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女装と復讐 -発起編-
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詩織は、寒さを吹っ飛ばすかのようなめちゃくちゃ明るい笑顔で叫んだ。
『あ、私!いいお店知ってるよ!でもどうしよう…』
『?』
『地下鉄…は使わずに、ちょっと遠いけど歩いて行きたいの…いい?』
『うん。いいよ』
お願いしてくる詩織に、僕は笑顔で頷いて答えた。僕も今は、もう少し歩いていたい気分。
新井区の南隣…藤浦市桜野区参門橋。その区内を南北真っ直ぐに線を書いたように敷かれた、片側6車線という、美波県中最大幅を誇る《嘉久見大通り》。
この壮大な嘉久見大通りは、偉功を成した巨大ビル群の並びによって、まるで中央分離帯のように仕切られ、大通りの東西のそれぞれが片側方面通行になっている…絶景。
僕と詩織は早瀬ヶ池から、慌て急ぐことなく30分くらい歩いただろうか…。
『ねぇ金魚、見て。今から行くお店は…ほら!あの《emplie》の16階だよ』
『!』
たくさんのお洒落な女の子たちとすれ違うなか、詩織はその大通りを仕切るビル群のなかの、突出した一つの超高層ビルを指差した。
藤浦市が誇る超高層ビル《la satif emplie》。通称、アンプリエ。
最高階は48階という巨大タワービルで、2階から23階までが飲食店やブランドショップなどのテナントフロア。24階から43階までの入居企業らのオフィスフロアを挟み、44階から47階が超高級レストランフロア。
…余談。
嘉久見大通りの、待ち時間も距離もながい長い横断歩道を渡り、目の前の巨大ビル内に入ると…またまた凄い女の子にらの数。もちろんながら、ほかの男性なども見受けられるけど。
それにしても、まるでアリの巣にでも迷い込んだかのような凄い人混み…。
詩織は慣れた様子で、さっさと迷わずエレベーターへと向かう。僕は詩織と逸れないように付いてゆくので精一杯。
6基もあるエレベーターの扉。その1つが丁度タイミング良く開く。詩織と僕は、歩くそのままの勢いで、女の子らの集団に混ざってエレベーターに乗り込む。
それまでペチャクチャと騒がしく喋ってた女の子らも、エレベーターに乗ったら、しんと静かに黙っ…お喋りを続けてた。
こんな他人同士の詰め込まれた狭い空間内でも、なに一つ変わらずお喋りを続けられるって…女の子らって、凄いな…。
もう何度目か…覚えてないけどエレベーターの扉が開き、女の子らの勢いに圧されて16階に出ると、他の女の子らはあっという間に歩き散っていった…。そして入れ替わるかのように、どっとエレベーターに乗り込む女の子らの大群。
降りたこのフロアは開放感があって、正面に見える中央部は大きな穴のように開いてて、エスカレーターが何基かあるのも見えた。今度はその開いた中央部を見上げると、上の階が少し見える…内装が凄く綺麗なビルだな…お洒落。
僕はしばらく、行くのは右?左?とキョロキョロしてると…。
『金魚、こっちよ』
『あ…はい』
結局…僕は詩織に頼らないと、このビル内ではただの迷子か…。
到着したお店。お洒落なカフェ・スィーツ店。お店の前には【約20分待ちです】と掲げられた、木製の看板が置かれている。お店の名前は?…《フィユタージュ》って書いてあった。
既にお店の前には、それを待つ女の子らが、通路に並べられた椅子に座っている。
『金魚、ここで待ってて。予約に私の名前書いてくるから』
『うん。いってらっしゃい』
『あ、私!いいお店知ってるよ!でもどうしよう…』
『?』
『地下鉄…は使わずに、ちょっと遠いけど歩いて行きたいの…いい?』
『うん。いいよ』
お願いしてくる詩織に、僕は笑顔で頷いて答えた。僕も今は、もう少し歩いていたい気分。
新井区の南隣…藤浦市桜野区参門橋。その区内を南北真っ直ぐに線を書いたように敷かれた、片側6車線という、美波県中最大幅を誇る《嘉久見大通り》。
この壮大な嘉久見大通りは、偉功を成した巨大ビル群の並びによって、まるで中央分離帯のように仕切られ、大通りの東西のそれぞれが片側方面通行になっている…絶景。
僕と詩織は早瀬ヶ池から、慌て急ぐことなく30分くらい歩いただろうか…。
『ねぇ金魚、見て。今から行くお店は…ほら!あの《emplie》の16階だよ』
『!』
たくさんのお洒落な女の子たちとすれ違うなか、詩織はその大通りを仕切るビル群のなかの、突出した一つの超高層ビルを指差した。
藤浦市が誇る超高層ビル《la satif emplie》。通称、アンプリエ。
最高階は48階という巨大タワービルで、2階から23階までが飲食店やブランドショップなどのテナントフロア。24階から43階までの入居企業らのオフィスフロアを挟み、44階から47階が超高級レストランフロア。
…余談。
嘉久見大通りの、待ち時間も距離もながい長い横断歩道を渡り、目の前の巨大ビル内に入ると…またまた凄い女の子にらの数。もちろんながら、ほかの男性なども見受けられるけど。
それにしても、まるでアリの巣にでも迷い込んだかのような凄い人混み…。
詩織は慣れた様子で、さっさと迷わずエレベーターへと向かう。僕は詩織と逸れないように付いてゆくので精一杯。
6基もあるエレベーターの扉。その1つが丁度タイミング良く開く。詩織と僕は、歩くそのままの勢いで、女の子らの集団に混ざってエレベーターに乗り込む。
それまでペチャクチャと騒がしく喋ってた女の子らも、エレベーターに乗ったら、しんと静かに黙っ…お喋りを続けてた。
こんな他人同士の詰め込まれた狭い空間内でも、なに一つ変わらずお喋りを続けられるって…女の子らって、凄いな…。
もう何度目か…覚えてないけどエレベーターの扉が開き、女の子らの勢いに圧されて16階に出ると、他の女の子らはあっという間に歩き散っていった…。そして入れ替わるかのように、どっとエレベーターに乗り込む女の子らの大群。
降りたこのフロアは開放感があって、正面に見える中央部は大きな穴のように開いてて、エスカレーターが何基かあるのも見えた。今度はその開いた中央部を見上げると、上の階が少し見える…内装が凄く綺麗なビルだな…お洒落。
僕はしばらく、行くのは右?左?とキョロキョロしてると…。
『金魚、こっちよ』
『あ…はい』
結局…僕は詩織に頼らないと、このビル内ではただの迷子か…。
到着したお店。お洒落なカフェ・スィーツ店。お店の前には【約20分待ちです】と掲げられた、木製の看板が置かれている。お店の名前は?…《フィユタージュ》って書いてあった。
既にお店の前には、それを待つ女の子らが、通路に並べられた椅子に座っている。
『金魚、ここで待ってて。予約に私の名前書いてくるから』
『うん。いってらっしゃい』
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