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14話 レザードが総責任者へ
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ケルヴィン様の有無を言わせない発言に、完全に固まっていたレザード様。
しかし、正気に戻ると、一気に叫び出す。
「待ってくれ、兄上……! なぜ私なんだ!? 兄上が総責任者でも問題ないだろう? いや、それ以前にルアナが……! アリシアもなんとか言ってくれ!」
「そ、そうです、ケルヴィン様! いくらなんでも、レザード様が海岸線の総責任者だなんて……」
レザード様とアリシアは全力で拒否していたけれど、ケルヴィン様は無常だった。
「お前たちが海岸線に来た目的を、議会にかけてもいいんだぞ?」
「なっ……!? そ、それは……!」
「うっ、ケルヴィン様……!?」
「先ほどの言い訳で、私が納得するとでも思っていたのか? 隊長にも伝えていない急すぎる視察……私が優しく言っている間に、反省することをおススメするぞ?」
「兄上……!」
怖すぎる……流石はケルヴィン王太子殿下。言葉は平常時と変わらなかったけれど、眉間のしわは明らかに違っていた。海岸線の隊長達に伝えられていなかった視察というのは、ケルヴィン様も同じだけど、レザード様とアリシアの場合は二人同時に来ている。
さらにケルヴィン様以上に素早く決まった予定のはず……その辺りの裏付けは後から、いくらでも調査できそうだった。これでは最早、レザード様は何も言えないわね。
というよりも、私が気になったのはケルヴィン様の方だ。本気でレザード様を海岸線の総責任者に、と考えているのかしら? 酷い仕打ちを受けたので、個人的には北方地方の最東端を任せるのは不安しかないのだけれど。
「あの……ケルヴィン様。一つよろしいでしょうか?」
「どうしたんだ、ルアナ?」
「はい。レザード様をこの海岸線の総責任者にするのは、少しだけ不安が残るのですが……」
「な、なんだと……! ルアナ貴様、私の手腕を疑っているというのか!?」
「手腕はともかく、人格は疑っています」
「なっ……!」
予想外にレザード様は狼狽えていた。普通、あれだけのことをされれば、私でなくとも人格くらいは疑うものだ。レザード様はそんなことも分からないのだろうか?
「心配することはない、ルアナ。こいつにはしっかりとやってもらうさ。インクルーダ公爵には私の方から伝えておこう」
「さ、左様でございますか……ケルヴィン様がそこまでおっしゃるのでしたら……」
「ありがとう」
私としては信じる以外にはない。お父様にも伝えてくれるのなら、安心と言えるかしら。私なんかが危惧しなくとも、レザード様がサボらないように監視してくれるのだろう。
そうなると、私達インクルーダ家にとっては好都合かもしれない。海岸線の総責任者レザードの妻、アリシア! という名声が轟くことになるのだから。
他の3家系の公爵への牽制にもなるわ、なんてね。
しかし、正気に戻ると、一気に叫び出す。
「待ってくれ、兄上……! なぜ私なんだ!? 兄上が総責任者でも問題ないだろう? いや、それ以前にルアナが……! アリシアもなんとか言ってくれ!」
「そ、そうです、ケルヴィン様! いくらなんでも、レザード様が海岸線の総責任者だなんて……」
レザード様とアリシアは全力で拒否していたけれど、ケルヴィン様は無常だった。
「お前たちが海岸線に来た目的を、議会にかけてもいいんだぞ?」
「なっ……!? そ、それは……!」
「うっ、ケルヴィン様……!?」
「先ほどの言い訳で、私が納得するとでも思っていたのか? 隊長にも伝えていない急すぎる視察……私が優しく言っている間に、反省することをおススメするぞ?」
「兄上……!」
怖すぎる……流石はケルヴィン王太子殿下。言葉は平常時と変わらなかったけれど、眉間のしわは明らかに違っていた。海岸線の隊長達に伝えられていなかった視察というのは、ケルヴィン様も同じだけど、レザード様とアリシアの場合は二人同時に来ている。
さらにケルヴィン様以上に素早く決まった予定のはず……その辺りの裏付けは後から、いくらでも調査できそうだった。これでは最早、レザード様は何も言えないわね。
というよりも、私が気になったのはケルヴィン様の方だ。本気でレザード様を海岸線の総責任者に、と考えているのかしら? 酷い仕打ちを受けたので、個人的には北方地方の最東端を任せるのは不安しかないのだけれど。
「あの……ケルヴィン様。一つよろしいでしょうか?」
「どうしたんだ、ルアナ?」
「はい。レザード様をこの海岸線の総責任者にするのは、少しだけ不安が残るのですが……」
「な、なんだと……! ルアナ貴様、私の手腕を疑っているというのか!?」
「手腕はともかく、人格は疑っています」
「なっ……!」
予想外にレザード様は狼狽えていた。普通、あれだけのことをされれば、私でなくとも人格くらいは疑うものだ。レザード様はそんなことも分からないのだろうか?
「心配することはない、ルアナ。こいつにはしっかりとやってもらうさ。インクルーダ公爵には私の方から伝えておこう」
「さ、左様でございますか……ケルヴィン様がそこまでおっしゃるのでしたら……」
「ありがとう」
私としては信じる以外にはない。お父様にも伝えてくれるのなら、安心と言えるかしら。私なんかが危惧しなくとも、レザード様がサボらないように監視してくれるのだろう。
そうなると、私達インクルーダ家にとっては好都合かもしれない。海岸線の総責任者レザードの妻、アリシア! という名声が轟くことになるのだから。
他の3家系の公爵への牽制にもなるわ、なんてね。
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