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女装と復讐 -発起編-
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アンナさんは僕を眼科へ連れて行く車内で、僕に今日一日の予定を説明し始めた。
『これから信吾くんには眼科医院で、コンタクトレンズを作ってもらうわ。女装にその眼鏡は似合わないもの。もちろん、料金は私が全額負担するから。安心して』
『…すみません』
アンナさんは2日前まで、新しい眼鏡を作ってもらおうか、コンタクトレンズにしようかと迷った挙げ句…やっぱり僕の《目を際立たせる》ことを優先して、コンタクトレンズを選択したんだとか。
でも、今日の予定は、それだけではないらしい…。
『9時に詩織が、私服を持って美容院に来てくれるの。そしたら信吾くんは、詩織の持ってきたそれに着替えて準備して。メイクは着替えのあとにするから』
今の説明でなんとなく、アンナさんの考えてる僕の今日の予定が、だいたい解ったような…まだ何か解ってないような…。
『…それで、あなたの女装の準備ができたら《天郷大通り》で、詩織と2人で歩いてもらうわ。瀬ヶ池デビュー前の《プレデビュー》…つまり最終確認、って感じかしら』
……えぇっ!?
僕が遂に…誰彼構わず往来する大通りを、女の子の姿で歩く!…しかも真っ昼間に…!!
想像したら…もう今から心臓が高鳴りだした…。
藤浦市北区福士の、とある小さな医療新ビルの2階にある眼科医院に着くと、アンナさんは駆けて受付へと急いだ。僕も追い掛け急ぐ。
『おはようございます』
受付の女性スタッフが挨拶。
『おはようございます。この子が今日予約した"岩塚信吾"です』
アンナさんは僕をカウンターの前へ、ぐいっと差し出した。
『かしこまりました。少々お待ちください…』
女性スタッフはモニターと睨めっこし…?
何か来院者リストでも見てる…?
『はい。岩塚さま…なにかご本人確認できる物はお持ちですか?』
『えぇと…あ、学生証ならあります!』
あまり長く待つこともなく、僕は視力検査室へと呼ばれた。そこで検査のほか、コンタクトレンズの着け外しのレクチャーも受けて約40分。
2週間分の使い捨てコンタクトレンズを受取って、僕とアンナさんは料金を支払って…眼科医院から出てきた。
『どう?コンタクトレンズの着け心地は?』
『…着ける前はまだ慣れてないせいか、少し痛かったですが、今は大丈夫です。眼鏡無しでもあんな遠くまでくっきり見えるとか…気持ちいいです』
『うふふ。喜んでもらえて良かったわ。これから毎日着けてね』
『はい』
『じゃ…眼鏡かして』
僕の黒ぶち眼鏡を預かり、バッグへ入れるアンナさん。
美容院に戻ってきた僕とアンナさん。
お店の階段を上った先の玄関前に、ハンドバッグと私服の入った紙袋を手に下げた詩織がいた。
今日の詩織は…。
キラキララメの入ったアイボリーの大きな《もこもこウールキャスケット》を被って…袖口が葡萄色の、手首まである長袖がゆったりした菖蒲色のシャツを着て、黒いフリルたっぷりのミニスカートを穿いて…それにキャスケットと同じ色のコートを肩に引っ掛けている。靴は赤栗色のショートブーツ。お洒落だな…モデルみたい。さすがは詩織。
『あ…おっはよ!アンナさん、信吾!』
なんだか詩織…今日はいつもに増して上機嫌そうだ。
『これから信吾くんには眼科医院で、コンタクトレンズを作ってもらうわ。女装にその眼鏡は似合わないもの。もちろん、料金は私が全額負担するから。安心して』
『…すみません』
アンナさんは2日前まで、新しい眼鏡を作ってもらおうか、コンタクトレンズにしようかと迷った挙げ句…やっぱり僕の《目を際立たせる》ことを優先して、コンタクトレンズを選択したんだとか。
でも、今日の予定は、それだけではないらしい…。
『9時に詩織が、私服を持って美容院に来てくれるの。そしたら信吾くんは、詩織の持ってきたそれに着替えて準備して。メイクは着替えのあとにするから』
今の説明でなんとなく、アンナさんの考えてる僕の今日の予定が、だいたい解ったような…まだ何か解ってないような…。
『…それで、あなたの女装の準備ができたら《天郷大通り》で、詩織と2人で歩いてもらうわ。瀬ヶ池デビュー前の《プレデビュー》…つまり最終確認、って感じかしら』
……えぇっ!?
僕が遂に…誰彼構わず往来する大通りを、女の子の姿で歩く!…しかも真っ昼間に…!!
想像したら…もう今から心臓が高鳴りだした…。
藤浦市北区福士の、とある小さな医療新ビルの2階にある眼科医院に着くと、アンナさんは駆けて受付へと急いだ。僕も追い掛け急ぐ。
『おはようございます』
受付の女性スタッフが挨拶。
『おはようございます。この子が今日予約した"岩塚信吾"です』
アンナさんは僕をカウンターの前へ、ぐいっと差し出した。
『かしこまりました。少々お待ちください…』
女性スタッフはモニターと睨めっこし…?
何か来院者リストでも見てる…?
『はい。岩塚さま…なにかご本人確認できる物はお持ちですか?』
『えぇと…あ、学生証ならあります!』
あまり長く待つこともなく、僕は視力検査室へと呼ばれた。そこで検査のほか、コンタクトレンズの着け外しのレクチャーも受けて約40分。
2週間分の使い捨てコンタクトレンズを受取って、僕とアンナさんは料金を支払って…眼科医院から出てきた。
『どう?コンタクトレンズの着け心地は?』
『…着ける前はまだ慣れてないせいか、少し痛かったですが、今は大丈夫です。眼鏡無しでもあんな遠くまでくっきり見えるとか…気持ちいいです』
『うふふ。喜んでもらえて良かったわ。これから毎日着けてね』
『はい』
『じゃ…眼鏡かして』
僕の黒ぶち眼鏡を預かり、バッグへ入れるアンナさん。
美容院に戻ってきた僕とアンナさん。
お店の階段を上った先の玄関前に、ハンドバッグと私服の入った紙袋を手に下げた詩織がいた。
今日の詩織は…。
キラキララメの入ったアイボリーの大きな《もこもこウールキャスケット》を被って…袖口が葡萄色の、手首まである長袖がゆったりした菖蒲色のシャツを着て、黒いフリルたっぷりのミニスカートを穿いて…それにキャスケットと同じ色のコートを肩に引っ掛けている。靴は赤栗色のショートブーツ。お洒落だな…モデルみたい。さすがは詩織。
『あ…おっはよ!アンナさん、信吾!』
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