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8話 パーティー その2
しおりを挟む「リクイド様は最近まで留学をされていたはず。いきなり、侯爵令息という立場になられて驚いたのではないですかな?」
「その通りですね、伯爵。私などの身では追い付かない地位ですよ」
「ははは、ご冗談を。上位貴族にはあなたのような人柄のお方が選ばれるべきだ」
「ありがとうございます」
なかなか上機嫌な二人だった。パナマ伯爵は悪い人ではないみたいだ。
「そちらの令嬢は確か……」
「初めまして、パナマ伯爵。レナ・ゴールテスと申します」
「おお、あの魔法使いの家系の……なるほどなるほど」
私個人よりも魔法使いという肩書きに驚いているようだった。まあ、男爵令嬢なんてそんなものだけれど。貴族としては最低値なのだから。
「それでは……例の噂になっている令嬢はあなたのことか?」
「左様でございます、伯爵。事実無根ではありますが」
一応、例の噂は真実ではないことだけは伝えておく。信じるかどうかはパナマ伯爵次第だけど。
「ふむ……こうして見ると、気立てのよいお嬢さんに見えるが……とても狂暴な性格をしていると言われていましたな。信じられない」
「レナは狂暴な性格ではありませんよ。ハグリズ殿が嘘を言っているだけです。幼馴染の私が保証いたします」
「なるほど、なかなか複雑な事情がありそうですな。詳しく聞いてもよろしいですか?」
パナマ伯爵はかなり興味津々のようだった。まあ、聞かれて困るような話ではないし、味方になってくれる人が増えるのはいいことかもしれない。私はパナマ伯爵に真実を伝えることにした。
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「なんと……ハグリズ殿との間にはそのような事実が……」
「はい。真実はハグリズ様の一方的な婚約破棄なんです。ハグリズ様は自分の不利益にならないように、そんな嘘の噂を流したんだと思います」
「いやはや、噂だけを信じてはいけないという良い教訓になりますな」
「パナマ伯爵は信じていただけるのですか?」
パナマ伯爵は笑顔で頷いていた。ちょっと嬉しいかもしれない。
「信じますよ、嘘を言っているようには見えないですし」
「ありがとうございます、伯爵」
「私も微力ながら協力させてもらいましょう」
「協力……ですか?」
どういうことだろうか? 協力してくれるのはありがたいけれど。
「レナ嬢が被害者なのだとする噂を流すんですよ。私からの発信であればそれなりの効果が期待できるでしょう」
「本当ですか? ありがとうございます!」
「はは、このくらいお安い御用ですよ」
予想外の味方が出来てしまった。これは大きな助けになるかもしれないわ。このパーティーに参加して正解だったわね。
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