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女装と復讐 -発起編-

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雄二さんが案内する《美味しいお寿司屋さん》てことで着いたお店。

中に入ってみると…広ーい店内に、回らない大きなカウンターがどーんと構えている…高級寿司店だ!
でも、寿司店員さんの『いらっしゃーせー』って声が聞こえてこない…?


『…まだ営業時間前ってのに、急に電話で無理言って…済まなかったな、親方』


雄二さんは、カウンターの向こうの寿司職人さんに声を掛けてた。


『いいんだよ。中澤さんはウチのお得意様なんだからさぁ』

『あぁ。本当に済まないな』


僕らはお店の奥の、お座敷部屋へと案内された。






『いっただきまぁーす!』


早速来た2つの大きな黒くて円い化粧寿司桶。そこに綺麗に並んだたくさんの寿司の1つに、まず詩織が手を出しぱくりと一口。


『うわー!!お前《大トロ》一番に食ってんじゃねーよ!!』

『甘ぁーい♪もうお口の中で溶けちゃったーん♪』


ほら、もう無いでしょ?とばかりに顔を突き出し、上機嫌そうに口を開けて秋良さんに見せる詩織。


『へへーん♪美味ちぃ♪』

『未成年は《かっぱ巻き》からいっとけー!』


睨む秋良さんに幸せ笑顔の詩織。


『だあって、今日の主役は私だもん。いいでしょ?じゃあ…次は《ウニ》と《アナゴ》貰っちゃおーっと♪』

『おま…高いもんから先にいってんじゃねーよ!!』

『いやーぁ♪美味っしーい♪きゃはははは』




…こんな高級なお寿司屋さんでも、秋良さんと詩織の名コンビぶりは健在だった。





『あら?金魚ちゃん、まだ何も食べてないんじゃない?』


僕の右隣に座っていた春華さん。


『あ…はい。何から食べていいのか…』

『ふふっ。遠慮せずに好きなものから食べればいいのよ。食べたいのは…どれ?』

『えぇと…どうしよう』


春華さんは《甘エビの握り》を右手でつまみ、持ち上げた。


『ほら…じゃあ、あーんして♪甘エビは好き?』

『あ、はい…』


僕の口元へと《甘エビの握り》を、下に左掌を添えながらそっと運ぶ春華さん…。


『どぉ?美味ちぃ?』


僕はモグモグしながら頷いた。


『あーっ…んもぅ♪素直な金魚ちゃん…本当可愛ッ♪』

『……。』


…目をキラキラさせ、モグモグする僕を抱きしめ頭を優しくナデナデする春華さん。ここにも…ちょっと変わったお姉さんがいたことを…僕はすっかり忘れてた…。






『…んじゃあ雄二さん、俺らは別ルートで帰りますんで…』

『あぁ。気をつけてな』


お寿司、ご馳走様でした!と雄二さんにお礼を言い、秋良さんは運転席に乗った。


『春華さん。今日一日、ありがとうございました』

『またねッ♪大ッ好きな金魚ちゃん♪』

『……。』


春華さんも僕に手を振って助手席に乗り…秋良さんの車は走り去った。
僕は雄二さんの運転する車の後部座席に乗る。僕の隣には詩織、助手席にアンナさん。

そして、車はゆっくりと走り出す。



…撮影されてたときの詩織、まるで本物のアイドルか芸能人みたいだった…。

本当に本物の芸能人とかになればいいのに…。
僕は詩織ならなれると思うんだ…。





















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