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10話
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「シエナ様……こうして話をするのは何時以来でしょうか」
「ミリー……どうしてこんなところに……」
シエナ様は明らかに焦っている様子だった。彼女にはお付きの人が二人いたけれど、実質的には一人のようなものだ。近くにボイド様の姿はないのだから。
「あなたがこの店の限定品を買いに来ることは予測出来ていました。だからこそ、こうして待ち伏せをしていたのです」
「こうして会えて良かったよ。調査の結果が出て良かったというものだ」
「ルシエド様……待ち伏せって。ちょっと失礼ではないですか?」
シエナ様は今にも逃げ出しそうな雰囲気を見せていた。ルシエドが近くにいるからそれはしていないようだけれど、私が一人で会っていたら確実に逃げられていたでしょうね。そしてすぐにボイド様を呼びに行ったに違いない。
服屋の限定品販売……その場に来るのにルシエドを連れて来たのは大正解だったというわけだ。さらに言うなら彼に相談したのは本当に正解だった。
「失礼かどうかは置いておくとしよう。君だってミリーに対して相当に失礼なことをしているだろう? それも犯罪紛いのレベルで、だ」
「なんのことですか? 私は決してそんなことはしていませんが……ルシエド様」
ここに来てもシエナ様はとぼける気でいるようだ。でも、私が目の前にいるのだからそんなことはさせない。
「いい加減にしてくれませんか、シエナ様。私がこの場にいるんですから、あなたへの虐めがなかったことは分かり切っているでしょう? ルシエドがいなければこうして会うことも困難なんですから」
「ミリー……では、ルシエド様をそそのかしてここまで連れて来たのは、ミリーということね? まさかそんなことまでしているなんて思わなかったわ」
「ミリーに協力したのは私の意志でしかない。それに今回の待ち伏せを考えたのも私だ。そんなことはどうでもいいんだ、本題に入らないか?」
「本題……ですか?」
「そう。何の本題かは流石に説明する必要はないな?」
「……大丈夫です」
ルシエドの言葉にシエナ様は頷いた。流石に観念したのかしら? それならいいのだけれど、まだ安心できないわね。
「では本題に入ろうか。ボイド殿に嘘を吐いているのはどういう理由からだ? ミリーに虐められているなんて真っ赤な嘘なのだろう?」
ルシエドは直球の言葉を放っていた。あまりに直球だったのでシエナ様は面食らっている感じだ。
「……お話しいたします。しかし、ここだと場所が悪いですね……」
「わかった。どこか他の者に聞かれない場所に移動するとしようか」
「助かります」
シエナ様は礼儀正しくルシエドに頭を下げた。流石にこの場所で話し込むわけにはいかないか。内容が内容だけにね。
「ミリー……どうしてこんなところに……」
シエナ様は明らかに焦っている様子だった。彼女にはお付きの人が二人いたけれど、実質的には一人のようなものだ。近くにボイド様の姿はないのだから。
「あなたがこの店の限定品を買いに来ることは予測出来ていました。だからこそ、こうして待ち伏せをしていたのです」
「こうして会えて良かったよ。調査の結果が出て良かったというものだ」
「ルシエド様……待ち伏せって。ちょっと失礼ではないですか?」
シエナ様は今にも逃げ出しそうな雰囲気を見せていた。ルシエドが近くにいるからそれはしていないようだけれど、私が一人で会っていたら確実に逃げられていたでしょうね。そしてすぐにボイド様を呼びに行ったに違いない。
服屋の限定品販売……その場に来るのにルシエドを連れて来たのは大正解だったというわけだ。さらに言うなら彼に相談したのは本当に正解だった。
「失礼かどうかは置いておくとしよう。君だってミリーに対して相当に失礼なことをしているだろう? それも犯罪紛いのレベルで、だ」
「なんのことですか? 私は決してそんなことはしていませんが……ルシエド様」
ここに来てもシエナ様はとぼける気でいるようだ。でも、私が目の前にいるのだからそんなことはさせない。
「いい加減にしてくれませんか、シエナ様。私がこの場にいるんですから、あなたへの虐めがなかったことは分かり切っているでしょう? ルシエドがいなければこうして会うことも困難なんですから」
「ミリー……では、ルシエド様をそそのかしてここまで連れて来たのは、ミリーということね? まさかそんなことまでしているなんて思わなかったわ」
「ミリーに協力したのは私の意志でしかない。それに今回の待ち伏せを考えたのも私だ。そんなことはどうでもいいんだ、本題に入らないか?」
「本題……ですか?」
「そう。何の本題かは流石に説明する必要はないな?」
「……大丈夫です」
ルシエドの言葉にシエナ様は頷いた。流石に観念したのかしら? それならいいのだけれど、まだ安心できないわね。
「では本題に入ろうか。ボイド殿に嘘を吐いているのはどういう理由からだ? ミリーに虐められているなんて真っ赤な嘘なのだろう?」
ルシエドは直球の言葉を放っていた。あまりに直球だったのでシエナ様は面食らっている感じだ。
「……お話しいたします。しかし、ここだと場所が悪いですね……」
「わかった。どこか他の者に聞かれない場所に移動するとしようか」
「助かります」
シエナ様は礼儀正しくルシエドに頭を下げた。流石にこの場所で話し込むわけにはいかないか。内容が内容だけにね。
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