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8話 遭遇 その2
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……アリシア視点に変更……
「姉さん……久しぶりね」
「アリシア? どうして此処に居るの?」
「え、ええ……ちょっとね……」
「それにレザード様まで……! 失礼いたしました。レザード様、ご無沙汰しております」
姉さんはレザード様を見るなり、慌てて簡易的な挨拶をした。レザード様もそれに応えるようにお辞儀をする。
何をしに来たのかって? 相変わらずこの姉は察しが悪くて困るわ。一人寂しく海岸線の視察に来たあなたを笑いものにするために決まってるでしょう? こんなんだから、レザード様にも簡単にフラれるのよ。はあ、まったく馬鹿な姉だわ……こんなのが4大貴族の1つと言われるインクルーダ家の長女だなんて。
でも私はそれよりも……隣に居る人物に驚いてしまっていた。
「そろそろ私が話しをしても良いのか?」
「ケルヴィン王太子殿下……」
あまりに意外な人物が海岸線に居た為、私もレザード様も挨拶をすることをすっかり忘れてしまった。
「し、失礼いたしました……!」
「構わん、いまさら挨拶など不要だ」
「はは……!」
「それよりも……なぜ、レザードがここに居るのだ?」
「そ、それは……」
「それは……なんだ?」
ケルヴィン王太子殿下の無言の圧力が私達に降り注いでいるような……なによこれ? 私達が何かをしたって言うの? そっちこそ何のためにこんな場所に居るのよ。せっかく姉を馬鹿にしようと思っていたのに、これでは出来ないわ。
「アリシアに誘われて……いえ、私もぜひ海岸線の漁業の実態を知っておこうと思ったからです」
「……」
レザード様は咄嗟に嘘を吐いた。というより、私に誘われたとか言おうとしてしなかったかしら? まあ、そちらが真実ではあるんだけど。兄弟間の争いに、私を巻き込むのは勘弁してほしい。
「お前も視察に来たというのか?」
「そ、その通りです……!」
「お前がここに居るルアナを振ってから、ほとんど時間が経過していない。その状況でこんな海岸線で、私達4人が偶然出くわす可能性など皆無だと思うのだが……」
何よこの王太子殿下は……! 何が言いたいというの? 私達は疑われている……? いえ、そんなはずは。
「何が言いたいのだ、兄上? そちらこそ、なぜルアナと一緒に居るのだ?」
「なんだと……?」
その時、レザード様が言った。流石は第二王子殿下といったところね。ケルヴィン王太子殿下に意見が出来る数少ない人物なだけのことはある。
そうよ、向こうが私達を追求してくるなら、私達にだってその権利があるはず。私が直接、ケルヴィン王太子殿下に意見を言っても無礼ではない。
私はなんといっても4大貴族の一員なんだから……王家が存族出来ているのは、この4大貴族の恩恵が非常に大きい。なんせ四方の広大な大地を守っているのは私達4大貴族だ。こちらばかりが責められる謂れなんてないわ。
私達は反撃に出ることにした。
「姉さん……久しぶりね」
「アリシア? どうして此処に居るの?」
「え、ええ……ちょっとね……」
「それにレザード様まで……! 失礼いたしました。レザード様、ご無沙汰しております」
姉さんはレザード様を見るなり、慌てて簡易的な挨拶をした。レザード様もそれに応えるようにお辞儀をする。
何をしに来たのかって? 相変わらずこの姉は察しが悪くて困るわ。一人寂しく海岸線の視察に来たあなたを笑いものにするために決まってるでしょう? こんなんだから、レザード様にも簡単にフラれるのよ。はあ、まったく馬鹿な姉だわ……こんなのが4大貴族の1つと言われるインクルーダ家の長女だなんて。
でも私はそれよりも……隣に居る人物に驚いてしまっていた。
「そろそろ私が話しをしても良いのか?」
「ケルヴィン王太子殿下……」
あまりに意外な人物が海岸線に居た為、私もレザード様も挨拶をすることをすっかり忘れてしまった。
「し、失礼いたしました……!」
「構わん、いまさら挨拶など不要だ」
「はは……!」
「それよりも……なぜ、レザードがここに居るのだ?」
「そ、それは……」
「それは……なんだ?」
ケルヴィン王太子殿下の無言の圧力が私達に降り注いでいるような……なによこれ? 私達が何かをしたって言うの? そっちこそ何のためにこんな場所に居るのよ。せっかく姉を馬鹿にしようと思っていたのに、これでは出来ないわ。
「アリシアに誘われて……いえ、私もぜひ海岸線の漁業の実態を知っておこうと思ったからです」
「……」
レザード様は咄嗟に嘘を吐いた。というより、私に誘われたとか言おうとしてしなかったかしら? まあ、そちらが真実ではあるんだけど。兄弟間の争いに、私を巻き込むのは勘弁してほしい。
「お前も視察に来たというのか?」
「そ、その通りです……!」
「お前がここに居るルアナを振ってから、ほとんど時間が経過していない。その状況でこんな海岸線で、私達4人が偶然出くわす可能性など皆無だと思うのだが……」
何よこの王太子殿下は……! 何が言いたいというの? 私達は疑われている……? いえ、そんなはずは。
「何が言いたいのだ、兄上? そちらこそ、なぜルアナと一緒に居るのだ?」
「なんだと……?」
その時、レザード様が言った。流石は第二王子殿下といったところね。ケルヴィン王太子殿下に意見が出来る数少ない人物なだけのことはある。
そうよ、向こうが私達を追求してくるなら、私達にだってその権利があるはず。私が直接、ケルヴィン王太子殿下に意見を言っても無礼ではない。
私はなんといっても4大貴族の一員なんだから……王家が存族出来ているのは、この4大貴族の恩恵が非常に大きい。なんせ四方の広大な大地を守っているのは私達4大貴族だ。こちらばかりが責められる謂れなんてないわ。
私達は反撃に出ることにした。
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