婚約していたのに、第二王子は妹と浮気しました~捨てられた私は、王太子殿下に拾われます~

マルローネ

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13話 本格的な視察 その2

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……レザード第二王子殿下視点に変更……


「それで? なにか意見はあるのか、レザード?」

「い、意見は……ええとだな……」


 海岸線の視察に対する意見などあるはずがない……! くそっ! どうしたらいい……? 私はアリシアに視線を向けたが、彼女はすぐに逸らしてしまった。やはり、王太子を前にしては何も言い返せないか。

 元々はアリシアと二人で、孤独なルアナを笑いに来ただけだ。連絡も適当にしておいた為、おそらくはこの場所の管理をしている隊長達に伝わっていないことだろう。

 それゆえに、視察に対する意見など全く持ち合わせてはいなかった。


 どうする……? どのように、この状況を切り抜けたらいい……!? 考えろ、私にならば出来るはずだ。



----------------------------------


……ルアナ視点……


「兄上に言われてしまったよ……全く、酷い兄上だ」

「ほう、私と同じ意見だったということか……」

「そ、その通りだ! つまりは、港の発展に予算を割くべきだと思うがな! わはははははっ!」


 レザード様はケルヴィン様と全く同じ意見だということで、この場を乗り切ろうとしていた。子供並みの言い訳に聞こえてしまうけれど、強く否定することでもないのは確かだ。

 実際に同じ意見になることはあり得るわけだし、違うことを証明することは難しい。簡単に言えば、言ったもの勝ちの方式ね。


「どう思う、ルアナ?」

「はい、ケルヴィン様。流石はレザード様だと思いました……第二王子殿下の名に恥じないお方だと思います」

「そ、そうだろう……? 当り前じゃないか!」


 とりあえず私は、レザード様を持ち上げる方向で調整してみた。私の返答を聞いたケルヴィン様は、怪しく笑っている。何か狙いがあるのかしら?

「まさしくレザードの言う通りだ……流石は我が弟、港の重要さがよく分かっているようだな」

「と、当然だ……! 次期国王の弟の冠は伊達ではないさ」


 明らかに不自然だった。レザード様は気付いていないみたいだけど、アリシアも怪訝な表情をしているし。ケルヴィン様はわざと誉めているのだ。

 その狙い……真意は……。


「では、レザード。お前に港建設の指揮を取ってもらいたい」

「えっ……? 指揮……?」

「ああ、これほど名誉なことも珍しいだろう? 婚約者であるアリシア嬢の株もうなぎ上りといったところだしな」

「い、いや……待て、兄上……」

「なんだ? もしや、嫌とは言わないだろうな?」


 有無を言わせないケルヴィン様の攻撃……レザード様は固まっていた。
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