婚約破棄らしいので、私は愛する人に魔法を行使します

マルローネ

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2話 魔法使いの家系 その1

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「お父様……申し訳ありません……こんなことになってしまって」


 私は実家に戻ることになってしまった。他に行くところもなかったから。お父様は静かに話を聞いていた。どのように思っているのかしら……?

「なんということだ……オーウェン家の長男であるハグリズ様がそんなことをするとは……!」

「お父様……」

「よく耐えたな、レナ。私は帰って来てくれただけで嬉しいぞ」


 お父様は私を責めることはなかった。嬉しいけれど、申し訳ないという感情も生まれてしまう。

「これまでの1年間、オーウェン家のために仕えたのに……」

 私とハグリズは婚約して1年が経過しようとしていた。その間でも彼の助けは色々としていたのだ。スピーチの内容を魔法で修正したり掃除洗濯食事の用意……おおよそ婚約者の仕事ではないことも含まれている。

「何よりも大きいのがレジャーランドの建設のはず。その土木事業には魔法の仕事は大きく関与していたのだろう?」

「ええ、そうですね。大量の資材を運ぶために魔法を行使していました」

「お前の活躍はよく聞こえてきたものだ。とても頑張っているのだと考えていたが……ハグリズめ、代わりの魔法使いが出来た時点でレナを捨てるとは……貴族の所業だとは思えないぞ」


 ハグリズの行ったことはとても許されることではないはず。でも、私達の家系では抗議をするのは難しかった。ここは男爵家の限界と言えるのかもしれないわね。


「それで代わりの魔法使いというのは、なんという名前なのだ? 聞いているのだろう?」

「ええ、確か……サラサという名前だったと思います。心当たりはありますか?」

「サラサ……確かサラサ・イントールという伯爵令嬢がいたはずだ。そうか……あの家系も魔法使いの家系だったのか」

 イントール家は伯爵の家系のはずだ。そうだったんだ、魔法使いの家系とは……貴族の間でも魔法使いの家系はそれほど多くはないはず。だからこそ重宝されたりするんだけれど。

「まあいい。イントール家のことは私で調べておこう。とにかくレナはゆっくりと休みなさい」

「ありがとうございます、お父様……」

「なに、気にすることはないさ」


 お父様の優しさは救いになるけれど、今後、どのように生活したらいいのか、本当に分からなかった。でも、とにかく今はゆっくりと休もう。それしかできることはないのだから。

 必要とされなくなった魔法使い、レナ・ゴールテス。そんな噂が立ってしまうかもしれない。今後、婚約者なんて現れないかもしれない。そんな恐怖と戦いながら私は寝ることにした。
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