婚約破棄されたので貴族街で薬屋を始めました

マルローネ

文字の大きさ
13 / 24

13話 協力 その2

しおりを挟む

「アリッサ嬢、錬金レシピに記載されている素材のいくつかを持ってきた」

「アルバート王子殿下。王子殿下にわざわざ持ってきていただくなんて……ありがとうございます」

「はは、気にしないでくれ」


 本日もパメラ屋を経営していると、アルバート様が素材を持ってきてくれた。それも大きな箱単位なのでかなりの量だ。これだけあれば既存の薬はもちろん、新しい薬の調合も可能になるだろう。


「売り上げは好調なのかな?」

「そうですね、順調にお客さんは増えていると思います」

「それはよかった。私の方からも宣伝をしておこう」

「アルバート様……すみません」


 なんだかここまでやってくれると、本当に申し訳ない。私は気にしないようにはしているけれど、完璧に気にしないのは無理だ。こうしてアルバート様と話していると他のお客さんに混じってカインツさんがやって来た。

「おうおう、王子殿下もいたんか」

「カインツ殿」

「カインツさん、来てくれたんですか」


 カインツさんも大きな袋を持っている。あれはもしかして……。


「私はアリッサ嬢に素材を届けにな」

「なるほど、そういうことかいな。俺も同じやけどな」


 その大きな袋を開封して中から素材が出て来た。しかもこれは……。


「大回復薬の素材……それに他のレアな薬の素材も……これは一体どこで?」

「素材が豊富なダンジョンに入って取ってきたんや。モンスターがおるから危険な分、希少な素材が手に入るで」


 凄腕冒険者のカインツさんにしかできない調達方法だった。

「これ、貰ってもいいんですか?」

「もちろん構わへんよ。その代わりまたオーダーメイドで薬作ってな」

「わかりました。ありがとうございます」


 私はカインツさんにも頭を下げた。

「カインツ殿は希少な素材の供給。私は基本的な素材の大量供給。ふむ、差別化が出来ていて良いかもしれないな」

「そうやな。上手く流れになってる気がするわ」


 その流れの行きつく先は私の店ということになる。なんだか良いとこ取りをしている気分だわ。


「ふふ、少しだけアリッサが羨ましいわ」

「えっ? どういうこと、姉さん?」

「いえ、なんでもないわ。ふふふ」


 ? 何を笑っているのだろうか。良く分からなかったけれど……姉さんの笑いは気味が悪い。その後もしばらくアルバート様とカインツ様と雑談を交わした。



--------------------------


(トトメス視点)


「なに? 王家は大量生産体制に金を投じる気がないだと……?」

「そのような回答がありました。如何いたしましょうか?」


 執事のエリックより聞かされた事実だった。結局、屋敷に国王陛下が来ることもないのだとか。くそ、どういうわけだ? なぜこんなことが……。


「仕方ない。費用はかかるが先に進めるか。どのみち利益は莫大だからな」

「大量生産体制についてのことなんですが……実は気になる報告がありまして」

「なんだ?」

「サーチによる検品が難しかった為、最小限にして出荷しましたよね?」

「ああ、そうだったな」


 大量生産体制は第一陣が既に完成していた。そこで大量の薬を作り各地へ売りさばいていたのだが……。


「クレームが発生しております」

「なんだと……?」


 クレームだと、そんなバカな……何が起きたというのだ?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

義母と義妹に虐げられていましたが、陰からじっくり復讐させていただきます〜おしとやか令嬢の裏の顔〜

有賀冬馬
ファンタジー
貴族の令嬢リディアは、父の再婚によりやってきた継母と義妹から、日々いじめと侮蔑を受けていた。 「あら、またそのみすぼらしいドレス? まるで使用人ね」 本当の母は早くに亡くなり、父も病死。残されたのは、冷たい屋敷と陰湿な支配。 けれど、リディアは泣き寝入りする女じゃなかった――。 おしとやかで無力な令嬢を演じながら、彼女はじわじわと仕返しを始める。 貴族社会の裏の裏。人の噂。人間関係。 「ふふ、気づいた時には遅いのよ」 優しげな仮面の下に、冷たい微笑みを宿すリディアの復讐劇が今、始まる。 ざまぁ×恋愛×ファンタジーの三拍子で贈る、スカッと復讐劇! 勧善懲悪が好きな方、読後感すっきりしたい方にオススメです!

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

婚約破棄されましたが、帝国皇女なので元婚約者は投獄します

けんゆう
ファンタジー
「お前のような下級貴族の養女など、もう不要だ!」 婚約者として五年間尽くしたフィリップに、冷たく告げられたソフィア。 他の貴族たちからも嘲笑と罵倒を浴び、社交界から追放されかける。 だが、彼らは知らなかった――。 ソフィアは、ただの下級貴族の養女ではない。 そんな彼女の元に届いたのは、隣国からお兄様が、貿易利権を手土産にやってくる知らせ。 「フィリップ様、あなたが何を捨てたのかーー思い知らせて差し上げますわ!」 逆襲を決意し、華麗に着飾ってパーティーに乗り込んだソフィア。 「妹を侮辱しただと? 極刑にすべきはお前たちだ!」 ブチギレるお兄様。 貴族たちは青ざめ、王国は崩壊寸前!? 「ざまぁ」どころか 国家存亡の危機 に!? 果たしてソフィアはお兄様の暴走を止め、自由な未来を手に入れられるか? 「私の未来は、私が決めます!」 皇女の誇りをかけた逆転劇、ここに開幕!

幼馴染みの婚約者が「学生時代は愛する恋人と過ごさせてくれ」と言ってきたので、秒で婚約解消を宣言した令嬢の前世が、社畜のおっさんだった件。

灯乃
ファンタジー
子爵家の総領娘である令嬢の前に、巨乳美少女と腕を組んだ婚約者がやってきた。 曰く、「学生時代くらいは、心から愛する恋人と自由に過ごしたい。それくらい、黙って許容しろ」と。 婚約者を甘やかし過ぎていたことに気付いた彼女は、その場で婚約解消を宣言する。 前半はたぶん普通の令嬢もの、後半はおっさんコメディーです。

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

正妃として教育された私が「側妃にする」と言われたので。

水垣するめ
恋愛
主人公、ソフィア・ウィリアムズ公爵令嬢は生まれてからずっと正妃として迎え入れられるべく教育されてきた。 王子の補佐が出来るように、遊ぶ暇もなく教育されて自由がなかった。 しかしある日王子は突然平民の女性を連れてきて「彼女を正妃にする!」と宣言した。 ソフィアは「私はどうなるのですか?」と問うと、「お前は側妃だ」と言ってきて……。 今まで費やされた時間や努力のことを訴えるが王子は「お前は自分のことばかりだな!」と逆に怒った。 ソフィアは王子に愛想を尽かし、婚約破棄をすることにする。 焦った王子は何とか引き留めようとするがソフィアは聞く耳を持たずに王子の元を去る。 それから間もなく、ソフィアへの仕打ちを知った周囲からライアンは非難されることとなる。 ※小説になろうでも投稿しています。

婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~

ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。 そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。 自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。 マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――   ※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。    ※第二章まで完結してます。現在、最終章をゆっくり更新中です。書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m    ※小説家になろう様にも投稿しています。

処理中です...