婚約していたのに、第二王子は妹と浮気しました~捨てられた私は、王太子殿下に拾われます~

マルローネ

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12話 本格的な視察 その1

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「早急に改善……というより、増築が必要な場所が船着き場だな」

「左様でございます、ケルヴィン様。東の海岸線に巨大な港を建設出来れば、かなりの漁獲量を見込めますので」

「長い目で見れば、大きな利益に繋がることは間違いないですね……」


 私達はその後、エルドの先導の下、船着き場を中心に調査して回った。現在の船着き場はそれほど大きくはないけれど、整備され巨大な港になれば他国の貿易でも有利に立てるだろう。そうなれば、北方地方の収益だけでなく王国全体が潤うことになる。

 様々な種類の魚を求めて首都に商人が集まったり、もしかすると、この海岸線にまで直接交渉をしに来る者が増えるかもしれない。そうなれば、本当に予想できない程の儲けになりそうだ。

 ちなみに、私達の後ろからは、アリシアとレザード様が無言で付いて来ている。なんともシュールな光景だった。


「船着き場の増設……立派な港にするまでとなると、かなりの予算が必要になるな。おそらくは、現在の予定している金額では赤字になるのではないか?」

「はい……現在の予算では、港の建設までは出来ないでしょう。魔物対策にも費用は掛かってしまいますので」

「なるほど……ホプキンス隊長、では私の方から議会を通して、追加予算の案を出してみよう。議会も海岸線の重要度を認知すれば、承認してくれるだろうしな」


 いい感じに話が纏まってきている気がする。本来は私だけで視察をする予定だったけれど、ケルヴィン様に来ていただいたのは正解だった。

 ケルヴィン様と一緒だとより安心できるし、後ろの二人のことを気にする必要もないから。


「さて……港の建設は急務ということが分かったな」

「そうですね、ケルヴィン様」

「うむ……それで? 後ろの二人は何か意見はないのか?」


「えっ? 後ろの二人というのは、私達のことか……!?」


 ケルヴィン様に声を掛けられたレザード様は、焦った口調になっていた。

「他に誰が居るというんだ? それで……何か言いたいことはないのか?」


「な、なぜ私が、意見を言う必要があるんだ? 兄上とルアナが言えば、それで済むではないか!」

「そ、そうですわ……!」


 レザード様は焦っているからか、口調が荒々しくなっている。別に驚きはしないけれど、ちょっと滑稽かもしれない。アリシアもレザード様に合わせて言葉を出しているけれど、ほとんど意味を成していない。


「あのな……お前たちは独自の考えを持って、海岸線の視察に来たのだろう? それならば何か見えてくるものがあると思うが?」

「うぐ……そ、それは……!」

「まさかとは思うが……本当にルアナを笑いものにしに来ただけ、ということはないだろうな?」

「と、当然ではないか……! え、えっとだな……!」


 レザード様はさらに焦りの様子を見せていた。何か意見を考えているようだけど、私達にはちゃんと伝わっている。まともに視察なんてしていないと……。



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