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女装と復讐 -発起編-
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『大丈夫よ。そんな心配は要らないわ。信吾くんが、ちゃんと頭の中で…』
智恵先生はすぐに笑顔で答えてくれた。
『…《男の子の歩き方》と《女の子の歩き方》の切り替えを、意識をもってやっていれば、何も考えなくても自然とできるようになるわ。つまりは《慣れ》ね』
「こんばんはぁ」
『慣れ…ですね。ありがとうございます。先生…んっ?』
今…女の子の声がした!?
驚いて教室の入り口のほうを見ると…開いた扉の隙間から、詩織が顔を覗かせている…。
『へへっ…ちょっと覗きに来ちゃった』
小さなコンビニの袋を左手に下げ、詩織は入ってきた。
詩織…駅前とかでストリートダンスを練習してる女の子たちが着ているような、某スポーツウェアブランドのピンクのジャージの上下とスニーカー…カッコいいな。その格好。
『あれ?ちょうど休憩時間?良かった。缶コーヒー買ってきたんだ。あったかいよ…はい。先生もどうですか?』
丸椅子を詩織に譲り座らせて、僕は缶コーヒーを受け取って床に座った。
『心配して来てくれたんだ。ありがとう』
『…心配?私が?やめてよ。勘違いしないでよね。私は秋良くんから預かった伝言を伝えに来ただけなんだから』
…伝言?
『明後日の土曜日、秋良くんと啓介くんが、またあの時間に美容院に来てって』
またあの時間…とは、美容院の終わる午後9時頃のことだ。
『…なんで?』
『なんで?って…あなたの採寸をとるからでしょ。腕の長さとか胸囲とか』
本格的に…僕の衣装の縫製を始めるってことかな?…なんかドキドキわくわくしてきた…。
『あと…』
『?』
詩織は僕の左耳に、自分の唇を近づけて…先生には聞こえないように、小さな声でヒソヒソと言った。
「アンナさんが…女装したあなたの瀬ヶ池デビューの、日時の打ち合わせとかを…そろそろ始めましょうか…って」
えぇっ!…もう瀬ヶ池デビュー!?
そこに先生が一言。
『あらあら。二人だけの内緒の話?うふふ。お二人、仲良さそうね』
『やめてよぉ先生ー。私たち、全然仲良くないですってばぁ』
……詩織はあっさりと否定。まぁ、いいんだけど…。
『ねぇ、詩織ちゃん』
『はい…?』
先生が詩織の目の前に立ち、詩織の手をそっと取って丸椅子から立ち上がらせた。
『せっかくここに来たんだし…私とワルツ、一緒に踊りましょう』
『えっ、でも先生…私、もう5年もダンスやってない…』
先生がまた、うふふと笑った。
『なに言ってるの?たった5年でしょ?詩織ちゃん』
先生と組んで社交ダンスを踊る詩織は…とても5年のブランクがあるとは思えないほど、ダンスが上手で…綺麗だった。
『ねぇ、信吾も踊ってみる?私が相手してあげるわ。信吾が上手に踊れるなら…ね。どう?』
『……。』
『きゃははは』
智恵先生はすぐに笑顔で答えてくれた。
『…《男の子の歩き方》と《女の子の歩き方》の切り替えを、意識をもってやっていれば、何も考えなくても自然とできるようになるわ。つまりは《慣れ》ね』
「こんばんはぁ」
『慣れ…ですね。ありがとうございます。先生…んっ?』
今…女の子の声がした!?
驚いて教室の入り口のほうを見ると…開いた扉の隙間から、詩織が顔を覗かせている…。
『へへっ…ちょっと覗きに来ちゃった』
小さなコンビニの袋を左手に下げ、詩織は入ってきた。
詩織…駅前とかでストリートダンスを練習してる女の子たちが着ているような、某スポーツウェアブランドのピンクのジャージの上下とスニーカー…カッコいいな。その格好。
『あれ?ちょうど休憩時間?良かった。缶コーヒー買ってきたんだ。あったかいよ…はい。先生もどうですか?』
丸椅子を詩織に譲り座らせて、僕は缶コーヒーを受け取って床に座った。
『心配して来てくれたんだ。ありがとう』
『…心配?私が?やめてよ。勘違いしないでよね。私は秋良くんから預かった伝言を伝えに来ただけなんだから』
…伝言?
『明後日の土曜日、秋良くんと啓介くんが、またあの時間に美容院に来てって』
またあの時間…とは、美容院の終わる午後9時頃のことだ。
『…なんで?』
『なんで?って…あなたの採寸をとるからでしょ。腕の長さとか胸囲とか』
本格的に…僕の衣装の縫製を始めるってことかな?…なんかドキドキわくわくしてきた…。
『あと…』
『?』
詩織は僕の左耳に、自分の唇を近づけて…先生には聞こえないように、小さな声でヒソヒソと言った。
「アンナさんが…女装したあなたの瀬ヶ池デビューの、日時の打ち合わせとかを…そろそろ始めましょうか…って」
えぇっ!…もう瀬ヶ池デビュー!?
そこに先生が一言。
『あらあら。二人だけの内緒の話?うふふ。お二人、仲良さそうね』
『やめてよぉ先生ー。私たち、全然仲良くないですってばぁ』
……詩織はあっさりと否定。まぁ、いいんだけど…。
『ねぇ、詩織ちゃん』
『はい…?』
先生が詩織の目の前に立ち、詩織の手をそっと取って丸椅子から立ち上がらせた。
『せっかくここに来たんだし…私とワルツ、一緒に踊りましょう』
『えっ、でも先生…私、もう5年もダンスやってない…』
先生がまた、うふふと笑った。
『なに言ってるの?たった5年でしょ?詩織ちゃん』
先生と組んで社交ダンスを踊る詩織は…とても5年のブランクがあるとは思えないほど、ダンスが上手で…綺麗だった。
『ねぇ、信吾も踊ってみる?私が相手してあげるわ。信吾が上手に踊れるなら…ね。どう?』
『……。』
『きゃははは』
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