女装と復讐は街の華

木乃伊(元 ISAM-t)

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女装と復讐 -発起編-

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そのあと、僕と詩織と秋良さんと啓介さん…の4人が、わいわいと雑談で盛り上がっていたとき…アンナさんから一言。


『今日はせっかくの《信吾くんの瀬ヶ池デビューの日》なのに…大基くん、やっぱり間に合わないって。さっき私のLINEにメッセージがあったわ』

『大基…間に合わないってか』


秋良さんが残念そうに言う。


『信吾くん…これ』

『?』


アンナさんは僕の目の前に、小さな赤い巾着袋を差し出した。僕はアンナさんを見る。


『…これは?』

『あらかじめ、こういう場合を想定して昨夜…大基くんがわざわざ、私のマンションまで持ってきてくれたの』


巾着袋を受け取り、開けてみると…そこにはシルバーの指輪とネックレス…それに高級そうな銀色の腕時計が入っていた。


『えー。金魚いいなー。うわあ!…待って!これ…今人気のカルティエの腕時計だよ!凄ーい!』


『おはようございまーす』
『おはようございます』


美容院の店内に、従業員のお姉さんたち2人が入ってきた。


『あ、おはよう。尚美ちゃん、美佳ちゃん…あら?もうこんな時間?』


アンナさんが慌てて僕を見た。


『んじゃ信吾くん。そのネックレスと指輪と腕時計を早く着けて。そろそろ瀬ヶ池に向かいましょう』

『あ…はい!』


僕はネックレスを詩織に着けてもらい、指輪を右手の薬指に、腕時計を左手首に内側に向けて着けた。
そしてアンナさんに続いて、詩織と一緒に美容院を出ようとしたとき…啓介さんが僕らに叫んだ。


『詩織!信吾!今夜は瀬ヶ池デビューの打ち上げ会やるからな!だから夜を楽しみに、頑張ってこいよ!』

『あ…はい!啓介さん!』
『はーい。じゃあ頑張ってきまーす』






瀬ヶ池へ向かうアンナさんの車の中、僕は過ぎゆく街の景色を黙って窓から眺めていた…すると、詩織が僕に訊いてきた。


『ねぇ、遂に瀬ヶ池デビューだね。信吾…じゃないや…金魚。緊張してない?』


僕は詩織を見ないまま、黙って小さく頷いた。それが…本当に、僕は不思議なくらい落ち着いてて、全く緊張なんてしてなかった。

今朝は少し太陽も出てたのにな…。今は空一面、灰色に覆われてる…。






僕らの乗ったアンナさんの車は、新井早瀬駅から少し離れた歩道横に停車し、僕ら2人はゆっくりと…遂に瀬ヶ池の街に降り立った。


『うぅ…少し寒いね…金魚』

『うん。けど僕は平気』























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