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27話 幸せは普通のこと その2

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 サンセット・メジラマ侯爵視点……。


『お前は我が一族の恥だ! 消えてなくなれ!』


 父上にそう言われた時、私は本当に悲しんだ……同時にウィンベルに対する行いを恥じたのだ……なぜ、私はあんなことをしてしまったのだろうか。ダグラス王国からの永久追放を経て、初めて分かってしまった。


「サンセット……あなたは上手くしっぽ切りをされたみたいね」

「そのようだな……父上はメジラマ侯爵家自体は残して欲しいと、国王陛下に懇願したはずだ。議会との癒着は父の代からあったはずなのに……その部分を有耶無耶にしたかったのだろうな」


 私とシリスの二人は国外追放になってしまった。本来は最低限の保証をしてくれるということだったが、我が父上の裁量により、それも無くなったわけだ。あんな連中を家族と思っていたなんて……私もどうかしていたな。


「どうするの、サンセット? 私達は貴族と言う肩書きがあったからこそ、今まで何不自由ない生活が出来ていたのよ?」

「こうなったら、冒険者にでもなるか? 一般人の間では食うに困ったら、とりあえず冒険者というのが定説らしいからな」


 冒険者という職業は日雇い労働に近い存在だ。しかし、世界的に見てもその人数は圧倒的に多い。それは、食い扶持に困った場合、とりあえず冒険者登録をする者が多いことを意味していた。成功する者は限られてくるが、底辺でも最低限の生活を行えている場合が多いようだ。

 その為、国内外に問わず冒険者ギルドというものが設置されているのだとか。

「今から冒険者になるの……? 途中で野垂れ死にそうだけれど……それに、野宿なんて死んでもゴメンだわ」

「これからはそういうことも覚悟しないといけないだろうな。ある程度の若さと、健康な身体があるだけでも感謝すべきなのかもしれん」

「そんな……」


 シリスは公爵令嬢だったこともあり、今までは苦労もなく育ってきたのだろう。しかし、私は違うのだ。侯爵という肩書きを背負っていたのだから、ある程度、世間が厳しいことは理解していた。

「とにかく、目先の金にも困っている状況だ。冒険者登録に向かうぞ、シリス。今ではお互いだけが心の支えなのだ。喧嘩は出来る限り抑えようじゃないか」

「サンセット……わかったわ。言う通りにするしかないようね」

「いい子だ」


 私達は早速、冒険者登録をする為にギルドに向かうことにした。見ていろ……必ず返り咲いてみせるからな。
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