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7話 遭遇 その1
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私とケルヴィン様は食事を済ませた後、海岸線の視察を本格的に行うことにした。
海岸線部隊の隊長の一人であるエルド・ホプキンスに案内され私達は海岸線を一回りすることにした。周囲にはエルド以外の兵士達と専属の護衛達で固められている。私も4家系しか居ない公爵家の者だから、それなりの護衛は付くけれど、今の厳重な警備は主にケルヴィン様が同行していることが要因だった。
その護衛の数だけを見てもケルヴィン様の影響力が分かる程だ。
「あの辺りに船着き場を新設する予定です。そこから漁船を出し、海の魚を捕獲。漁獲量は飛躍的に向上するでしょう」
「なるほど……では、まずは船着き場の新設と漁船の作成に予算を宛がうということね?」
「左様でございます」
エルドは分かりやすく、簡潔な説明をしてくれる。彼の説明により、どの部分に重点的に予算を配分すれば良いのかが明確になりそうだ。場合によっては予算自体の増額も考えないといけないだろうから。
「ふむ……漁業については上手く行きそうだが、海の魔物にも注意しなければならないだろう?」
「はい……左様でございますね。現状がまだ被害は出ていませんが、今後、漁業が本格的になれば、自分たちのテリトリーに余所者が侵入したと勘違いした魔物が、襲ってきてもおかしくはないと思います」
「やはりそうなるか……」
「海の魔物……」
そうか……私は漁業の発展ばかりに集中していたけれど、それを行う者たちの安全を最優先に考えないといけなかった。こんなことではいけないわね、反省しないと。
「ケルヴィン様、魔物に関しまして何か対策のご提案はございますでしょうか?」
「そうだな。簡単なところでは冒険者を雇い、同乗させるという方法がある。ただし、毎回というわけにはいかないだろうから、継続的に行える安全策としては期間を決めて一掃してしまうことだろうな」
「なるほど」
魔物の一斉討伐……確かにそれが、一番現実的で確実な案だった。定期的にそれを行うことで、確実に漁船への被害は減らせるだろう。
「後は、多少予算が掛かるが、漁船そのものに大砲を乗せてしまうということだな」
「そういう考えもありますね、なるほど」
「若しくは剣士や魔導士に漁船を任せてしまうという手もあるな」
流石はケルヴィン様……複数の案を瞬時に出してくれた。漁業を行う者自体を戦闘能力の高い者にすれば、確かに相対的に安全にはなる。そういう考えもあるわけね。
「あとは……ん? あれは……」
私達は海岸線を歩きながら安全面について考えていた。そんな時、前方に男女の姿を見る。護衛の姿もあるみたいだけれど、その人物に最初に気付いたのはケルヴィン様だった。
「あれは……」
「あ、アリシア……? それにレザード様も……?」
驚いた……こんなところで二人に会うなんて。信じられないという気持ちだったけど、なんだか向こうも驚いているように見える。私に会う目的で来たんじゃないのかしら……どういうこと?
海岸線部隊の隊長の一人であるエルド・ホプキンスに案内され私達は海岸線を一回りすることにした。周囲にはエルド以外の兵士達と専属の護衛達で固められている。私も4家系しか居ない公爵家の者だから、それなりの護衛は付くけれど、今の厳重な警備は主にケルヴィン様が同行していることが要因だった。
その護衛の数だけを見てもケルヴィン様の影響力が分かる程だ。
「あの辺りに船着き場を新設する予定です。そこから漁船を出し、海の魚を捕獲。漁獲量は飛躍的に向上するでしょう」
「なるほど……では、まずは船着き場の新設と漁船の作成に予算を宛がうということね?」
「左様でございます」
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「ふむ……漁業については上手く行きそうだが、海の魔物にも注意しなければならないだろう?」
「はい……左様でございますね。現状がまだ被害は出ていませんが、今後、漁業が本格的になれば、自分たちのテリトリーに余所者が侵入したと勘違いした魔物が、襲ってきてもおかしくはないと思います」
「やはりそうなるか……」
「海の魔物……」
そうか……私は漁業の発展ばかりに集中していたけれど、それを行う者たちの安全を最優先に考えないといけなかった。こんなことではいけないわね、反省しないと。
「ケルヴィン様、魔物に関しまして何か対策のご提案はございますでしょうか?」
「そうだな。簡単なところでは冒険者を雇い、同乗させるという方法がある。ただし、毎回というわけにはいかないだろうから、継続的に行える安全策としては期間を決めて一掃してしまうことだろうな」
「なるほど」
魔物の一斉討伐……確かにそれが、一番現実的で確実な案だった。定期的にそれを行うことで、確実に漁船への被害は減らせるだろう。
「後は、多少予算が掛かるが、漁船そのものに大砲を乗せてしまうということだな」
「そういう考えもありますね、なるほど」
「若しくは剣士や魔導士に漁船を任せてしまうという手もあるな」
流石はケルヴィン様……複数の案を瞬時に出してくれた。漁業を行う者自体を戦闘能力の高い者にすれば、確かに相対的に安全にはなる。そういう考えもあるわけね。
「あとは……ん? あれは……」
私達は海岸線を歩きながら安全面について考えていた。そんな時、前方に男女の姿を見る。護衛の姿もあるみたいだけれど、その人物に最初に気付いたのはケルヴィン様だった。
「あれは……」
「あ、アリシア……? それにレザード様も……?」
驚いた……こんなところで二人に会うなんて。信じられないという気持ちだったけど、なんだか向こうも驚いているように見える。私に会う目的で来たんじゃないのかしら……どういうこと?
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