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女装と復讐 -発起編-
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『失礼いたします。番号札27番の岡本さま…岡本詩織さま』
『はーい』
店内から出てきた、若い男性店員に呼ばれた詩織。立ち上がって、元気に手を挙げて応える。
『お待たせ致しました。2名様ですね。ご案内致します』
『行こっ。金魚』
詩織は僕の二の腕をひょいと引っ張り、僕を立ち上がらせた。
『さっきまで【20分待ち】って書いてあったのに、結局30分くらい待ったね…』
『そうね。待ち過ぎてお腹が空いたねー』
僕らが男性店員に案内された席は、店内の隅のほう…とは言っても藤浦市が一望できる、総ガラス壁のテーブル席。
そのガラス壁面の前に、端から端まで長く長く繋がった朱色のベンチソファーが置かれていて、ベンチソファーの前に白いテーブルと白い椅子が等間隔に幾つか置かれ、これでテーブルを挟んで2人が向かい合って座れるようになっている。
『金魚はあっちに座って』
『うん』
僕はテーブルとテーブルとの間を『…すみません。ごめんなさい』と、座っている女の子たちに詫びながら進み、ガラス壁面を背にしてベンチソファーに座った。詩織も対面する席に座る。
『あ、さっきまで空が曇ってたけど…今なら青空も見えてるし、日差しが暖かそうね』
テーブルに頬杖をつき、体を軽く揺らしてご機嫌そうに、僕の後ろ越しの向こうの空を見てる詩織。
僕も軽く振り向いて、チラリと《高層階からの街の絶景》を、少しだけ確認した。
『お客さま、ご注文はお決まりですか?』
やって来た、若いイケメン店員。僕も行儀よく座り直す。
『じゃあ私は…温かいミルクココアと…苺のミルフィーユと…チョコレートのモンブランケーキと…オレンジ風味のエクレアで』
『ちょ…詩織、もうすぐランチの時間だよ!?』
お昼前にケーキ3個って…。
『大丈夫♪余裕余裕~♪けどもう、お昼はケーキで済ませてもいいかなぁ…なんて思ってる』
『えぇ…』
ケーキ3個でランチ代わりとか…。
『あの、そちらのお客さまのご注文は?』
イケメン店員が僕に訊いてきた…!
『あ、えぇと…私?どれにしようかなぁ…』
うんっと、えぇと…ど、どうしよう!迷う!決められないんだけど…!
ケーキやスィーツの種類が…豊富すぎるって…!
僕は頭が少し朦朧とするなか、イケメン店員を見上げて…。
『あ、あの…じゃあ、詩織と同じのでいいです…同じので……?…ん?』
…イケメン店員が反応しな……えっ?あれ?…おーい…。
その店員は、僕の顔をじーっと見たまま…ぼーっとしてる…?
『あ……あの…?』
『あっ、あぁーっ!!あの、す…すみませんっ!』
んー?…どうした…?なんか、さっきから変だぞ…??
『大変失礼しましたァ!!…で、ご注文は…なんでしたっけ…?』
何をボケてんだ…この店員は…。
それを見てた詩織はクスクスと笑ってるし…。
そのイケメン店員は、注文を繰り返して確認すると、慌ててカウンターのほうへと駆けて戻っていった…変な店員。
『あの店員…な、なんか…ちょっと変だったね…』
詩織にぼそっとそう言うと、今度はくくっ…と笑い出した。
『私も彼みたいに、見とれてドキドキしちゃったわぁ…少しだけ。きゃははは♪』
…………ぇ??
『はーい』
店内から出てきた、若い男性店員に呼ばれた詩織。立ち上がって、元気に手を挙げて応える。
『お待たせ致しました。2名様ですね。ご案内致します』
『行こっ。金魚』
詩織は僕の二の腕をひょいと引っ張り、僕を立ち上がらせた。
『さっきまで【20分待ち】って書いてあったのに、結局30分くらい待ったね…』
『そうね。待ち過ぎてお腹が空いたねー』
僕らが男性店員に案内された席は、店内の隅のほう…とは言っても藤浦市が一望できる、総ガラス壁のテーブル席。
そのガラス壁面の前に、端から端まで長く長く繋がった朱色のベンチソファーが置かれていて、ベンチソファーの前に白いテーブルと白い椅子が等間隔に幾つか置かれ、これでテーブルを挟んで2人が向かい合って座れるようになっている。
『金魚はあっちに座って』
『うん』
僕はテーブルとテーブルとの間を『…すみません。ごめんなさい』と、座っている女の子たちに詫びながら進み、ガラス壁面を背にしてベンチソファーに座った。詩織も対面する席に座る。
『あ、さっきまで空が曇ってたけど…今なら青空も見えてるし、日差しが暖かそうね』
テーブルに頬杖をつき、体を軽く揺らしてご機嫌そうに、僕の後ろ越しの向こうの空を見てる詩織。
僕も軽く振り向いて、チラリと《高層階からの街の絶景》を、少しだけ確認した。
『お客さま、ご注文はお決まりですか?』
やって来た、若いイケメン店員。僕も行儀よく座り直す。
『じゃあ私は…温かいミルクココアと…苺のミルフィーユと…チョコレートのモンブランケーキと…オレンジ風味のエクレアで』
『ちょ…詩織、もうすぐランチの時間だよ!?』
お昼前にケーキ3個って…。
『大丈夫♪余裕余裕~♪けどもう、お昼はケーキで済ませてもいいかなぁ…なんて思ってる』
『えぇ…』
ケーキ3個でランチ代わりとか…。
『あの、そちらのお客さまのご注文は?』
イケメン店員が僕に訊いてきた…!
『あ、えぇと…私?どれにしようかなぁ…』
うんっと、えぇと…ど、どうしよう!迷う!決められないんだけど…!
ケーキやスィーツの種類が…豊富すぎるって…!
僕は頭が少し朦朧とするなか、イケメン店員を見上げて…。
『あ、あの…じゃあ、詩織と同じのでいいです…同じので……?…ん?』
…イケメン店員が反応しな……えっ?あれ?…おーい…。
その店員は、僕の顔をじーっと見たまま…ぼーっとしてる…?
『あ……あの…?』
『あっ、あぁーっ!!あの、す…すみませんっ!』
んー?…どうした…?なんか、さっきから変だぞ…??
『大変失礼しましたァ!!…で、ご注文は…なんでしたっけ…?』
何をボケてんだ…この店員は…。
それを見てた詩織はクスクスと笑ってるし…。
そのイケメン店員は、注文を繰り返して確認すると、慌ててカウンターのほうへと駆けて戻っていった…変な店員。
『あの店員…な、なんか…ちょっと変だったね…』
詩織にぼそっとそう言うと、今度はくくっ…と笑い出した。
『私も彼みたいに、見とれてドキドキしちゃったわぁ…少しだけ。きゃははは♪』
…………ぇ??
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