お姉さまに婚約者を奪われたけど、私は辺境伯と結ばれた~無知なお姉さまは辺境伯の地位の高さを知らない~

マルローネ

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40話 ラゴウの変化

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 ラゴウ視点……。


「主任! 魔物対策が早急に進んだのって、主任のおかげだってみんな言ってますよ!」

「ふふん、俺の手に掛かれば軽いものだ」

「マジ凄いっす! マジ、リスペクトっす!」

「お世辞はいいから、さっさと現場仕事に戻りな」

「了解っす! すぐに戻るっす!」


 私は現在、鉱山労働として派遣された、サンヘルム山脈の麓の鉱山地帯の管理者の一人になっていた。私への懲役は先日、終了したという一報が入り、伯爵の爵位にも戻れるらしいのだが……私はそれを保留にしている。

 理由は幾つかあるが……まず、新人だった頃の私の面倒を見てくれていた先輩作業員が魔物に殺されたからだ。最後は私の命を庇って……という感動的なものではない。彼は誰にも気づかれずに死亡していた。見つかったのはその日の夕方になってからだ。

「人間は簡単に死ぬものだったのだな……まったく」


 私はその時初めて、人の死というものに直面した気がしていた。貴族をやっていた頃にも、もちろん近しい人物が死んだことはあるが、その時はどこか他人行儀だったからだ。


「心の底から涙を流したのは、初めてかもしれないな……」


 そう、私は先輩作業員の死に対して、とても心を痛めていたのだ。自分でも信じられないことだったが……人間はわけが分からず出て来る涙の方が真の涙なのかもしれないと、その時は本気で感じていた。

 そして同時に……私にも人の血が流れていたのだと安心もした。私はまだまだ変われるのだと、その時に実感したのだ。


「しかし、意外でしたよ。あなたが伯爵の地位に戻らず、この地で管理者を続ける道を選ぶなんて」


 私と同じ管理者の一人であり、私の監視員を務めていた男が私に話しかけて来た。


「この地に来て半年ほどしか経っていないが……色々なことを学んだからな。今、出て行くには惜しいと思ったまでだ」

「同じ作業員の死を見たくないというのが一番なのでしょう? だからこそ、伯爵の力を最大限行使して、この辺境地の魔物対策を急がせた……なかなか、泣ける話じゃないですか」


「ふん……」

「マリア・クルシスについても釈放されているわけですし……いずれは伯爵に返り咲き、彼女を幸せにしてあげてください。それがあなたのけじめだと私は思いますよ」


「わかっている……そんなこと」


 管理者をしているのはあくまでも一時的なものだ。監視者の男に言われるまでもない。近いうちに私は伯爵へと返り咲くだろう。それからマリアとのことを考えて……この鉱山地帯の運営にも尽力していくはずだ。

 ……まずは、国王陛下達から信頼と正式な許可を得なければならないがな。
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