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女装と復讐 -発起編-
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天井を仰いでいたその女の子の視線が突然、僕の方へと戻ってきた。
『あ!でもね、金魚ちゃんに視線が釘付けになってたのは、うちらだけじゃないから』
『えっ…どういうこと?』
詩織と僕は、驚き余って互いを見合った。
『だって、このお店ん中の女の子たち、みーんなが金魚ちゃんのこと、絶対意識して見てたし。今だって…ほら』
『えっ!?』
うそっ!?…店内の女の子たちがみんな!?
僕も詩織も慌てて店内を見回してみた…。
…本当に女の子たちの殆どが、いかにもタイミング良さげに…まるで慌ててそっぽを向いて、僕らから目線を外したように動いて見えた…。
僕と詩織は《緊急!ヒソヒソ話…》を発動。
『ねぇ詩織…本当に女の子ら…僕達のこと、今見てた…?』
『…みたいね。間違いなさそうよ…』
『…ヤバくない?』
『これはヤバいね。うふふっ…♪』
『……。』
詩織は、どんな状況でも《心配なんてどこ吹く風よ?》って感じで…た、楽しそうなんだけど…。
そしてすぐに、笑顔で行儀よく座り直した詩織。
『えへへ。よいしょ…っと。でも仕方ないよねー。金魚は本当に誰よりも可愛いんだし。だから目立って当然。なので人の目なんて、いちいち気にしない気にしなーい。きゃははは』
詩織は笑って落ち着いた余裕を見せる。
僕だって別に、落ち着いてはいるけど…。
『さぁて…そろそろお店出よっか。ねぇ金魚』
『うん』
詩織は隣の席のあの女の子たちに、《ありがとう。じゃあお先するね》と、愛嬌ある笑顔で手を振った。
あの子たちも、笑顔で手を振って返してくれた。
『今回は私が奢ってあげるね。特別に』
『えっ、いいの?』
詩織はバックからピンクのお高そうな長財布を出して、可愛くウィンクした。
『もちろん。私からのデビュー祝いの代わりよ』
『うん。ありがとう。詩織』
僕らはレジのカウンターへと向かった。そして詩織が支払いをしている最中に、僕はもう一度お店の中をそっと振り返ってみた。
それと…まさか、と思うけど…僕はできる限りの愛嬌ある笑顔で、小さく手を振ってみた…!
…ぇ?うそっ!!?
目の合った女の子の何人かが照れ臭そうに、僕に手を振り返してくれた!…とか、本当にびっくりでしかない…。
『じゃあ金魚。最後に瀬ヶ池の《ハイカラ通り》に行って、それからアンナさんを呼んで帰ろう…ね』
『う…うん』
あのイケメン店員らの寂しげなお見送りのなか、僕は動揺を覚えながら女の子らに人気のカフェ・スィーツ店《フィユタージュ》を後にした…。
遂にここ…瀬ヶ池の《ハイカラ通り》に来た…瀬ヶ池の中でも流行を発信する拠点。まさに《瀬ヶ池の心臓》とも言える場所。最もお洒落な女の子たちが集まる超都心繁華街。
僕らがここに現れた直後から女の子ら全員の、鷹のような攻撃的な鋭い視線が僕と詩織に降り注ぎ、グサリグサリと突き刺さる…。
『あ!でもね、金魚ちゃんに視線が釘付けになってたのは、うちらだけじゃないから』
『えっ…どういうこと?』
詩織と僕は、驚き余って互いを見合った。
『だって、このお店ん中の女の子たち、みーんなが金魚ちゃんのこと、絶対意識して見てたし。今だって…ほら』
『えっ!?』
うそっ!?…店内の女の子たちがみんな!?
僕も詩織も慌てて店内を見回してみた…。
…本当に女の子たちの殆どが、いかにもタイミング良さげに…まるで慌ててそっぽを向いて、僕らから目線を外したように動いて見えた…。
僕と詩織は《緊急!ヒソヒソ話…》を発動。
『ねぇ詩織…本当に女の子ら…僕達のこと、今見てた…?』
『…みたいね。間違いなさそうよ…』
『…ヤバくない?』
『これはヤバいね。うふふっ…♪』
『……。』
詩織は、どんな状況でも《心配なんてどこ吹く風よ?》って感じで…た、楽しそうなんだけど…。
そしてすぐに、笑顔で行儀よく座り直した詩織。
『えへへ。よいしょ…っと。でも仕方ないよねー。金魚は本当に誰よりも可愛いんだし。だから目立って当然。なので人の目なんて、いちいち気にしない気にしなーい。きゃははは』
詩織は笑って落ち着いた余裕を見せる。
僕だって別に、落ち着いてはいるけど…。
『さぁて…そろそろお店出よっか。ねぇ金魚』
『うん』
詩織は隣の席のあの女の子たちに、《ありがとう。じゃあお先するね》と、愛嬌ある笑顔で手を振った。
あの子たちも、笑顔で手を振って返してくれた。
『今回は私が奢ってあげるね。特別に』
『えっ、いいの?』
詩織はバックからピンクのお高そうな長財布を出して、可愛くウィンクした。
『もちろん。私からのデビュー祝いの代わりよ』
『うん。ありがとう。詩織』
僕らはレジのカウンターへと向かった。そして詩織が支払いをしている最中に、僕はもう一度お店の中をそっと振り返ってみた。
それと…まさか、と思うけど…僕はできる限りの愛嬌ある笑顔で、小さく手を振ってみた…!
…ぇ?うそっ!!?
目の合った女の子の何人かが照れ臭そうに、僕に手を振り返してくれた!…とか、本当にびっくりでしかない…。
『じゃあ金魚。最後に瀬ヶ池の《ハイカラ通り》に行って、それからアンナさんを呼んで帰ろう…ね』
『う…うん』
あのイケメン店員らの寂しげなお見送りのなか、僕は動揺を覚えながら女の子らに人気のカフェ・スィーツ店《フィユタージュ》を後にした…。
遂にここ…瀬ヶ池の《ハイカラ通り》に来た…瀬ヶ池の中でも流行を発信する拠点。まさに《瀬ヶ池の心臓》とも言える場所。最もお洒落な女の子たちが集まる超都心繁華街。
僕らがここに現れた直後から女の子ら全員の、鷹のような攻撃的な鋭い視線が僕と詩織に降り注ぎ、グサリグサリと突き刺さる…。
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