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14話 それだけでは終わらない
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謝罪に次ぐ謝罪……ジーン王女殿下に厳しく叱責されたバクラ・クレメンス侯爵令息。
ジーン王女殿下の急激な暴走は、私やグレス王子殿下も驚くほどであった。今は少し、彼女も落ち着いているけれど……バクラ様の危機が去ったわけではない。
「王家を代表して、クレメンス侯爵にも特別に厳しく言っておくわ。その後の処遇についてはクレメンス侯爵次第だけれど……タダで済むとは思わないことね、バクラ殿」
「ジーン王女殿下……そんな……あ、あの……やはり、父上には……!」
「何か言ったかしら?」
「い、いえ! 何でもありません!」
バクラ様は先ほどのジーン王女殿下の叫びが効いているのか、非常に従順だった。王家からクレメンス侯爵に話が向かってしまうと、バクラ様は大変な目に遭うだろう……彼はそれを怖がっているのだ。まあ、自業自得だし、私から何か言うことはないけどね。
特にフォローなんてする気も起こらない。
「バクラ様……大変だとは思いますが、頑張ってくださいね」
「ミレーヌ……」
私はとりあえず別の意味での励ましだけはしておいた……バクラ様は血の気が引いているけれど。
「バクラ殿の行いは許されることではないわ。アギト・クレメンス侯爵は厳格な人物なはず……果たしてどういう目に遭うかしらね。ねえ、グレスお兄様?」
ジーン王女殿下の攻勢はまだ続いているようだ。先ほどまでは怒りの形相をしていたけれど、今は怪しい笑みを浮かべながら話している。
「そうだな、バクラ殿はアギト殿からも叱責を受けるだろう。それがどれほど激しいものになるかは……想像すら出来ないな」
「顔面への攻撃が入るかもしれませんわね。顔面パンチと言った方が良いでしょうか」
「確かに入る可能性は高そうだな」
「らしいわよ、バクラ殿。今の内に歯を食いしばっておく練習をしておくことね」
普通に話しているジーン王女殿下とグレス王子殿下だけれど、話している内容はバクラ様を青ざめさせるには十分だった。
「鞭などを持ち出して来るかもしれないわね」
「ジーン、その話はなしだ」
「ごめんなさい、グレスお兄様」
イケない方向に進みそうだったので、グレス王子殿下はジーン王女殿下を止めた。鞭は……流石にないと思うけど。非常に濃い内容になりそうだし、確かにマズイわね。
「ジーン王女殿下、あの……その」
「それから、バクラ殿。あなたは確実に次期当主の座を追われるでしょうね。その後どうなるかは……正直、分からないわ。もしかすると、クレメンス侯爵家から追放されるかもしれない」
「そ、そんな……!」
かなりキツイことを平然と言ってのけるジーン王女殿下。バクラ殿は完全に顔色が変わっているけれど、全く配慮する様子を見せていない。
「当然でしょう、バクラ殿? あなたはミレーヌにそれだけのことをしたのよ? そんな人間が、クレメンス家の次期侯爵になるなんて……あり得ないわ。絶対にね……!!」
「じ、ジーン王女殿下……あ、あ……そんな、そんな……!」
バクラ殿は自分に降りかかってくるであろう事態を理解したようだ。足元がふらつき、今にも倒れそうになっている。彼の精神は崩壊直前なのかもしれないわね……今後もし、家を追い出されたりした場合は、本当にそうなってしまいそうだった。
ジーン王女殿下の急激な暴走は、私やグレス王子殿下も驚くほどであった。今は少し、彼女も落ち着いているけれど……バクラ様の危機が去ったわけではない。
「王家を代表して、クレメンス侯爵にも特別に厳しく言っておくわ。その後の処遇についてはクレメンス侯爵次第だけれど……タダで済むとは思わないことね、バクラ殿」
「ジーン王女殿下……そんな……あ、あの……やはり、父上には……!」
「何か言ったかしら?」
「い、いえ! 何でもありません!」
バクラ様は先ほどのジーン王女殿下の叫びが効いているのか、非常に従順だった。王家からクレメンス侯爵に話が向かってしまうと、バクラ様は大変な目に遭うだろう……彼はそれを怖がっているのだ。まあ、自業自得だし、私から何か言うことはないけどね。
特にフォローなんてする気も起こらない。
「バクラ様……大変だとは思いますが、頑張ってくださいね」
「ミレーヌ……」
私はとりあえず別の意味での励ましだけはしておいた……バクラ様は血の気が引いているけれど。
「バクラ殿の行いは許されることではないわ。アギト・クレメンス侯爵は厳格な人物なはず……果たしてどういう目に遭うかしらね。ねえ、グレスお兄様?」
ジーン王女殿下の攻勢はまだ続いているようだ。先ほどまでは怒りの形相をしていたけれど、今は怪しい笑みを浮かべながら話している。
「そうだな、バクラ殿はアギト殿からも叱責を受けるだろう。それがどれほど激しいものになるかは……想像すら出来ないな」
「顔面への攻撃が入るかもしれませんわね。顔面パンチと言った方が良いでしょうか」
「確かに入る可能性は高そうだな」
「らしいわよ、バクラ殿。今の内に歯を食いしばっておく練習をしておくことね」
普通に話しているジーン王女殿下とグレス王子殿下だけれど、話している内容はバクラ様を青ざめさせるには十分だった。
「鞭などを持ち出して来るかもしれないわね」
「ジーン、その話はなしだ」
「ごめんなさい、グレスお兄様」
イケない方向に進みそうだったので、グレス王子殿下はジーン王女殿下を止めた。鞭は……流石にないと思うけど。非常に濃い内容になりそうだし、確かにマズイわね。
「ジーン王女殿下、あの……その」
「それから、バクラ殿。あなたは確実に次期当主の座を追われるでしょうね。その後どうなるかは……正直、分からないわ。もしかすると、クレメンス侯爵家から追放されるかもしれない」
「そ、そんな……!」
かなりキツイことを平然と言ってのけるジーン王女殿下。バクラ殿は完全に顔色が変わっているけれど、全く配慮する様子を見せていない。
「当然でしょう、バクラ殿? あなたはミレーヌにそれだけのことをしたのよ? そんな人間が、クレメンス家の次期侯爵になるなんて……あり得ないわ。絶対にね……!!」
「じ、ジーン王女殿下……あ、あ……そんな、そんな……!」
バクラ殿は自分に降りかかってくるであろう事態を理解したようだ。足元がふらつき、今にも倒れそうになっている。彼の精神は崩壊直前なのかもしれないわね……今後もし、家を追い出されたりした場合は、本当にそうなってしまいそうだった。
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