お姉さまに婚約者を奪われたけど、私は辺境伯と結ばれた~無知なお姉さまは辺境伯の地位の高さを知らない~

マルローネ

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36話 ラゴウとマリアの新生活 その1

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 ラゴウ視点……。

「古のドラゴンが空を飛んでいても不思議ではないな……素晴らしい景色だ」


 私は現在、鉱山開発作業員として働いている。なぜ働いているのかだと? そうなのだ……この由緒正しき家系に生まれた、ラゴウ様が……! 私はまんまと嵌められてしまったのだ!


 しかし、それは仕方のないことだった。私がカイン・サンタローズ辺境伯の地位を見誤ってしまったツケのようなものだ。加えて、テレーズ・クルシス子爵令嬢との婚約を破棄し、姉のマリア・クルシス子爵令嬢と付き合ってしまったからだ。テレーズを傷付けてしまった……。


 そんなこんなで議会や辺境伯、国王陛下達の怒りを買い、私は爵位を剥奪され、一般作業員として働いている。


「ドラゴンがなんだって? どこにもいねぇじゃねぇか……妄想語っている暇があったら、手を動かせよ新入り」

「分かりました……」


 と、まあ私は先輩の鉱山作業員からの注意を受けながら、金や銀の採掘作業を行っている。伯爵の爵位を持っていた頃はあまり運動などはしていなかったな……各家系が主催するパーティーに出ることでパイプラインの確保をすることで忙しかったし。

 儀礼的に習った武道や剣技は確かにあったが、実戦経験のある連中から見れば、大したレベルではなかったのは明白だ。くそ……鉱山の金や銀を掘る道具がこれほどまでに重いとはな。こういった場所を視察したことは何度もあったが……初めて現場作業員のつらさを体感している気分になった。

「しっかし、こんな場所でドラゴンなんかに襲われたらお終いだぜ……俺も新入りも一緒になって敵の腹の中ってやつだ……」

「……」

 先輩作業員は私が現実逃避の為に言った言葉を反復しているようだった。冗談のつもりで言ったのだが……この鉱山を含めた山々にはドラゴンが出るというのか? 貴族の歴史ではドラゴンなど、伝説の存在とされているはずだが……。

 私は現在一般作業員だ。元貴族ということも伏せられている……彼に聞いてみることにした。


「この地域にはドラゴンが出るのですか……?」

「ああ? ドラゴンじゃねぇけどよ……魔物が出やすいのは事実だぜ。中央機関にも話はしているはずだが……なかなか、鉱山の安全の確保までには手が回ってないんだろうよ……」


 そういうことだったか。良い話を聞いたかもしれないな……ふむ。


「おい、新入り。飯の時間だ……俺はもう少し作業しているから先に行って疲れを癒して来い。午後からはもっと大変だからよ」

「わ、わかりましたっ」


 平民に敬語で話す日が来るとは思わなかったが……それほど嫌な気分には不思議とならなかった。身体が悲鳴を上げているからかもしれないが。人間は疲れると、些細なことでは腹を立てなくなるのだな……。
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