩織ともナオさんは挨拶を交わす。
『ごめんなさい。長くお邪魔しちゃったわね』
『えぇ!ナオさん、もう帰っちゃうの!?』
ナオさんは詩織に、笑顔で『またね』と小さく手を振って応えて…玄関を出て帰っていった…。
『お昼は外食できないから、おせちいっぱい食べてね。ご飯のお代わりも遠慮なくね』
リビングの真ん中のテーブルを囲むように、みんなカーペットにペタンと座っておせちを箸でつついて食べている。
『んじゃ、ごめん…アンナさん、ご飯お代わり』
そう言って秋良さんは、茶碗を朱塗りの四角いお盆に乗せた。
詩織も椅子に座っておせちを食べてるのに…僕だけは部屋の中をぐるぐると歩き回っている…。
振袖での歩きの練習って…。
『金魚ちゃん、次はなに食べたいー?』
『あの…じゃあ、レンコンを…』
『レンコン?はーい。あーんして♪』
『あー…ん』
部屋を一周する度に、春華さんがおせち料理を僕の口へと運んでくれる。そしてまた一周…。
『詩織は歩きの練習、しなくていいの?』
…って僕が訊くと…。
『だって私は着物とか振袖で歩くの、慣れてるもん』
あぁ…そうですか…。
《ピンポーン♪》
『おっ?やっと来たかよ、啓介』
詩織が僕を見た。
『ねぇ金魚、さっき秋良くんたちのとき、私がお迎えしたじゃない…?』
…言われる前にさっさと動く。それ絶対言われると思った。
僕は廊下を通って玄関へと向かう。
『ごめん。遅れ…おっ!いいね。金魚の振袖姿…よく似合ってる』
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