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9話 遭遇 その3
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まさかこの海岸線でアリシアに会うなんて思わなかった。さらにレザード様に会うということ予想外だ。二人は一体、こんな場所に何の用があるのか……。
先ほどの質問の答えとしては、自分達も海岸線の漁業発展の視察に来たと言っていたけれど。アリシア、レザード様の態度はあからさまに不審だし、とても信じられない。
しかも、レザード様は先ほどから妙なことを言っているし……。
「なぜ私がここに居るのか、だと? しかもルアナと一緒に居ることが不自然かのように問いただしているが……」
「その通りだ、兄上。本来、兄上はこの時期に海岸線を訪れる予定はなかったはずだ。急遽、議会を通し承認を得たと聞いているぞ? その辺りはどうなんだ?」
どうして私達が尋問を受けているんだろう? どうみても私達が尋問を受ける立場にはないはず……どちらかと言うと、尋問を受ける立場なのはレザード様とアリシアの二人だ。彼らは何か、勘違いをしてしているのかもしれない。
「私がなぜそんな質問を受けているのか理解できないが……まあいいだろう。王太子の立場として、次期国王の責務として今回は参加したのだ。北方地方の収益の増加……それがこの漁業に掛かっているのだからな。この海岸線の漁獲量の増加による恩恵は、王族貴族だけでなく国民にも広がるからな。今回はそういったことを鑑み、視察に乗り出したのだ。特に不自然ではあるまい?」
「それはそうかもしれないが……なぜ、ルアナと一緒に来る必要がある? わざわざ、ルアナが視察に来る日と合わせる必要はあるまい?」
自分たちのことは棚に上げてこの言い草……なぜ私達が責められているのだろうか。ケルヴィン様も呆れてものが言えなくなっている様子だ。
「そちらの……エルド・ホプキンスだったか? この海岸線部隊を取り仕切る隊長の一人だな?」
「はっ! レザード・マレストーレ王子殿下! 左様でございます!」
レザード様に急に話しかけられ、エルドは咄嗟に敬礼をしていた。そんなことする必要はないのに……。条件反射というやつかしら。
「お前のところに、兄上が来るという連絡は事前に入っていたか?」
「そ、それは……いえ、事前には入っていませんでした」
「だろうな。それほど早く、兄上は体裁を整えたということなのだ。これは言い換えれば、ルアナと一緒に居るための口実を作ったということ。王族の責務をそんな色恋沙汰に使うとは……王太子失格なのではないか?」
「……」
エルドのところに連絡が間に合わなかったのは事実だけれど、なぜレザード様がそのことを知っているのかしら?
なんだかおかしいわね……。
「私の姉、ルアナ・インクルーダのことをそんなにお気に召しましたか? ふふふ、王太子殿下は無難で地味な娘がお好きなようですね」
「言いたい放題だな……」
アリシアも調子に乗っているように見えた。普段の彼女なら決してこのようなことは言わない。今はレザード様と一緒だから言えている。
レザード様とアリシアは優位に立ったつもりかもしれないけれど、それは勘違いというものだ。私達の反撃が始まろうとしていた。
先ほどの質問の答えとしては、自分達も海岸線の漁業発展の視察に来たと言っていたけれど。アリシア、レザード様の態度はあからさまに不審だし、とても信じられない。
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「なぜ私がここに居るのか、だと? しかもルアナと一緒に居ることが不自然かのように問いただしているが……」
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「私がなぜそんな質問を受けているのか理解できないが……まあいいだろう。王太子の立場として、次期国王の責務として今回は参加したのだ。北方地方の収益の増加……それがこの漁業に掛かっているのだからな。この海岸線の漁獲量の増加による恩恵は、王族貴族だけでなく国民にも広がるからな。今回はそういったことを鑑み、視察に乗り出したのだ。特に不自然ではあるまい?」
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「そちらの……エルド・ホプキンスだったか? この海岸線部隊を取り仕切る隊長の一人だな?」
「はっ! レザード・マレストーレ王子殿下! 左様でございます!」
レザード様に急に話しかけられ、エルドは咄嗟に敬礼をしていた。そんなことする必要はないのに……。条件反射というやつかしら。
「お前のところに、兄上が来るという連絡は事前に入っていたか?」
「そ、それは……いえ、事前には入っていませんでした」
「だろうな。それほど早く、兄上は体裁を整えたということなのだ。これは言い換えれば、ルアナと一緒に居るための口実を作ったということ。王族の責務をそんな色恋沙汰に使うとは……王太子失格なのではないか?」
「……」
エルドのところに連絡が間に合わなかったのは事実だけれど、なぜレザード様がそのことを知っているのかしら?
なんだかおかしいわね……。
「私の姉、ルアナ・インクルーダのことをそんなにお気に召しましたか? ふふふ、王太子殿下は無難で地味な娘がお好きなようですね」
「言いたい放題だな……」
アリシアも調子に乗っているように見えた。普段の彼女なら決してこのようなことは言わない。今はレザード様と一緒だから言えている。
レザード様とアリシアは優位に立ったつもりかもしれないけれど、それは勘違いというものだ。私達の反撃が始まろうとしていた。
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