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女装と復讐 -発起編-
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…ステージの真ん中で、自己紹介や簡単なアピールを済ませた14人目の女の子が、ペコリとお辞儀をしてステージを降りてゆく。
『…続きまして…15人目です。《もうすぐ医療専門学校を卒業。コンビニでアルバイトもしてます》という20歳の女の子…高森恵美さんです!』
観客席から拍手が湧き、伊藤鈴の隣に座っていた女の子が立ち上がった。鈴と手を振り交わしながら、恥ずかし気にマイクスタンドの前へと歩いてゆく。
『…あの…皆さんこんにちは。私は《vol.112・6月刊》で、あの…《G.F.デビュー》しました…えっと…高森恵美です』
15番目の女の子がステージの中央で話しているなか、次の16番目の女の子がステージに上がってきて、また伊藤鈴の隣に遠慮がちに座る。
…の繰り返しを、僕らはずっと観てる…って感じ。
伊藤鈴は隣に座る女の子の緊張を、会話することで和らげてあげながら、時々観客席のほうを見渡す。
ただの《自意識過剰》なだけかれないけど…さっきから伊藤鈴は、何度も観客を眺めるたびに…必ず一瞬、僕に目を止める…僕を見ている気がするんだ…。
それを詩織の一言が決定付けさせた。
『ねぇ金魚…さっきから気になってたんだけど、鈴ちゃん…何度か金魚のこと、見てるって気がしない?』
『えっ!?…や、やっぱり!?』
『うん。ほら…今も』
僕を睨みつけるでも、面白可笑しく見ているんでもない。《ずっと前から知っている仲良し友達を、観客席の中に見付けた》みたいな表情で、僕に視線を注いでいる…。
僕も意識的に、伊藤鈴と視線を交わそうと試みる…けど、すぐに隣の女の子に話し掛けられ、慌てて伊藤鈴は振り返って、その女の子と会話し始めた…。
『あの…そういえば、この《G.F.アワード》って、美少女コンテストみたいに、みんな水着で登場とかあるの?』
そう訊いた僕を、冷めた目で見る詩織。
『はぁ?普通に考えて…この真冬の年末に水着姿になる?風邪引いちゃうでしょ。それに、お年頃の男子みたいに、女の子が女の子の水着姿を、そんなに見たいって思わないってば』
『あはは…だよね。ごめん…』
『…残るは、あと2人です。では参りましょう…24人目の女の子、六条大学3年生…遠藤亜季さんでーす!どうぞー!』
…25人目…最後を締めくくる女の子ってどんなだろう…。
僕は伊藤鈴と、その隣に座る女の子を見た…えっ?
今までとは違って厳しい表情で、女の子に注意を伝えている様子の伊藤鈴…。
…てゆうか、あの2人…似てない!?
『…続きまして…15人目です。《もうすぐ医療専門学校を卒業。コンビニでアルバイトもしてます》という20歳の女の子…高森恵美さんです!』
観客席から拍手が湧き、伊藤鈴の隣に座っていた女の子が立ち上がった。鈴と手を振り交わしながら、恥ずかし気にマイクスタンドの前へと歩いてゆく。
『…あの…皆さんこんにちは。私は《vol.112・6月刊》で、あの…《G.F.デビュー》しました…えっと…高森恵美です』
15番目の女の子がステージの中央で話しているなか、次の16番目の女の子がステージに上がってきて、また伊藤鈴の隣に遠慮がちに座る。
…の繰り返しを、僕らはずっと観てる…って感じ。
伊藤鈴は隣に座る女の子の緊張を、会話することで和らげてあげながら、時々観客席のほうを見渡す。
ただの《自意識過剰》なだけかれないけど…さっきから伊藤鈴は、何度も観客を眺めるたびに…必ず一瞬、僕に目を止める…僕を見ている気がするんだ…。
それを詩織の一言が決定付けさせた。
『ねぇ金魚…さっきから気になってたんだけど、鈴ちゃん…何度か金魚のこと、見てるって気がしない?』
『えっ!?…や、やっぱり!?』
『うん。ほら…今も』
僕を睨みつけるでも、面白可笑しく見ているんでもない。《ずっと前から知っている仲良し友達を、観客席の中に見付けた》みたいな表情で、僕に視線を注いでいる…。
僕も意識的に、伊藤鈴と視線を交わそうと試みる…けど、すぐに隣の女の子に話し掛けられ、慌てて伊藤鈴は振り返って、その女の子と会話し始めた…。
『あの…そういえば、この《G.F.アワード》って、美少女コンテストみたいに、みんな水着で登場とかあるの?』
そう訊いた僕を、冷めた目で見る詩織。
『はぁ?普通に考えて…この真冬の年末に水着姿になる?風邪引いちゃうでしょ。それに、お年頃の男子みたいに、女の子が女の子の水着姿を、そんなに見たいって思わないってば』
『あはは…だよね。ごめん…』
『…残るは、あと2人です。では参りましょう…24人目の女の子、六条大学3年生…遠藤亜季さんでーす!どうぞー!』
…25人目…最後を締めくくる女の子ってどんなだろう…。
僕は伊藤鈴と、その隣に座る女の子を見た…えっ?
今までとは違って厳しい表情で、女の子に注意を伝えている様子の伊藤鈴…。
…てゆうか、あの2人…似てない!?
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