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女装と復讐 -発起編-

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…それは、想像するだけでも怖い…。今までのように、嘲笑や後ろ指なんてものでは多分済まない…。
それこそ《排除》の域だ…。


『…そのリスクを理解してて、それでも《復讐したい》って言ってるの?ってことよ』

『……。』


僕は絶句して、何ひとつ言葉を発することも出来なかった…。


『どう?…リスクを覚悟できる?瀬ヶ池の女の子たちに復讐だなんて、さらっと口に出せるほど簡単なことじゃないわ』


…僕は、僕に宿る魂を奮い起こさせた。
僕は自分を信じる!その決心で今日、ここに来たんだから!!


『…解りました。リスクを承知してでも僕はやります。自分で決めた事なんだから…!』


アンナさんは、女の子メイクした僕の目をじっと見た。
…しばらく僕と視線を合わせていた。


『なるほど…そう。さすが男の子ね。強いわ』


笑顔に戻ったアンナさんに応えるように、僕は強く頷いた。

今まで、さんざん僕を嘲笑いやがった瀬ヶ池の女の子らに《ぎゃふんと言わせたい!》…その思いに何の迷いもない。そこに、どんなリスクがあろうとも。


『え…もうこんな時間!』


アンナさんは左手首の内側の、高級そうな腕時計で時刻を確認した。もうすぐ午後9時になろうとしてる…らしい。


『…遅くなっちゃってごめんなさい。ご足労なんだけど、来週の土曜日…もう一度、美容院ここに来てくれないかしら?』


アンナさんが申し訳なさそうに、僕にそう言った。


『いえいえ…分かりました。来週の土曜日、このお店にまた来ます!』

『うん。来週には、これからあなたをサポートしてくれる仲間たちを集合させておくから』

『はい。じゃあ…』


僕は椅子の肘掛けに手を置き、椅子から立ち上がろうとした……んっ?
これから僕を…サポートしてくれる《仲間たち》って…?


『ちょっと待って!』


アンナさんの一声が、立ちあがろうとした僕を制止した。
僕は浮かせたお尻を、また椅子の上に戻す。


『…えっ?』

『あなた…女の子のメイクしたまま帰るの?クレンジングしなきゃ』


あー…そっか。忘れてた。


『あとね、クレンジングする前に…そろそろその眉毛、綺麗に整えましょう…ね』


…ぁ、ちょ…あぁぁぁぁぁー!!



僕は…僕に何の許可も得ないで、ニコニコ笑顔で僕の眉毛に剃刀を当てるアンナさんの手を…最後まで制止することができなかった…。






美容院クローシュ・ドレから帰るとき、僕は『来週の土曜日は、お店の終わる午後9時頃に来てね』と、アンナさんにお願いされた。

























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