17 / 20
17話 グレス王子殿下とのデート その1
しおりを挟む
「待たせてしまったかな?」
「いえ、グレス王子殿下。私も先ほど来たばかりです」
私達はその日、以前から約束していたデートを行う為に待ち合わせをしていた。待ち合わせ場所は貴族街の森林公園にある一本杉だ。周辺は豪華な家々が並ぶ中、この森林公園だけは自然が豊富で気持ちが良い。デートには最適な場所であると言える。
「それでは早速……どこかへ行こうか?」
「はい、そうですね……よろしければ、この森林公園を少し歩きませんか?」
「ああ、構わないとも」
グレス王子殿下は快く承諾してくれる。私達は森林公園を散歩することにした。王子殿下とのデートが実現するなんて……一介の伯爵令嬢が相手の場合は異例と言えるだろう。周囲の貴族達も不可解にこちらを見ている。
やっぱり、グレス王子殿下は目立つわよね……その周囲には護衛の姿もあることだし。
「本日はジーン王女殿下は来られていないのですか?」
私は恥ずかしさから解放されたくて、素っ頓狂な質問をしてしまった。ジーン王女殿下が来ているわけがないのに……。
「ジーン? 今日は来ていないよ。流石に来ていたら驚くだろう?」
「そうですね……驚きます」
ジーン王女殿下はなんだかんだ言って、グレス王子殿下に懐いている。ブラコン気質を持ち合わせているはずだけれど、それ以上に私とグレス王子殿下の関係を応援してくれているようだった。だから、グレス王子殿下を心配して見に来たりはしていないと分かって安心した。
「いえ、ジーン王女殿下のことですから……何か良からぬ思いを抱いて、私達の後をつけていないか心配になりまして……」
「ははは、ジーンならやりかねないな」
グレス王子殿下は大袈裟に笑って見せている。わざとらしく、周囲を見渡しながら。しかし、その表情はジーン王女殿下が居ないことを分かっているようだった。
「本日に限ってはそれはないよ。私からも釘を刺しておいたし、何よりも彼女はミレーヌや私のことを信用してくれているからね」
「なるほど、凄く説得力があります……」
ジーン王女殿下はかなりのツンデレだけれど、基本的にはとても優しい。私のことも信用してくれているわけか。
なんだか、嬉しくなってしまった。
「それに……今日は色々と大切な日になりそうだからね。ジーンだってそれは分かっているさ」
「えっ……? グレス王子殿下?」
グレス王子殿下は真剣な表情になっていた。特にその後に続く言葉はなく、私達はそのまま森林公園を歩き続けることになったけれど。
私には何のことだか、分からなかった。
「いえ、グレス王子殿下。私も先ほど来たばかりです」
私達はその日、以前から約束していたデートを行う為に待ち合わせをしていた。待ち合わせ場所は貴族街の森林公園にある一本杉だ。周辺は豪華な家々が並ぶ中、この森林公園だけは自然が豊富で気持ちが良い。デートには最適な場所であると言える。
「それでは早速……どこかへ行こうか?」
「はい、そうですね……よろしければ、この森林公園を少し歩きませんか?」
「ああ、構わないとも」
グレス王子殿下は快く承諾してくれる。私達は森林公園を散歩することにした。王子殿下とのデートが実現するなんて……一介の伯爵令嬢が相手の場合は異例と言えるだろう。周囲の貴族達も不可解にこちらを見ている。
やっぱり、グレス王子殿下は目立つわよね……その周囲には護衛の姿もあることだし。
「本日はジーン王女殿下は来られていないのですか?」
私は恥ずかしさから解放されたくて、素っ頓狂な質問をしてしまった。ジーン王女殿下が来ているわけがないのに……。
「ジーン? 今日は来ていないよ。流石に来ていたら驚くだろう?」
「そうですね……驚きます」
ジーン王女殿下はなんだかんだ言って、グレス王子殿下に懐いている。ブラコン気質を持ち合わせているはずだけれど、それ以上に私とグレス王子殿下の関係を応援してくれているようだった。だから、グレス王子殿下を心配して見に来たりはしていないと分かって安心した。
「いえ、ジーン王女殿下のことですから……何か良からぬ思いを抱いて、私達の後をつけていないか心配になりまして……」
「ははは、ジーンならやりかねないな」
グレス王子殿下は大袈裟に笑って見せている。わざとらしく、周囲を見渡しながら。しかし、その表情はジーン王女殿下が居ないことを分かっているようだった。
「本日に限ってはそれはないよ。私からも釘を刺しておいたし、何よりも彼女はミレーヌや私のことを信用してくれているからね」
「なるほど、凄く説得力があります……」
ジーン王女殿下はかなりのツンデレだけれど、基本的にはとても優しい。私のことも信用してくれているわけか。
なんだか、嬉しくなってしまった。
「それに……今日は色々と大切な日になりそうだからね。ジーンだってそれは分かっているさ」
「えっ……? グレス王子殿下?」
グレス王子殿下は真剣な表情になっていた。特にその後に続く言葉はなく、私達はそのまま森林公園を歩き続けることになったけれど。
私には何のことだか、分からなかった。
13
お気に入りに追加
2,535
あなたにおすすめの小説

一度腹を壊しただけで婚約破棄された令嬢は相手を絶対許しません!
常野夏子
恋愛
婚約者アルバートに裏切られ、心を深く傷つけられた令嬢イリス。彼女は、ただ一度の腹の不調が理由で婚約破棄を突きつけられるという無念の状況に直面する。だが、イリスはその屈辱を決して忘れなかった。
王太子様に婚約破棄されたけど、私はあなたの婚約者ではないのですが
ぬぬぬ木
恋愛
貧乏男爵令嬢であるキャノンは、王太子様の婚約者であるセレナーデ令嬢の使用人をしている。美しい彼女だが、性格は恐ろしい程酷くって……
いつも命じれらるのは無茶な"お仕事"。そして勤務最終日の今日、命じられたのは卒業パーティに代わりに参加しろというもの!
そこで王太子様から告げられる婚約破棄。……でもなんで私に言ってくるの!? 私あなたの婚約者じゃないんですけど!?

他人の婚約者を誘惑せずにはいられない令嬢に目をつけられましたが、私の婚約者を馬鹿にし過ぎだと思います
珠宮さくら
恋愛
ニヴェス・カスティリオーネは婚約者ができたのだが、あまり嬉しくない状況で婚約することになった。
最初は、ニヴェスの妹との婚約者にどうかと言う話だったのだ。その子息が、ニヴェスより年下で妹との方が歳が近いからだった。
それなのに妹はある理由で婚約したくないと言っていて、それをフォローしたニヴェスが、その子息に気に入られて婚約することになったのだが……。

【完結】兄様が果てしなくアレなのですけど、伯爵家の将来は大丈夫でしょうか?
まりぃべる
恋愛
サンクレバドラー伯爵家は、果てしなくアレな兄と、私レフィア、それから大変可愛らしくて聡明な妹がおります。
果てしなくアレな兄は、最近家で見かけないのです。
お母様は心配されてますよ。
遊び歩いている兄様…伯爵家は大丈夫なのでしょうか?
☆この作品での世界観です。現実と違う場合もありますが、それをお考えいただきましてお読み下さると嬉しいです。

公爵令嬢は運命の相手を間違える
あおくん
恋愛
エリーナ公爵令嬢は、幼い頃に決められた婚約者であるアルベルト王子殿下と仲睦まじく過ごしていた。
だが、学園へ通うようになるとアルベルト王子に一人の令嬢が近づくようになる。
アルベルト王子を誑し込もうとする令嬢と、そんな令嬢を許すアルベルト王子にエリーナは自分の心が離れていくのを感じた。
だがエリーナは既に次期王妃の座が確約している状態。
今更婚約を解消することなど出来るはずもなく、そんなエリーナは女に現を抜かすアルベルト王子の代わりに帝王学を学び始める。
そんなエリーナの前に一人の男性が現れた。
そんな感じのお話です。

あなたに婚約破棄されてから、幸運なことばかりです。本当に不思議ですね。
香木陽灯(旧:香木あかり)
恋愛
「今まではお前が一番美人だと思っていたけれど、もっと美人な女がいたんだ。だからお前はもういらない。婚約は破棄しておくから」
ヘンリー様にそう言われたのが、つい昨日のことのように思い出されます。別に思い出したくもないのですが、彼が我が家に押しかけてきたせいで思い出してしまいました。
婚約破棄されたのは半年も前ですのに、我が家に一体何の用があるのでしょうか。
「なんでお前なんかが……この数ヶ月の出来事は全て偶然なのか?どうしてお前ばかり良い目にあうんだ!」
「本当に不思議ですねー。あなたに婚約を破棄されてから、良いことばかり起きるんですの。ご存じの通り、我が領地は急激な発展を遂げ、私にも素敵な婚約話が来たのです。とてもありがたいですわ」
子爵令嬢のローラ・フィンレーは、第三王子のヘンリーに婚約を破棄されて以来、幸運なことばかり起きていた。
そして彼女が幸運になればなるほど、ヘンリーは追い詰められていくのだった。


妹に婚約者を奪われたので妹の服を全部売りさばくことに決めました
常野夏子
恋愛
婚約者フレデリックを妹ジェシカに奪われたクラリッサ。
裏切りに打ちひしがれるも、やがて復讐を決意する。
ジェシカが莫大な資金を投じて集めた高級服の数々――それを全て売りさばき、彼女の誇りを粉々に砕くのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる