上 下
17 / 19

17話 子供達の行く末 その1

しおりを挟む
「それで……その調査の末に分かった20人の女性はどうなるの? まだ身籠ったままなんでしょう?」

「ああ、国王陛下を初め、第一王子殿下達、それから親戚の大公殿下らも各方面への対処で大忙しみたいだ。まず、関係を持った女性が貴族、メイド、一般人と多岐に渡るからね。何か悪い噂でも流されたら、ひとたまりもないかもしれない」

「なるほど……確かに、周辺国家を見てもあまり仲の良くない国はあるものね。そういうところへ詳細な情報が行ったりしたら……」

「ああ、最悪の場合、情報を漏らした者は殺されるだろう。ただ、情報が行ってから殺しても意味はないけどね」


 クライブの話を聞いていると、王家が今、どれだけ大混乱になっているか容易に想像出来てしまった。暗殺という手段はまず使わないだろうと思う。それが表に出た時も大変だし、暗殺はするかも……と私達貴族も普通に考えているから余計にだ。

「正直言って、今は王族の間でも統率が取れているとは言えない。前に僕が言いかけていたのがそれさ。ガスト王子殿下を除いたとしても、他の方々が王族として向いているかと言われたら、疑問に感じてしまうからね」

「なるほど……そういうことだったのね」

「ああ、そういうことさ。まあ、僕らには直接関係ないことだけど。ただ、波及してくると本当に厄介なことになりかねない」


 確かに……以前のガスト王子殿下のように、生まれて来る子供を匿え~~~! なんて言って来られたら本当に大変だしね。その場合は全力で拒否をしなければならない。それこそ、議会に訴えるレベルで。まあ、国王陛下があれだけ謝罪していたのだから、今更、そんなことはあり得ないと思うけれどね。


「幾つかの案は出ているらしいんだけど、まだ決定はしていないらしい。王族としても自分達の血を受け継いだ20人もの男女が誕生するんだからね。この際、政略的に利用できないか? といった案も生まれているそうだ」

「その子たち、あんまり良い未来は待ってなさそうね……ガスト様が勝手に作ったわけだから、生まれて来る子たちには何の罪もないはずなのに」

「それは確かにそうだね……何とかしてやりたいとも思うが……」


 クライブも助けられるなら助けたい、という気持ちなんだろう。まあ、王家ゆかりの子供達になるんだから、どうするのかは、王家に委ねられるわけだけれど……ガスト様みたいに適当に行動する方が他にもたくさん居るのだとしたら、それは本当に可哀想な結果を生むのでは? と思えてしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生令嬢だと打ち明けたら、婚約破棄されました。なので復讐しようと思います。

柚木ゆず
恋愛
 前世の記憶と膨大な魔力を持つサーシャ・ミラノは、ある日婚約者である王太子ハルク・ニースに、全てを打ち明ける。  だが――。サーシャを待っていたのは、婚約破棄を始めとした手酷い裏切り。サーシャが持つ力を恐れたハルクは、サーシャから全てを奪って投獄してしまう。  信用していたのに……。  酷い……。  許せない……!。  サーシャの復讐が、今幕を開ける――。

失踪していた姉が財産目当てで戻ってきました。それなら私は家を出ます

天宮有
恋愛
 水を聖水に変える魔法道具を、お父様は人々の為に作ろうとしていた。  それには水魔法に長けた私達姉妹の協力が必要なのに、無理だと考えた姉エイダは失踪してしまう。  私サフィラはお父様の夢が叶って欲しいと力になって、魔法道具は完成した。  それから数年後――お父様は亡くなり、私がウォルク家の領主に決まる。   家の繁栄を知ったエイダが婚約者を連れて戻り、家を乗っ取ろうとしていた。  お父様はこうなることを予想し、生前に手続きを済ませている。  私は全てを持ち出すことができて、家を出ることにしていた。

私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください

迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。 アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。 断るに断れない状況での婚姻の申し込み。 仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。 優しい人。 貞節と名高い人。 一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。 細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。 私も愛しております。 そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。 「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」 そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。 優しかったアナタは幻ですか? どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。

まさか、今更婚約破棄……ですか?

灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
チャールストン伯爵家はエンバー伯爵家との家業の繋がりから、お互いの子供を結婚させる約束をしていた。 エンバー家の長男ロバートは、許嫁であるチャールストン家の長女オリビアのことがとにかく気に入らなかった。 なので、卒業パーティーの夜、他の女性と一緒にいるところを見せつけ、派手に恥を掻かせて婚約破棄しようと画策したが……!? 色々こじらせた男の結末。 数話で終わる予定です。 ※タイトル変更しました。

【完結】婚約破棄断罪を企んでおられるようなので、その前にわたくしが婚約破棄をして差し上げますわ。〜ざまぁ、ですわ!!〜

❄️冬は つとめて
恋愛
題名変えました。 【ざまぁ!!】から、長くしてみました。 王太子トニックは『真実の愛』で結ばれた愛するマルガリータを虐める婚約者バレンシアとの婚約破棄を狙って、卒業後の舞踏会でバレンシアが現れるのを待っていた。

聖人な婚約者は、困っている女性達を側室にするようです。人助けは結構ですが、私は嫌なので婚約破棄してください

香木あかり
恋愛
私の婚約者であるフィリップ・シルゲンは、聖人と称されるほど優しく親切で慈悲深いお方です。 ある日、フィリップは五人の女性を引き連れてこう言いました。 「彼女達は、様々な理由で自分の家で暮らせなくなった娘達でね。落ち着くまで僕の家で居候しているんだ」 「でも、もうすぐ僕は君と結婚するだろう?だから、彼女達を正式に側室として迎え入れようと思うんだ。君にも伝えておこうと思ってね」 いくら聖人のように優しいからって、困っている女性を側室に置きまくるのは……どう考えてもおかしいでしょう? え?おかしいって思っているのは、私だけなのですか? 周囲の人が彼の行動を絶賛しても、私には受け入れられません。 何としても逃げ出さなくては。 入籍まであと一ヶ月。それまでに婚約破棄してみせましょう! ※ゆる設定、コメディ色強めです ※複数サイトで掲載中

【完結】地味と連呼された侯爵令嬢は、華麗に王太子をざまぁする。

佐倉穂波
恋愛
 夜会の最中、フレアは婚約者の王太子ダニエルに婚約破棄を言い渡された。さらに「地味」と連呼された上に、殺人未遂を犯したと断罪されてしまう。  しかし彼女は動じない。  何故なら彼女は── *どうしようもない愚かな男を書きたい欲求に駆られて書いたお話です。

熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。

木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。 しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。 「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」 身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。 堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。 数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。 妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。

処理中です...